保証なしの仕合わせ同棲生活

「住民票の閲覧制限」なんて言葉、教えてくれたのは私の彼女です。私の知らないことをたくさん知ってる、私の大好きなひと。

私、親からは痛いことをされてきたし、初めての恋人にはストーカーされてるし、今でも警察に一年に一度出向いて、住民票の閲覧制限をかけてもらってるんだ。とにかく何もかもが怖くって。


でもでもそれでさ、私の彼女は本当に変な人なんだよ。住民票なんとかとか変なことをいっぱい知ってるし。
それに「保証」って言葉が大嫌いなんだって。
未来なんて見えないのに、見えるかのような気にさせられて嫌だとか、そんなような私にはよく分からないことをよく言うの。多分、偏屈とかそういうやつ?

彼女は家電を買うと、まず保証書を引き千切っちゃうの。

私はその姿を見ていつも笑っちゃうんだ。だって保証書破いちゃうなんてもったいないじゃん。

でも私が笑うと彼女も笑って返してくれるから、家電を買うの私は実は好きなんだ。


話が急に変わるけどね、私、お料理は得意なほうなんだ。だけど洗い物が苦手なの。

だから私がお料理するときは、彼女が洗い物をしてくれるの。料理は作るのより洗い物をするほうが大変だってことくらい、私にだって分かるんだ。だから私が料理をしたときは、いつも彼女にお礼を言うようにしてるの。

そうすると、彼女はいつも「なんもなんも」って言ってくれてね。

「なんもなんも」って言葉、私は大好きなんだ。すごく軽いようで、それでいてどっしり受け止めてもらえた気がするから。

それで、私、実は実は、今すっごく幸せなんです。

同性同士だから結婚なんてできないし、未来とか保証とかよく分かんないけど、彼女といるとそれだけで幸せなの!

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