見出し画像

第一回期日を終えた今の私に言えること。

大内彩加です。
告発文をリリースしてから一か月以上経ちました。
全ての人たちへ」を読んでくださって本当にありがとうございます。一か月もすれば自分の取り巻く環境が随分と変わりました。告発当時には言えなかったことや、書けなかったことが沢山あるので追記としてこの文章を打っています。

これまで大変多くの応援メッセージを頂きました。本当にありがとうございます。全て目を通しております。まず、DULL-COLORED POPの公演を観に来てくださっていた皆様、劇団のワークショップに参加してくださっていた皆様へ。私が告発した経緯には「これ以上お客様や参加者の皆様が騙されてほしくない」という気持ちもありました。もっと早く、皆様が後悔や自責の念を抱く前に行動することが出来ず、本当に申し訳ございませんでした。自分自身を責めていらっしゃるようなコメントをしている方も見受けられました。どうかご自身のことは責めないでいてほしいなと思います。

また、私のnoteにサポートしてくださった皆様、本当にありがとうございます。お礼文をお一人ずつにお送りしております。「裁判費用の足しに」と書いてくださった方もいらっしゃって心強かったです。「コーヒー代に」「ちょっといいランチ代に」というメッセージには心が温まりました。


ここからは自分の被害についてお話します。
性加害を受けたことがある方でここから先の文章をお読みになる方はどうかお気をつけてください。


私は自分が受けた被害が如何に酷いものであったか、自分自身では気付けない状態にありました。2022年3月の劇団公演が終わって、劇団で行われていたワークショップや公演に携わらなくなってから自分の置かれていた状況、被害の深刻さに改めて気付いたと共に、自分の気持ちが整理されていき、「これはやはり異常なことである」と実感しました。渦中にいるときには「頑張らねば、やらねば、耐えねば、我慢せねば」の気持ちが強く、周りが誰も注意しないということはやはりこれが当たり前なんだ、と思っていました。

でも、違います。これは、当たり前なんかじゃありません。
当たり前にしてはいけません。

胸を揉まれること、お尻を触られること、触ってくる手を自ら振り払わなければならないこと。それでも尚触ってこようとする手を被害者自ら制止しなければならないこと。公共の場で後ろから羽交い絞めにされ胸を揉まれること。物に当たる演出家に何も言えず稽古を進めること、人前で怒鳴られること、劇団員の前で叩かれ、蹴られること。酩酊状態の演出家を前に稽古をしなければならないこと、稽古中の飲酒を止められないこと。突然服を脱ぎだしパンツ一丁となった演出家の前で稽古をすること。本番期間中に寝ることも出来ずに劇団業務を夜更けまでやること。

レイプされること。

全て私が受けてきたことです。傍でその行為を見てきた人も沢山います。記憶にないのであれば、その人にとっては「その程度」のことだったのでしょう。私と同じ目に遭った人も沢山います。

こんなこともありました。
劇団主催のWSの中で「演出家と役者は対等である」という話を谷がしたときに、横で劇団業務兼アシスタントをしていた私に対して「何カップ?」と聞いてきました。私は答えませんでした。答える必要がありません。私は谷に中指を立てました。それでも谷は笑いながら「ははは、(対等だから)こういう風にしていいんですよ。で、何カップ?」と聞いてきました。私は参加者の前で自分の胸の大きさを答えなければなりませんでした。

どこが、対等なんでしょうか?
私がされてきたことは、対等だと思いますか?

レイプされたとき、警察に行く、なんて発想にはなれませんでした。
私がレイプされたのは自分が絶対最後までやり遂げたいと思っていた「福島三部作」の公演中でした。私のせいで公演が中止になったら?私が悪いと周りに思われたら、冷ややかな目で見られたらと思うと当時の私は警察にも病院にも家族にも言えませんでした。
他にも理由がありますが、それは意見陳述にてお話します。どうしても私にとっては伝えたい言葉なので。

ここに至るまで、日常生活で加害者からのハラスメントが当たり前になってからは、自分を守るためにその行為を受け入れているような発言をしたこともありました。なあなあに、この場をどうにか収めよう、早くこの嵐が過ぎ去ってくれ、会話が終わってくれ、もう満足してくれ、という一心で思考をストップさせ、早く会話を終わらせるために相手に合わせすぎた返事をしたこともあります。それが加害者にとっては都合のいい言葉であったこともわかっています。客演として劇団に参加していた2018年6月からの半年間、嫌いだ、苦手だ、無理ですと強く、はっきり言えなかった自分自身への嫌悪感や悔しさは今でも拭えません。「やめてください」と不快感を表に出すだけでは何も谷には伝わりませんでした。最終的に、同意など一切ないまま力づくでレイプされました。

加害者が加害行為をしなければ性加害・性暴力は起きないと私は思います。
私が我慢することによって加害行為を助長させてはいけないと思い、自分にできる抵抗をするようになったのは2019年の夏からです。それまで谷は何度も私の胸を揉み、お尻を触り続けてきました。2019年からは私に出来る抵抗として、触ろうとしてくる手をはたき落としていました。それでも触ってきました。やめてくださいと相手をしっかり拒絶しても触ろうとしてきました。それを谷が覚えていないとしたらあのやり取りはなんだったのでしょうか?谷にとってはただの手遊びだったのでしょうか?
また、谷は私の家庭環境・パーソナリティについても「片親の女はちょろい」「お前は父親がいないから愛情に飢えている」と発言していました。私の母は女手一つでここまで私を育て続けてくれました。東日本大震災があったときも「これで飯舘村とはお別れになる気がするから最後までいたい」と言った私の気持ちを尊重し、「早く彩加ちゃんの為にも避難しろ」という周りの声に耐えながら避難指示のぎりぎりまで故郷にいさせてくれた母です。父親がいなかろうと、溢れんばかりの愛情を注いでくれた母に失礼です。
そもそも、そういった発言を片親だろうとなんだろうと人に言うのが間違っていると思います。

今回の告発で、谷は他の劇団員に対して私の事を「虚言癖」だと発言しました。であれば、同じように被害を訴えている人たち、その現場を見た、聞いたと証言してくれる人たちの証言も「虚言だ」と言っていることになりませんか?そもそも嘘をつくメリットが一切ありません。自分の名前と顔を出してレイプされた事実を誰が言いたいんでしょうか?

以下2023年1月19日現在、DULL-COLORED POP元劇団員で発言している人たちのまとめです。以下敬称略です。

↓noteにて公開している方たち↓
宮地洸成 DULL-COLORED POPを退団します
阿久津京介 DULL-COLORED POPを退団いたします。
百花亜希 祈りとメッセージ

↓Twitterにて公開している方たち↓

これだけではなく、劇団に関わってくださった方や谷に関わったことのある方からのツイートもあります。これらも全て虚言だと言い張るのでしょうか?

百花さんのnoteには「谷と創作していて、演劇って楽しいな豊かだなと思える瞬間」も書いてありました。私にもそれはありました。確かにあった、あったけれどなによりみんなとお芝居するのが楽しかったんです。私が劇団員として認識していた宮地、うっちー、ちなつ、ももかさん、くらら、ひろさん、塚さん、大原さん、東谷さん、ホリくん、阿久津くん。途中で辞めた人も、辞めないで最後まで一緒に活動していた人も、一緒にお芝居していて楽しい瞬間があったからこそ、活動していたのは事実です。
だからと言って、加害を助長させることに繋がる活動はしたくありません。楽しいから、と嫌なことに目をつむり続けて、そんな環境でお芝居をするために役者になったわけではありません。

「この告発は本当なのか」
そう問う人が大勢いました。本当かどうかは勿論大事なことですが、もしあなたの大事な人がこの被害を告白してきたときに、本当かどうかと相手に問うのでしょうか?性暴力について詳しく纏めてあるサイトがあるのでご紹介します。→性暴力 | 性についてお悩みの方・学びたい方 | PILCON
この中にも書いてある通り、もしあなたの周りの人に被害を告白されたら、被害者を信じて話を聞いてください。相手の気持ちを丁寧に聞き、そのまま受け止めてください。勿論、被害を聞いて「なぜ、どうして」という気持ちも沸いてくると思います。ただ、その動揺した気持ちを相手にぶつけず、ゆっくり、しっかり聞いてください。被害者の話を疑うこと、頭ごなしに否定をすることは二次加害に繋がります。

私の告発に対してもそういった声が幾つか見受けられました。
その言葉を見て声をあげられなくなる被害者もいるかもしれません。告発することによって「本当のことなのか?」「虚言じゃないのか?」「売名行為なんじゃないか?」そんな声ばかりあがれば、声をあげたい人があげられなくなります。声をあげるつもりがなくとも、同じように被害を受けた人たちが傷つくと私は思います。私はこうして民事裁判に踏み切り、今まで送られてきたLINEの文面も証拠として提出し、目撃者・証言者がいるものに限ってリリース文に纏めました。
この先、私が傷つくことも沢山あると思います。告発する前も、告発してからも色んな事に傷ついてきました。それでも最後まで闘います。被害者が泣き寝入りする世界なんてなくなればいい。

先日、第一回期日を迎えました。
私が起こしたのは民事裁判です。「推定無罪」「無罪推定の原則」という単語を使っていらっしゃる方も多く見受けられますが、それは刑事裁判の原則です。これから先、どういった結果になるかは私にもわかりませんが、演劇界からこれ以上加害者・被害者が増えてほしくない、福島の方々にこれ以上不必要に傷ついてほしくないという気持ちで告発した事実に変わりはありません。

また、第一回期日前は担当弁護士から訴状を公開しないようにと言われており、私自身も意図があり公開は希望していませんでした。本来の手順ですと「自分の足で裁判所へ向かい、自分の手で申請し、自分の目で訴状を読む」という行動が必要です。私の意思としては最初のリリース文にも書いたように「どうか考えることを辞めないで、行動し続けてほしい」という気持ちがあり、訴状を公開しませんでした。私が開示することで、目の前に現れた情報により思考や行動をそこでストップしてほしくなかったからです。
まさか訴状を販売する方が現れると思っておりませんでした。大変驚いております。只今担当弁護士と相談の上、訴状をこちらで開示するかどうか検討中です。私の意思としては、ご自身の手で訴状を請求してほしいという気持ちに変わりはありませんが、開示するのであれば原告として私が開示したいです。

最後になりますが、谷から被害を受けたことがある、見たことがある、聞いたことがある、と言う方はどうぞ私にご連絡ください。
あなたはひとりじゃないです。

2023年1月19日 大内彩加

◎よろしければサポートお願いいたします◎ 頂いたサポートは今後の役者活動に活用させていただきます!