見出し画像

国境をめぐるドラマにハラハラする映画5選!

『ボーダーライン』

製作年/2015年 監督/ドゥニ・ビルヌーブ 脚本/テイラー・シェリダン 出演/エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン

国境で起こる過激な麻薬戦争を描く!
メキシコの麻薬カルテルを殲滅すべく、特別部隊に加わったFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)。常軌を逸した極秘任務や人が簡単に命を落とす状況に翻弄されるケイトは、捜査における善悪の境界に悩みはじめるが……。アメリカとメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の闇を、臨場感たっぷりに描くサスペンスアクション。

邦題の『ボーダーライン』(原題は“Sicario(殺し屋)”)が示唆するのは、熾烈な戦いが繰り広げられる国境、そして主人公を悩ませる善悪の境界線。無法地帯とも言える場所で、悪を征するために必要なものはなんなのか? 『DUNE/デューン 砂の惑星』のドゥニ・ヴィルヌーヴが、洗練された語り口で現実を突きつける。

『そして、ひと粒のひかり』

製作年/2004年 監督・脚本/ジョシュア・マーストン 出演/カタリーナ・サンディノ・モレノ、イェリー・パオラ・ベガ、ジョン・アレックス・トロ

生活のため麻薬を飲み込む運び屋に!
コロンビアの田舎町に住む17歳のマリア(カタリーナ・サンディ・モレノ)は夢も希望もない日常を送る中、職場のトラブルで仕事を辞めたうえにボーイフレンドの子供を妊娠。お金が必要なマリアは仕方なく、麻薬を胃の中に飲み込み、アメリカへ密輸する運び屋の仕事を請け負うことになる。

麻薬の袋が体内で破れたら死んでしまうという危険と背中合わせの状態で、計62粒もの麻薬を飲み込み、国境を越えるマリアの旅が壮絶。その旅が終わりを迎えたとき、彼女が選んだ道とは……? サンダンス映画祭で観客賞に輝いたほか、当時新人だったカタリーナ・サンディノ・モレノがコロンビア人として初めてアカデミー賞主演女優賞候補になった。

『ノー・エスケープ 自由への国境』

製作年/2015年 製作総指揮・出演/ガエル・ガルシア・ベルナル 製作・監督・脚本/ホナス・キュアロン 出演/ジェフリー・ディーン・モーガン

徒歩での国境越えの結末とは?
アメリカへの不法入国を試みようとするモイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)ら15人のメキシコ人たち。クルマのエンジントラブルにより徒歩での国境越えを余儀なくされた彼らは、荒れ果てた砂漠を歩き、国境を越えることに。そんな中、突然の銃弾が一行に襲いかかる……。

アメリカとメキシコを隔てる砂漠の国境を舞台に、アメリカでの生活を望む者と移民を排除しようとする者のバトルが展開。摂氏50度におよぶ砂漠でのシンプルな死闘にハラハラドキドキさせられる。監督は、メキシコ出身の名匠アルフォンソ・キュアロンの息子であるホナス・キュアロン。製作は、2015年。後にはじまるトランプ政権が物語の恐怖を増幅させる。

『ウェイバック 脱出6500km』

製作年/2011年 原作/スラボミール・ラウイッツ 製作・監督・脚本/ピーター・ウィアー 出演/ジム・スタージェス、エド・ハリス、シアーシャ・ローナン、コリン・ファレル

砂漠とヒマラヤ山脈の国境越えの旅!
第二次世界大戦下にシベリアの収容所から脱出し、インドまで6500kmにも及ぶ距離を歩き続けた兵士の手記を映画化。『刑事ジョン・ブック 目撃者』などのピーター・ウィアーが監督を務め、過酷な気候条件や飢餓に悶え苦しみながら、国境を1つ、また1つと越えていった者たちの壮絶なサバイバルを描いていく。

スパイ容疑でソ連当局に逮捕されたポーランド軍人のヤヌシュ(ジム・スタージェス)が、仲間とともに極寒のシベリアを脱し、モンゴルへ。灼熱のゴビ砂漠で命の危険にさらされながら、チベットへ。そしてヒマラヤ山脈を越え、インドを目指す彼らの国境越えの旅が、実話ならではの重みとともに得も言われぬ感動をもたらす。

『FLEE フリー』

製作年/2021年 監督・脚本/ヨナス・ポヘール・ラスムセン

アフガン脱出は苦難の連続で超スリリング!
アフガニスタンに生まれた少年アミンは国内の情勢不安に伴い、家族ともども祖国を脱出。現在、30代半ばを迎えたアミンは研究者として成功し、恋人の男性と結婚しようとしていたが、彼には20年以上も抱え続けてきた秘密があった……。

故郷からデンマークに亡命した者の壮絶な半生を、アニメーション映像で描くドキュメンタリー。大人になった主人公が、自身の体験を親友である映画監督に語る形で物語が進む。「故郷からデンマークに亡命」と一口に言ったものの、そのプロセスがあまりにも苦難の連続で、実話であることに戸惑うほどスリリング。生き延びるため、未来に向かうため、逃れなくてはならない人間の心情が胸に突き刺さってくる。

文=渡邉ひかる text:Hikaru Watanabe
Photo by AFLO

この記事が参加している募集

#映画感想文

67,972件

ご興味あれば、ぜひサポートのほどよろしくお願いします。今後の記事制作に役立たせていただきます。