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テキーラを初めて飲んだのは手の甲に塩をつけながら。

#先日の余談

記憶を遡るとずいぶん昔の話、大学生活をのんびりと過ごしていた。当時はいろいろと自己責任で済まされることも多かった気もするが、美術学部という特殊な環境もあってか、一般大学と異なり、学ぶ環境として学科ごとに部屋が与えられ、その中に自分の制作スペースを確保することができた。自分のロッカーもあってツナギに着替えてから制作していたんだけど、当時は煙草を吸いながら制作をしていた記憶がある。

僕が大学に入ってまもなく、大学院生の部屋にふらっと遊びにいくと、大学院1年と2年の二人の先輩が出迎えてくれて、、部屋の冷蔵庫から冷えたボトルを取り出し、手の甲に塩を盛って、ボトルから小さなグラスに注がれた透明の液体を一口で飲む。銘柄なんて意味は無く、それはテキーラと呼ばれるお酒。

その後、バーテンダーのアルバイトなんかすることもあって、お酒はジン、ラム、テキーラの安くてアルコール度数の強いものばかり好んでいた。お酒を楽しむのは味わいではなく酔いであった。(今は歳のせいか量は飲めなくなったこともあって、多少は味わいを楽しんいるんだけれど♪)

大学を卒業した後、初めての海外旅行としてメキシコに行った。メキシコ人の友人も一緒にいたこともあって、メキシコシティーに着くやいなや高揚を抑えるようにテキーラを飲んだのも懐かしい。

そんな縁から繋がるのだろうか、、2010年、京都市とメキシコ・グアダラハラ市とが姉妹都市30周年となるのに合わせて、京都市内で開催された「Kyoto-Mexico Hermanas 2010」というイベントを手伝う機会があって、そのまま今でもその運営母体である「エルマナスプロジェクト」に所属することになった。

エルマナスプロジェクトの活動の中では、必然的にテキーラに関わることもあって今に至る。


テキーラって何なのか?

テキーラの歴史

テキーラが生まれたのは北米・アメリカ大陸にある「メキシコ」。16世紀、メキシコではヨーロッパから流入してきたスペイン人によって植民地化されヨーロッパの蒸留技法を用いてテキーラの源流となる「メスカルワイン」を造り始める。その後スペインからの独立、そして革命と近代国家への歩みはまさに激動の時代。陽気なラテン人の気質の裏にはいろいろあります。

メキシコの歴史(大きな節目)
・スペイン植民地時代(1521年アステカ帝国滅亡)
・メキシコ独立戦争(1810年-1821年)
・メキシコ革命(1910年-1920年)

原産地呼称制度によって管理されている蒸留酒

テキーラは1974年、メキシコの原産地呼称対象産品として認可されました。その後、1994に設立したメキシコ政府の認定機関である「テキーラ規制委員会(CRT:Consejo Regulador del Tequila A.C.)」によって、その生産過程が厳密に管理されています。テキーラボトルのラベルには必ずCRTの認証があります

メキシコ各地にはメスカル(Mezcal)と呼ばれるテキーラと同じようにアガベを使って製造する蒸留酒があります。ざっくり説明するとメスカルという分類の中にテキーラがあります。スパーリングワインという分類の中にシャンパンがあるのと同じ関係と理解しても良いです。

代表的な蒸留酒(スピリッツ)
・ブランデー『果実(ぶどう、りんご)』(オルホ、コニャック)
・ウイスキー『穀物(大麦・ライ麦・とうもろこし)』(バーボン、スコッチ)
・ジン『穀物(大麦・じゃがいも・ライ麦)』
・ウォッカ『穀物(大麦・じゃがいも・ライ麦)』
・ラム『サトウキビ』
・テキーラ『アガベ(リュウゼツラン)』

テキーラの原産地

メキシコ国内の5つの州のみにて主原料である「アガベ栽培」「テキーラの製造」をしています。ハリスコ州にはその名を冠したテキーラ村という地域もあります。メキシコは海抜が高いイメージですが、海に面した地域も多く地域によって標高差が激しいです。アガベの栽培地は高度600m〜2500mの中で、平地と高地として区分されて栽培されることでテキーラの味わいに影響を与えています。(京都市と姉妹都市であるグアダラハラ市はハリスコ州の州都です)

メキシコ国内の5つの州
・JALISCO ハリスコ州
・NAYARIT ナヤリト州
・MICHOACÁN ミチョアカン州
・GUANAJUATO グアナフアト州
・TAMAULIPAS タマウリパス州


テキーラの分類

テキーラは2つのカテゴリー5つのクラスに分類されています。

原料分類:カテゴリー

テキーラは「ブルーアガベ」と呼ばれる植物が原材料となります。

アガベ100%テキーラ
最近だと「プレミアムテキーラ」とも呼ばれています。僕の経験ですが、美味しいテキーラはアガベ100%です。しかも、混ざりモノがないせいか、翌日二日酔いとして残ることがほとんど無いです。
テキーラ(ミクスト)
テキーラの原材料であるブルーアガベが51%以上必要となります。副原料(とうもろこしなど)の糖類は49%以下という規定となります。

熟成度分類:クラス

蒸留酒である「バーボン」や「ブランデー」と同じように熟成をさせることで味わいが変わります。若いテキーラは青くアガベの味わいが楽しめ、熟成が増したテキーラはまろやかで深い味わいが楽しめます。

5つのクラス(熟成度)
・ブランコ(シルバー):熟成せずにボトリングしたもの
・オロ(ホーベン/ヤング):ブランコとレポサド・アニェホとの混合
・レポサド:2ヶ月~1年未満樽熟成
・アニェホ:1年~3年未満樽熟成
・エクストラ・アニェホ:3年以上樽熟成


テキーラの製造

原料

「ブルーアガベ」が主原材料となります。

ピニャ

ブルーアガベを平均7年間ほど栽培した後、周りの葉を切り落とした中心部のことを指します。アガベ栽培の農夫は「ヒマドール(Jimador)」と呼ばれており、ヒマドールは周りの葉を切り落とす際に「コア」と呼ばれる道具を使って丸くカットして製造工場へ搬入します。

ピニャはテキーラの「味覚」に大きく影響をもたらします。
・サイズ:「甘さ」(大きいと甘いとされる)
・芯:「苦さ」
・皮:「辛さ」

蒸留

ピニャを蒸して絞ったものを発酵させた後、2回蒸留します。

工程
・蒸す:糖が生成されます。アガベネクターと呼ばれる蜜です。
・絞る:バガスと呼ばれる絞り粕を発酵時に利用することもあります。
(参考:ワインの場合はマセラシオンと呼ばれ、葡萄の搾り粕と一緒に発酵したり)
・蒸留器:単式 もしくは 連続式があります。

熟成

アメリカンオーク、フレンチオークなどで作った樽で風味が加わります。バーボンやワインで使用された中古樽を使って独自の風味を作ることもあります。その後、ボトリングは不純物を取り除き、アルコール度数を加水調整(35 - 55%)してから行います。

5つのクラス(熟成度)
・ブランコ(シルバー):熟成せずにボトリングしたもの
・オロ(ホーベン/ヤング):ブランコとレポサド・アニェホとの混合
・レポサド:2ヶ月~1年未満樽熟成
・アニェホ:1年~3年未満樽熟成
・エクストラ・アニェホ:3年以上樽熟成


テキーラのテイスティング

味わいの捉え方は人の好み、一緒に飲む人や雰囲気によって飲み方を変えるぐらいで良いかと思っていますが、できれば美味しいテキーラに出会いたい。

参考程度に♪
・ブランコ:クリスタルのような透明感。鼻と口を通すと蒸し上げたアガベの風味。
・レポサド:ゴールドトーンを帯びた色合い。軽い甘みとフルーティさにソフトな風味。
・アニェホ:銅色のトーンを帯びた琥珀色。まろやかではっきりした存在感のある風味。


最後に、京都ラテンアメリカ文化協会の個人会員にも入っており、毎年微かにメキシコを感じております。思えばメキシコは初訪1996年以来、訪れていない。。。また行きたい♪

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僕のnoteは自分自身の備忘録としての側面が強いですが、もしも誰かの役にたって、そのアクションの一つとしてサポートがあるなら、ただただ感謝です。