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産直ECに未来はないの?あるの?

キントなの?と言いたくなる出だしでスミマセン。

前回の記事からの続き

この記事は前回の内容からの続きです。

SNSで産直通販フォロワーをザワザワさせた徳本さんの記事の後編について、引き続き考察してみました。

技術オシ

前編にも増して、後編には徳本さんの、技術という言葉に対するビシビシとした熱が伝わってくる文面が多々ある。

今回、特に重点を置いて説明したいのは、「栽培技術の大切さ」です。
「えぇもん」を作るには、何が必要なのか。

10年近くとずいぶん時間をかけて遠回りしてきましたが、確かな答えを得ました。

技術です。
僕は技術こそが、野菜という食べ物で消費者を満足させ、幸せにするために必要な唯一のもの、と考えているからです。
くどいようですが、土台となる技術なくして販路だけを与えられても、農家は生き長らえることはできません。農家が生き残るためには、ニーズに合った美味しい野菜を安定的に継続して生産していかなくてはいけません。それには技術が不可欠です。

とにかくその”技術”に関するこだわりと、絶対なる信念に、ぐいぐいと読み進んでしまうわけです。

もはや産直ECの未来だけを憂いているというより、日本の農業、農業従事者全てに対してメッセージを発してると言ってもいいでしょう。

美味しさの客観性とは

そんな技術オシの後編の中で僕が注目したのは、前編の中で唯一あまり具体的に感じられなかった、”美味しさの客観性”が、実例を元にして見事に科学的に書かれていた点。

その一つとして、小松菜のえぐみを、肥培管理によって生産者が意図的にコントロールする、というまさに”技術”で美味さを引き出す話があります。

えぐみを少なくし、甘みを増やす技術として「意図的に行う窒素同化」があります。えぐみの元となる硝酸(HNO3)を糖(C6H12O6)に変えるための肥培管理の一つです。
棚持ちについても触れておくと、有機・自然農法に取り組む農家たちの「慣行栽培の野菜はすぐに腐るが、有機・自然農の野菜は腐りにくい」といった発言を時おり、耳にします。これは栽培方法の違いではなく、植物内の硝酸態窒素量、カルシウム(Ca)やホウ素(B)欠乏などが原因です。

美味しさだけではなく、腐りにくい野菜にもなるという。
農業技術など微塵もしらない僕からすると、一粒で二度美味しい、なんという革命的な技術なのだ!
そうだ!技術だ!農業は技術だ!
と、舞い上がって読んでいたのだが、『こんなの当たり前だ』という人や『いやいや、それはそれでアレが違う』という人も、恐らくたくさんいるのだろう。

じゃあ消費者としては本当に欲しい情報ってなんなの?

キントなの?
スミマセン。

しかしながら、あえてイチ消費者として、またイチ通販運営者として、イチマーケターとしての意見を言わせて頂くと、こういう科学的根拠から導かれる美味しさや安全性の根拠こそ欲しい情報だ。

タレントが食べて『あまぁ〜い』とか言ってるのはもう聞き飽きたわけで。

少し話がそれるが、オーガニックコットンを使ったアパレル製品に携わった事がある。
この件にはまた触れますが、人はオーガニックの商品が溢れれば地球にも優しくてイイ事してる!という雰囲気に巻き込まれているものの、実際はオーガニックである事が決して直接的に地球に優しい事ではない、というのはその経験から身に染みている。
超客観性を持って俯瞰して見ると、明らかにそうじゃない場合が多いのだ。
この話はまた別の機会に。

なので、農業においても有機栽培が直接的に美味さや、安全性の客観的要素ではない事は理解できる所だ。

この徳本さんのブログでは、野菜においては美味しさや安全性の客観性は技術が裏打ちすると。
とても理解できる話だ。
そして、現実に照らし合わせた時に、それはいかに生産者と消費者が遠いかという話でもあると思った。

まとめてみる

1. 品質・供給量が恐ろしいほど安定しない
2. 仕入れの基準に客観性が持てない
3. ビジネスが恐ろしいほどスケールしない

徳本さんの掲げるこの3つの理由。
後編を読むと、まるでJAや中間業者が持つ技術を活かした既存のシステムにこそ未来があるように思えてくる。
少なくとも、”現存の産直ECよりは”未来があると思えてくる。

しかし待てよと。
産直ECが始まった理由というものがある訳です。
恐らく一つは生産者側からの中間業者や販売者に対する想い。
もう一つは消費者側から、より生産者に近しく物を買いたいという想い。
そこのスタート時の熱を再度深掘りせずには、未来がないとは言い切れない。

今はまだ産直ECが成長過程にあるという事実も見逃せない。
特に倉庫や運搬におけるロジスティックは相当に変わるだろう。

なかなか深い。そして遠い。

しかしこういう徳本さんの様な毅然とした思考は、トンネルの先にかすかに光が見えている気にさせてくれる。
産直ECに未来はあるのか。
あるの?ないの?
僕が思うにその答えはもう少し先だ。

Thank you and good luck!
Sadao

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