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新入社員の方々へ贈る  「何者」

「何者」(2016年 日本 97分)

監督:三浦大輔
出演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之


出典元:https://eiga.com/movie/83799/gallery/17/

今年入社された新入社員の方々も徐々に業務にも慣れてきている頃ではないでしょうか。

そんな新入社員の方々の贈りたい映画が今回取り上げる映画「何者」です。
この映画は2016年に公開された映画で、内容を知っている方も多いかもしれません。

そんな方の中には、
「え?これを新入社員にすすめるのか?」
「内容知っててすすめているんだよね?? ちょっとおかしくない?」
等の声があるでしょう。

まあ、私の話を最後まで聞いて下さい。

あらすじ

演劇サークルで脚本を書き、人の分析するのが得意な拓人(佐藤健)
天真爛漫な性格でも簡単に内定を勝ち取っていく光太郎(菅田将暉)
家庭の事情で就職する会社を選んでいられない瑞月(有村架純)
「意識高い系」でなかなか内定が出ない理香(二階堂ふみ)
就活を冷めた目で見ながらもなかなか出ない内定に焦りを隠せない隆良(岡田将生)
の5人が「就職活動」という避けて通れない試練に立ち向かう。

それぞれの内定、不採用の状況に疑心暗鬼になりながら考える、就職活動の意味とは?


出典元: https://eiga.com/movie/83799/gallery/

ある意味、「就活のバカヤロー」映画

史上最年少で直木賞を受賞した作家、朝井リョウの同名小説の映画化作品です。
普通ならオブラートにつつんでしまうような直視したくない現実を、小説で表現するのが天才的にうまい作家だと思います。

その小説の映像化作品となりますので、なかなかハードな内容です。
就職活動など意味がないと仲間内で豪語しておきながら、大企業の採用試験会場にいる隆良などは、思い当たる節はなくはありません。
光太郎は何も考えていないように見えて、拓人よりも早く内定をもらい「たまたまだ」と言いながら陰で何かをしているのでは?と表面上は平静を装いながらも、内定がない人との間に差ができ、5人の中に不安が生まれます。

結局は、何がよくて「内定」で、どこがだめで「不採用」になったのかがはっきりしないまま、卒業までに入社する会社を決めなければならない就職活動に果たして意味があるのか?を問う「就活のバカヤロー」映画ではないかと考えます。

「就活のバカヤロー」 
2008年に光文社新書で刊行された石渡嶺司、大沢仁による著書。
就職活動は「学生個々人が未来に向けて大きな一歩を踏み出す行為」であったはずなのに、いまや騙し合い、憎しみ合いの様相を呈し、嫌悪感と倦怠感が渦巻く茶番劇に成り下がった。と訴える問題作。

出典元:https://eiga.com/movie/83799/gallery/4/

演劇サークルでのギンジ

拓人の所属している演劇サークルでは、拓人とともに活動していたギンジという大学生がいます。演劇サークルで拓人の先輩である大学院生のサワ先輩(山田孝之)はすべてを達観しているような感じで、尊敬の念すら抱きます。

ギンジは演劇で生きていくと決めて、就職活動をせず月一回の演劇公演を決めてそれを実行していきます。しかし、その内容は酷評ばかりでとても見ていられません。

ある時、拓人はサワ先輩にこういう活動を続けるギンジと、就職活動を冷めた目で見ている隆良が似ていると話します。
しかし、サワ先輩はそれを否定し、あいつとギンジは全然違う、といいます。

就職活動など茶番だといいながら、結局はそれに乗らざるを得ない隆良と、月一回の公演を行うと決めて、人から何を言われようが実行するギンジ。
隆良のほうは自分の考えを貫き通しているようで、結局は自分の置かれた状況から逃げているだけなのでは?ということが言いたかったのでしょうか?


出典元:https://eiga.com/movie/83799/gallery/10/

意識高い系と、そうは言っていられない人

家庭の事情で就職先を選んでいられない瑞月と、海外留学から帰ってきて意気揚々と就職活動に取り組む理香も好対照です。
特段、取り組んできたこともなく普通な人も、海外で意欲的に活動をしてきた人も同じ土俵に立つのが就職活動です。

学生時代の実績や活動をアピールすることに余念がない「意識高い系」と、普通の学生生活を送ってきて、親との同居を理由に自分が働かなければと思っている人では、就職に対する思いの抱き方も違います。

これらの活動や考え方の違いが、どうつながって「内定」「不採用」になるのかが、企業のブラックボックスになってしまっているのが不安や疑心暗鬼を生む原因といえるでしょう。
結局、採用試験を受けた学生には、結果しか伝えられませんから、考えても無駄だ、と言えばそれまでかもしれませんけど。


出典元:https://eiga.com/movie/83799/gallery/3/

新入社員の皆様へ この映画を紹介して言いたいこと

内容に関しては、一度見てもらえば、若手の実力派俳優ばかりですので、リアリティがありすぎて胸糞が悪くなることは必至です。(笑)

それでもこの映画を紹介したかったのは、演劇サークルでのギンジの存在がありました。
就職をせずに演劇で生きていくと決めて、月一回の演劇公演を行うと決めて実行しています。公演後の評判はひどいものですが、それでもめげずに実行し続けています。
今の実力は全く伴っていないのに、大きなことだけを言っている、と同じサークルで活動していた拓人は馬鹿にしたような分析をします。

拓人も隆良と同じく、自分も同じように生きていきたいと羨ましいと思いながら、そこまでの決意がなく、仕方がないと自分を納得させて就職活動に取り組んでいます。

新入社員の皆さんも内定をもらった時にどう感じたでしょうか?
様々な思いがあったと想像します。
それは一言では表せないでしょう。
採用試験は基準も企業ごとに違い、絶対的な基準はないものです。何となく馬鹿げていると感じていた人がいたら、その気持ちもよくわかります。

弊社が難関かどうか、は置いておいて(笑)、就職活動後の人生のほうが長いということをまずは言いたいです。

就職活動時は、負けていた相手でもその後の活動次第では逆転することも可能です。

学生時代に熱中していたことを就職後に止めることもないと考えます。
実際に、私も映画が好きで映像業界を目指していた過去があったのが、なぜか知らないですが、こうした場でこんなにいろいろと書く機会をもらいました。そんなこんなでもう5回目の投稿です。

現状に不満ばかりを言っていて動かない拓人や隆良と、月一回の演劇公演を行うと決めて実行しているギンジは、同じ考え方で10年経てば、その実力の違いは天と地の差ほどになっているでしょう。
これは映画の中での話ですが、身に覚えのある方も多いかもしれません。

新入社員の方々に最終的に言いたいのは、
自分の好きなことを見つけて、生き抜く力をつけてほしいということです。

コロナ禍で、社会の求めているものが大きく変わってきています。
今までは役に立たなかった能力が役に立つということもあります。
とにかく好きで得意なものを見つけてください。
意外な形で役に立つかもしれません。

ところで、ギンジは誰が演じているのか?と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
実はギンジが登場する場面がなく、登場シーンは拓人へのline返信等のみです。

私も、ギンジのような幻の存在でありたいと思っていますので、新入社員の方々もだれが書いているんだ?と詮索しないでもらえればありがたいです。

私はただただ、新入社員の方々のより一層の繁栄を望む者であります。
今後のさらなるご活躍を、心よりお祈り申し上げます。

映画中毒者からの一言

これは、「お祈りメール」ではございませんのでご安心ください。


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