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運命の糸

赤い糸だと思ったんだ

私にはそう見えていた
あなたの優しは私にだけ向けられて
はにかんだ笑顔と、その奥の悲しみでさえも
私には見えていたんだ

だからすべてを愛した
どんな顔も全部私が認めてあげたい
そんな弱いところも

そう思っていたけど
なんか、違ったみたいだね
ハサミできっちゃお こんな赤い糸

ぐちゃぐちゃに絡まった赤い糸は
私の小指をちぎってしまいそうなくらい
喰い込んで 私の小指は真っ蒼になってた

なんで気づかなかったんだろう
これが愛だと勘違いしてた
そんなことはなかったのに

私はぐちゃぐちゃに絡まって
真っ蒼になった小指が
ほどなくして血が駆け巡るさまを
見続けた

糸が絡んでいた小指は
一生残るかもしれない痕になっていた
こんななるほど気づかないなんて

最後の最後まで「僕」を捨てるのかって
泣いている彼に また赤い糸を絡めてしまう
そうやって繰り返してきたというのに

誰か運命の糸は赤じゃなくて白ですよって
言ってくれないかな
そうやって人のせいにして生きていく

あとがき
ヤンデレ彼女とメンヘラ彼氏の物語り


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