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労働基準関係法制研究会(労働基準法改正を含め検討する厚生労働省有識者会議)

「労働基準関係法制研究会」は「新しい時代の働き方に関する研究会」につづいて開設された厚生労総省(労働基準局)有識者会議。


労働基準関係法制研究会

厚生労働省の新研究会(有識者会議)「労働基準関係法制研究会」が開設され、本日(2024年1月12日)公表された。

『労働基準広報』2024年1月1日・11日号(新年特別合併号)新春対談「どうなる今年の労働基準行政」で鈴木英二郎 労働基準局長が「働き方改革関連法について、施行後5年を経過すること、また、『新しい時代の働き方に関する研究会』の報告書を受けて、法の施行状況や労働時間の動向を分析し、法改正の必要性を含めた具体的な検討に着手したいと考えている」と語っていたが、この言葉どおりに法改正の必要を含めた具体的な検討のために労働基準関係法制研究会を厚生労働省が設立。

「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書

昨年(2023年)10月13日に開催された第15回(最終回)「新しい時代の働き方に関する研究会」で労働基準局長は「1回目に私は、今後の労働基準法を改正する指針になるようなものをつくっていただきたいというふうに申し上げたところでありますけれども、そのとき、我々の中でもこんなものができたらいいなと漠然と思っていたものが、本日文章(報告書)になって見させていただきまして、なるほど、これは具体的にこうやるといいのかと、改めて本当にしっかりとした御提言をいただきましてありがとうございます」と述べている。

また、労働基準局長は「今後、私のほうではこれ(報告書)を法改正の指南書といいますか、マニュアルといいますか、そういったものと考えまして、まずは労働基準法をどうしていくか、それからその他の今、水町構成員(水町勇一郎教授)がおっしゃいました関係の法律をどうしていくか、さらには労働政策全般どうしていくかといったときに、これを横に置いて見させていただきながらいろいろと議論をしていきたいと思っています。これから具体的な制度設計になりますけれども、また引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います」とも発言している。

この報告書の「労働基準法制における基本的概念が実情に合っているかの確認」(報告書20頁)には、 労働基準法は「事業または事務所に使用され、賃金の支払いを受ける労働者を対象とし」「労働者が働く場である事業場を単位として規制を適用することで、労働者を保護する法的効果を発揮してきた」が、「一方で、変化する経済社会の中で、フリーランスなどの個人事業主の中には、業務に関する指示や働き方が労働者として働く人と類似している者もみられること、リモートワークが急速に広がるとともに、オフィスによらない事業を行う事業者が出現してきていることなどから、事業場単位で捉えきれない労働者が増加していることなどを考慮すると、『労働者』『事業』『事業場』等の労働基準法制における基本的概念についても、経済社会の変化に応じて在り方を考えていくことが必要である」と記載されている。

第1回「労働基準関係法制研究会」

第1回「労働基準関係法制研究会」は2024年1月23日に開催され、議題は「労働基準関係法制について」。

なお、今日(2024年1月12日)の時点では、開催要綱や構成員名簿などは公表されていないが、開催要綱の中の検討事項に水町勇一郎教授や連合が求めている労働者性の判断基準を見直し労働者範囲拡大が曖昧な表現だとしてもあるかどうか注目している。

✳追記
本日(20241月22日)、第1回「労働基準関係法制研究会」資料が厚労省のサイトに公開され、その資料のうち開催要綱には「今後の労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うとともに、働き方改革関連法附則第12条に基づく労働基準法等の見直しについて、具体的な検討を行うことを目的として、『労働基準関係法制研究会』を開催する」と記載されている。

また、開催要綱によると労働基準関係法制研究会の検討事項は「『新しい時代の働き方に関する研究会』報告書を踏まえた、今後の労働基準関係法制の法的論点の整理」と「働き方改革関連法の施行状況を踏まえた、労働基準法等の検討」とされている。

なお、働き方改革関連法附則第12条第1項には「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新労基法第三十六条の規定について、その施行の状況、労働時間の動向その他の事情を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」と規定され、第2項には「政府は、新労基法第百三十九条に規定する事業及び新労基法第百四十条に規定する業務に係る新労基法第三十六条の規定の特例の廃止について、この法律の施行後の労働時間の動向その他の事情を勘案しつつ引き続き検討するものとする」と規定され、そして第3項には「政府は、前二項に定める事項のほか、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定について、労働者と使用者の協議の促進等を通じて、仕事と生活の調和、労働条件の改善、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者の職業生活の充実を図る観点から、改正後の各法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とある。

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