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インハウスのデザイナーとして9年間勤めた会社を辞めました

2019年11月に9年間お世話になったEC支援サービスを提供している会社を辞めました。ひとりのWebデザイナーとして入社し、その後、自分をデザイン管理者にしてくれて、さらに会社の方針を議論する経営会議にまで呼んでもらい、大変お世話になった会社を辞めた理由をあえて書いておきたいと思います。

振り返ってみれば、Webデザイナーとして入社した2010年当時から考えるとデザイナーが活躍できる幅は大きく広がり、ビジネスシーンにおいてもデザインの重要性というものが、世間的にも広がってると強く感じます。個人的には入社当初はプレイヤーとして活動していましたが、組織が大きくなるにつれ管理業務も増えていき、ここ最近では広義で捉えた「デザイン」というものを使って社内外の課題解決のために尽力していました。

後半の数年間は、ほぼデザイン管理者としての業務がメインでしたね。(デザイナーのキャリアステップでぶつかりがちなプレイヤーとして突き進むかマネジメント方面に進むかで悩んだ話はこちら

インハウスのWebデザイナーとして入社するきっかけ

遡ること9年前、いまの「働き方改革」の真逆を実践しているような小さな制作会社で印刷物とWebのデザイナーとして働いていました。そこでは、広告代理店経由の受託業務に振り回されながら、目の前の仕事をとにかくガムシャラにこなす毎日でした。

心身ともにきつい時期でしたが、当時の社長から言われた言葉を時々思い出します。「デザイナーは人を感動させられる職業だ。(作ったものを指して)それが人を感動させられるか?」と。デザイン業務をほぼしていない今でもこれが自分の考えのベースになっています。

自分が作ったものは何かしら意味を持たせたものだが、それが伝わらなかったらまったく意味がない。人を感動させて行動を促すという意識を持つことの重要性を教えてくれました。

また、知識をつけよう。スキルを身につけよう。そんなこと考える余裕もないくらい。そういうものは自分の意思とは無関係に勝手に身につけさせられるような環境でした。いまになってみれば、とても恵まれた環境だったのかもしれないですね。(ただ、二度とあの頃には戻りたくない!)

自分の制作物は貢献しているのか

そんななか、受託のデザイナーであれば、必ず通るであろう感情にぶつかります。「一生懸命作った自分の制作物が、クライアントやユーザーにどう貢献しているんだろう?」と。

制作物は目的があって作ってるわけですから、目的を達成したのか、それとも失敗したのか。必ずあるはずですよね。ただし、残念ながらそこでは、その結果まで見ることは、ほとんどありませんでした。

それでも、もちろんやりがいはありました。多くの人の目に触れる制作物を担当させていただいたときには、それはとても嬉しく、それが世に出た時には心のなかで何度もガッツポーズしたものです。自分が書いたイラストを使用した広告が某雑誌に掲載されたときには、その雑誌を無駄にまとめ買いしたりもしました。

いま思えばそのやりがいは、ビジネス視点ではなく、独りよがりな自己満足に近かったように思いますが、当時の自分にとっては、大きなモチベーションになっていたのは間違いないですね。

そんな環境のなか、ふと自分が作った制作物の結果が気になりました。なにかしら課題を解決するためのデザインのはずなのに、それを達成してるかどうかまで求められる環境ではありませんでした。今でこそ、マーケティングもできる制作会社は少なくないと思いますが、当時の受託メインでやっている制作会社は作っておしまいの仕事がとても多かったと思います。
それは、ある意味クリエイティブなところに集中できる環境ともいえますので、全く否定するつもりもないですが、個人的には作りっぱなしじゃなく、その商品やサービスの成長を手助けできるデザイナーになりたいと思ったのが、インハウスのデザイナーを選んだきっかけです。

このへんは、同じようにインハウスを選んだデザイナーさんは共感いただけるのではないでしょうか。実際に前職で面接官として、いろいろな方とお話しさせていただきましたが、そういう志望動機の方はとても多かったですね。

辞めた理由は、よりインパクトを与えられる環境

さて、そんなやりたくて入社した会社を辞めた理由はなんでしょう。

辞めた理由は、決してひとつではないですが、端的に言えば「より必要としてくれる環境で、より大きなインパクトを与えられる環境が見つかった」ということです。

生意気ですが僕には人生のテーマがあります。「より多くの人に感動というインパクトを与える」というものです。ひとりでも多くの人に幸せな気持ちを感じてもらうために、自分はなにができるか。ということを常に考えながら、活動するようにしています。

こう書くと、前職ではそんな影響を与えられる仕事でなかったのか?となってしまいそうなのでフォローしておくと、前職のサービスには数万のユーザーがおり、サービスを通して多くのユーザーに喜んでいただける仕事でした。ただ今回は、それよりも「より大きな」インパクトを与えられる環境が見つかった、というのが決定的な理由です。

こんなに長くいるつもりもなかった

そもそも、Webデザイナーとして入社して、ひとつの会社でこれほど長い期間在籍しているつもりではありませんでした。なぜなら、インハウスデザイナーの一番の弱点は、偏ったデザインスキルになってしまうことだと思っていたからです。さまざまな商材やサービスの多種多様なデザインの経験が少なくなってしまうことに周りのデザイナーを見て危機感を感じていました。今となってみれば、これらは努力次第でどうとでもなりますが、当時はそう強く思い込んでたところがありますね。

そんななか、9年間も続けられたモチベーションはなんなのか?それは、裁量の大きさでした。前職では、こうした方が良いのでは?こうすることでもっと効果がでるのでは?という提案に対して、耳を傾けてくれる環境があり、デザインに関わる部分については、大部分を任せてもらえていました。(もちろん最初からそんな環境だったわけではないので、そのあたりも別で書こうと思います)

在職期間中には、今をときめく有名なIT企業への転職も考えました。そこで思いとどまったのは、やはり裁量の大きさです。自分の考えたことがカタチになっていく楽しさや、協力してくれる仲間たちと一緒にプロジェクトを進められることが楽しく、とても居心地がよかったんだと思います。

インハウスデザイナーの魅力

もちろんインハウスデザイナーの魅力は、たくさんあります。ひとつのサービスに特化し、プロダクトやプロモーションのデザインを追求することは、インハウスデザイナーでないと、なかなか経験できないですし、実際に数字になって効果がみえると自信にもつながります。数字を見ながら常にサービスを成長させることを考えながらデザインできていた経験は、とても貴重なものだと思っています。

また、それらは今のデザイナーには必要不可欠なスキルだとも感じたりします。次の転職でインハウスデザイナーを検討しているデザイナーさんがいたら、僕は自信を持っておすすめしたいです。(特に定量的に成長を促す施策を能動的に考えられる人)

新しいことに挑戦できることに感謝

2020年、新たな時代に自分自身が新しい挑戦をできる環境にとても感謝しています。

現在では、グループ企業のブランディングに関わる業務に挑戦させてもらっていますが、入社に至ったのは、これまでの自分の経験を買ってもらえたからです。
その経験は、とても一人でできることではありません。評価して裁量をくれた社長や一緒に協力してくれるメンバー、常に味方となって闘ってくれる仲間なくしてはできるものではありませんでした。

そんな僕に関わってくれたすべての人に感謝するとともに、なんらかのカタチで恩返ししていきたいと思っています。
なんだかnoteに初投稿で決意表明みたいになってしまいますが、これからも「より多くの人に感動というインパクトを与えられる」ように日々精進していきます!

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