DULL-COLORED POPを退団いたします。


はじめまして。
DULL-COLORED POP劇団員の阿久津京介です。

まずは、弊劇団主宰 谷賢一によるハラスメント問題の件によって多大なるご迷惑、ご心配をおかけしてしまった皆様、不快な思いをさせてしまった皆様、傷つけてしまった皆様に、深くお詫び申し上げます。

私、阿久津京介は、大内彩加さん、宮地洸成さんに賛同するとともに、本日を以てDULL-COLORED POPを退団いたします。
入団を喜んでくださった皆様や、応援してくださっていた方々を悲しませる結果となってしまい、本当に申し訳ありません。
私が谷賢一、ならびにDULL-COLORED POPと関わりを持ちはじめたのは、2021年の10月からです。そのため、それ以前に起きたとされる本件告発内行為、およびそれに準ずる行為等の事実関係について、私からはお答えしかねることを、どうかご理解ください。

それでもDULL-COLORED POP劇団員として、その決断をするに至った経緯を説明する責任があると考え、この度、筆を執らせていただいた次第です。

私は2022年5月、DULL-COLORED POPに入団しました。そしてその直後、谷によるハラスメント行為の噂を初めて耳にしました。それは、本件とはまた別のものです。その詳しい内容についてはここでは伏せさせていただきますが、1つや2つではありません。私の入団を知って心配する連絡をくれた劇団外の友人もいました。
もしそれらの噂が事実であるならば、谷を決して許すことはできません。谷は被害者の方たちに対して、ご自身で考えているよりもずっと、誠実な対応をするべきです。然るべき処罰を受けるべきです。

ですがそもそも問題なのは、噂が事実かどうかというよりも、何年もの間そのような噂がいくつも生じてしまうほどの言動や振る舞いを繰り返し、かつ、それを自覚していたにも関わらず、その人間性の本質的な改善を怠った部分だと私は思います。
本人のコメントによれば、谷は現在「アップデート中」であるとのことですが、ハラスメント講習やリスペクトトレーニング等を経て具体的にどのような行動を起こしていたのか、起こしているのか、納得のいく形での説明を望みます。

一方で私自身も、谷と創作を活動し続けてきたことに対して責任を感じております。
それらの噂を目撃したわけではありません。その現場にもいませんでした。しかし噂を知ったとき、本当にできることは何もなかったのか。そこには疑問が残るのです。
私は今日に至るまで、何の行動も起こすことができませんでした。「当事者間の問題に介入することで、それが意図しない二次加害に繋がり、被害者の方をさらに深く傷つけてしまうのではないか」と理由づけて、自分を正当化していました。噂について考えないようにしてしまいました。何も聞かなかったことにしてしまいました。何度も疑心暗鬼になりながらも、谷と創作を続けてきてしまいました。これは自分の落ち度と言う他ありません。本当に情けないです。本当に反省しています。谷の作品が発表されるたびに被害者の方たちが苦しんでいたかもしれないと思うと、本当に慚愧に堪えません。
だからこそ、今回先んじて並大抵ならぬ勇気で声を上げてくれた大内さんと宮地さんを見捨てるようなことは絶対にしたくありません。

改めて、今回の件で失望させてしまった皆様、これまでDULL-COLORED POPに携わってくださった素晴らしいキャストやスタッフの皆様に、本当に申し訳ないです。
谷と関わることで深く傷付いた被害者の方たちや、私の周りの人たちへの影響、お客様からの信頼という点から鑑みても、今回の告発を受けて、なおもDULL-COLORED POPで活動を続けることは自分にはできません。

演劇は、クローズドな空間で行われる創作活動です。その性質上、一歩間違えれば簡単にハラスメント行為が起こり得ます。キャリアや立場、年齢、性別に関わらず、全ての人が加害者にも被害者にもなり得ます。しかし、創作のためにハラスメント行為が不可欠だなんてことは決して思いません。そんなことがあってはなりません。現に、お互いを尊重し、高め合いながら素晴らしい創作を行っている劇団、団体を私はよく知っています。

ですからどうか、どうか皆様には、演劇を見捨てないでほしいです。嫌いにならないでほしいです。本件を他人事と思わないでほしいです。
これをきっかけに、ひとりひとりの意識が少しでも変わることを心から祈っています。

被害に遭われたことのある方々。あなただけが悪いなんてことは絶対にありません。あなたは決して1人ではありません。どうか気に病まず、相談する勇気を、声を上げる勇気を持ってください。

本件が公平に話し合われ、真実が明るみになることを、そして何より、被害者の方に適切なケアが施されることを切に願います。

2022年12月20日 阿久津京介

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