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セットする(トスを上げる)ときは「ボールの下に入り、上げる方向に正対」すべきなのか?(前) -セットアップの基本を考える-(1/5)

5回シリーズで「セットアップの基本」と練習方法について考えます。

1.「ボールの下」とはどこ?
2.「体を上げる方向に向け」ればボールは正確に目標に向かって飛ぶのか?
3.「どこでボールをとらえればどの方向に飛ぶか」をつかむための練習方法
4.注意してほしいこと
5.「セットアップの基本」とは?

質問箱にいただいた質問に対する答としていろいろ整理してみました。
質問を寄せていただいたのは「今年度から本格的にセッターを始めた小6男子」の保護者の方と思われます。

質問内容は
・トスが割れるので「ボールの下に入る、体を上げる方向に向ける」練習をしたいのだが、家でできる練習は?
・「ボールの下に入る、体を上げる方向に向ける」練習は分けてやった方がいいのか?
で、本人は「頭では分かっているができないのがもどかしい」様子とのことです。

まず、 実現したい目的は「方向を正確にコントロールできるようになる」ことと解釈し、その前提で話を進めました。
なぜなら、「ボールの下に入る、体を上げる方向に向ける」練習をするということ自体に疑問があるからですが、方向を正確にコントロールするのはセットアップの根幹とも言えるので、これを機に「セットアップの基本」について考えてみたいと思います。

「方向のコントロール」に必要なことは
①適切な位置でとらえる 
②しっかり目標にボールを飛ばせる体勢を取る

と考えていますが、この2つは「ボールの下に入る」、「体を上げる方向に向ける」に似ているようでちょっと違います。

「ボールの下」とはどこ?

①適切な位置でとらえる=「ボールの下に入る」
と考えるのが普通だと思いますが、「ボールの下」とはどこでしょうか?
「ボールの中心の真下に体の重心がある」ようにすればいいのでしょうか?
その状態にあるということがやっている本人に分かるのでしょうか? 
それが分からない人に「ボールの下に入れ」と言うことは有効なのでしょうか?

また、普通のオーバーパスは「体をやや前傾させて、ボールをオデコの前でとらえる」ものだと思いますが、この状態は「ボールの中心の真下に体の重心がある」とはかなり違います。「ボールの下」とは「オデコの前」なんでしょうか?
このように、いくらでも疑問がわいてくるのですが、それでもやはり「ボールの下に入る」ということをプレイヤーに求めるべきなのでしょうか?

「適切な位置でとらえられるように、しっかり移動しろ」という意味で「ボールの下に入れ」と言うのであれば、間違ってはいないでしょう。そして、それを聞いたプレイヤーがそういう意味で理解するのであれば、上手くいくかもしれませんが、いろいろ問題のある練習風景を目にしています。それは、

・「適切な位置」がどこなのか分かっていない・見つけようとしていない
・「適切な位置」は状況次第で変わることを知らない
・「適切な位置」で捉えられたかどうかをやっている本人が感じられない
・「適切な位置」で捉えることよりも、そこへの移動のステップや体の向きなどを優先させるために、無理が生じていて間に合わない
・「間に合わない」という判断が許されていない

などですが、そのまま繰り返していても「ボールの下(適切な位置)とはどこか?」は永遠に分からないかもしれませんね。

セットするときは「ボールの下に入り、上げる方向に正対」すべきなのか?(後) -セットアップの基本を考える-(2/5)に続く

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バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。