見出し画像

ブロック・プレーの過去・現在・未来【1/5】

ブロック・プレー=コンタクト・プレー

バレーボールはその名の通り"volley"(打ったり、蹴ったりする)によってすべてがプレーされる。しかし、FIVBが発行するルールブックを読んでみるれば分かるのだが、バレーボールのプレーは次の二つに大別して表記されている。

"hit"と"contact"である。

"hit"はブロック以外のすべてのプレーを指し、"contact"はブロック・プレーを指している。下記にFIVBの発行するオフィシャル・ルールの一部を抜粋している。抜粋箇所の一文を取り出して日本語訳してみると次の通りになる。ブロックは他のプレーとは別物だと理解する必要があるようだ。

OFFICIAL VOLLEYBALL RULES 2017-2020

A block contact is not counted as a team hit.(ブロックのコンタクトは、チームのヒットには数えられない。)

ブロック・プレーの「これまで」

ブロック・プレーはいつ誕生したのだろう。

この問いについて考えるためには、バレーボールの歴史を辿る必要があるだろう。バレーボールが誕生したときにブロック・プレーというものは存在していなかった。

さらに言えば、アタック・プレーは存在していたものの、アタック・プレーの中でも最も攻撃力が高いとされるスパイク(ジャンプしてネット上方から相手コートにボールを強く打ち込む)というスキルもまだ存在していなかった。

しかし、このスパイクというスキルが確立された後に(スパイク発祥の地はフィリピンとされる)オフェンスとディフェンスの均衡が大幅に崩れたと推測することができる。1922年に、後衛プレーヤーによるスパイクが禁止されるというルール変更が行われていることからすると、この時点では既にスパイクというスキルが世界中に流布していたことが分かる。

ネット上方にセットされたボールをジャンプして相手コートに叩きつけるというこれまでにない極めて決定力の高いオフェンス・プレーの一つであるスパイクにフロア・ディフェンスだけで太刀打ちできなかったのだ。そして、これに対抗すべく当時のバレーボール・プレーヤーが試行錯誤しながら創造したプレーが、現在のブロック・プレーの原型と呼ぶことができるだろう。

では、ここでブロック・プレーの誕生からこれまでのブロック・プレーの歩みを非常に簡潔にではあるが整理してみたいと思う。

1. スパイクという強力なオフェンス・スキルの誕生によって、ディグ・プレー(フロア・ディフェンス=ロープレッシャー)だけでは対処しきれない状況が生まれる。

2. 空中からのスパイクによる攻撃に対して「ブロックらしき」プレーが自然発生的に誕生する。

3. ブロック・プレー(フロント・ディフェンス=ハイプレッシャー)が徐々に確立される。スパイカーに対して至近距離で守備をするために、ジャンプしてネット付近に壁を作ること(ブロック・プレー)で、第一次的に攻撃の予防しようとするようになる。
【ブロックは第1守備/ディグは第2守備/これらは未連携の状態】

4. ブロック・プレー(フロント・ディフェンス=ハイプレッシャー)による第1守備に対して、相手スパイカーがコースの打ち分けをする個人戦術を身につけてくる。

5.スパイカーの個人戦術の向上に対抗するため、ブロック・プレーとディグ・プレーが連携することで対処しようとする。
【ブロックは第1守備/ディグは第2守備/これらは連携の状態】

6. ブロック・プレーのスキルが高まっていく。元々は「予防」的要素の強かったプレーであったのが直接的に得点する「攻撃」的要素をも併せ持ち始めた。

さて、このように考えると、バレーボールは多くのプレーヤーによってプレーされ、数々の思考錯誤と試行錯誤によって発展してきたと言えるのではないだろうか。

そして、そのプロセスの中で新しいスキルの開発や新しいプレーの誕生があったわけである。さらには、こうしたスキル開発やプレーの進化に伴って、ルールもこれまで、幾度となくアップデートされてきた。(今もまさに変更され続けている)

次にブロック・プレーに大きな影響を与えたに違いないであろうルール変更についても確認していこう。

ブロック・プレーの過去・現在・未来【2/5】へ続きます。

※本記事は以下3名の共著となります。著者プロフィールは50音順。

バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。