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披露宴に出た所感①

天国と地獄とはこういう事なのだろうか。
 以前この某記録に友人のスピーチについてぐだぐだ書いたがその後の話を追記したいと思う。

 結果的にスピーチの内容自体は満足してもらえた。ただそこに至るまでの過程とその後に関しては地獄だった。

 午前10時30分僕はみなとみらいの駅にいた。友人の結婚式はみなとみらい駅から徒歩10分ほどで到着するホテルにて行われる事になっていた。電車の中では当日の明け方に完成させたスピーチを何度も復唱し、しまいには酔い止めを飲んでいたのに電車に酔い、最悪のコンディションの中おめでたい日が幕開けた。僕は同じように結婚式に招待されていた高校時代の友人と駅で待ち合わせをして会場に向かう事にした。

 以前にも記載したがスピーチをお願いされた後僕は同じように招待された友人たちにスピーチのアドバイスを求めたが見事に何も参考にならないラインが6人からそれぞれ1件ずつ合計6件のみ届いただけだった。
 待ち合わせの約束をしていた2人は先に到着しており僕と合流したのち式場へ歩き出した。出会した瞬間から2人は僕の異変に気づいておりニヤニヤしながら『今日楽しみにしてるよ』とか『さぞかし面白い事話すんだろうな』とか口々に口撃してきた。そんな中ふと僕以外に余興的な事をやる人はいないのだろうか?と思った。このぐちぐち僕を追い込んできているこいつらこそ余興とかをやりそうな気がしていたので聞いてみたが、そのご発注は頂いていないらしい。「んだよ」と思いながら僕はみなとみらい駅の巨大エスカレーターで上に上がって行った。地上に出た僕たちはスマホのナビに従い式場まで徒歩で向かう事にした。さすがみなとみらいである。背の高いビルが多くとんでもない高さから見下されてる気がして、さらに気持ちが落ち込んだ。

 ナビに従い歩いている僕らだが少しおかしい。距離を見ても絶対に予定時刻につかない。招待状に書いてある徒歩8分の倍くらいかかるのである。「やばいな、集合時間間に合わない」と僕は2人に伝えた。友人は少し戸惑うかと思ったが、「ここの式場にしたやつが悪くない?」と一蹴された。そういうやつらである。そしてなんとなく「そうだよな」と思ってしまう僕である。

 でかいビル群やら、でかい橋やら、休日の態度のでかいカップルやらを抜き去りやっと式場が見えてきた。なんだか後ろが騒がしい。卑猥な言葉がはっきり聞こえた。「どんだけ治安悪いんだよここは!」と思って振り返ると我々の仲間内の2人であった。情けない。それなりに人が右往左往しているみなとみらいから商業施設に向かう道に異様な領域展開が繰り出されていた。「おっす」と話しかけ我々もその領域に入ってしまったので必中圏内であり爽やかな休日を汚す共犯になったのであった。そしていよいよ式場前についた所で最後の友人の1人出会した。こんなRPGのように仲間を増やして式場前に到着したのだが我々は全員遅刻である。

 式場はホテルに併設しており、正門のような所から少しストロークを歩いた先に建物の入り口があり、そこから新郎新婦の関係者の待合室に向かわなければならない。当たり前だがとても綺麗な場所であった。そこでだ、受付時間が終了しているため知り合いがほぼ来ないとふんだ新郎新婦がオプション的なやつで写真撮影をしていたのである。そんな楽しいエサに釣られないわけない領域展開中の我々、友人の一人がさっそく「パンパース!」と叫びながら体をくねらせ新郎新婦に近づきだした。騒然とする式場スタッフ、苦笑いを浮かべる新郎新婦、ゲラゲラ笑う友人達、あんまり余裕のない僕、、とはいいつつも誰かが止めないと終わらないので、僕が止める。だいたいストッパー役は僕なのである。「やめとけよ」といつもの調子でパンパース行進を止めた僕は、それとなくおめでとうございます。と新郎新婦に伝え、建物の入り口に入る。他の仲間もぞろぞろと新郎に一言添えて入り口に入る。「ありがとう」と新郎は幸せそうな笑顔を浮かべた、そして一言「遅くね?笑」とも。そりゃそうだ、全員遅刻してるんだから、そして何が恐ろしいってまだ何も始まっていないのだから。

 関係者待合室に入り僕は驚愕した。結構人がいる。さっき初めて新婦さんを見たのだが、新郎新婦合わせてなんだかカースト最上位みたいな2人であった。結婚式場のモデルとかにもなってもおかしくない2人だった。その友人となればやはり類は友を呼ぶと言った感じである。我々の見た目は僕の事は置いておいてまあ年相応の普通感じであるがそれでもちょい浮いている。僕のようなメガネの小デブはなおさらだ。そしてさらに追い打ちをかけたのが知ってるやつがいない。読者の皆さんは「そりゃそうだろ」と思うだろうが訳を述べさせてほしい。遡る事半年前、新郎からスピーチのお願いの電話が来た時に「お前ならまあ無難にやってくれそうだし、あと皆お前のキャラとか知ってるから適任だと思うんだよね」と言われた。僕は結構高校時代の人呼ぶんだろうなと思っていた。しかし、今この待合室をざっと見渡しても知っている顔が全くいない。「いやいや、え?」「初見の人しかいないんだけど。」さらに具合が悪くなった。

 とりあえず何か飲もうとした。そういえばスピーチの不安からサイダー500mlを速攻で飲み干し、口がカラカラになっている事に気がついた。全然知らない人達の間をすり抜け僕は待合室のバーカウンターにたどり着き、お茶的な物を飲もうとした。そこで声をかけられた。女性の2人組であった、彼女たちは新郎の友人であり僕の高校の同級生でもある。2人の内、1人は学生時代に僕のポケットに入っていた50円をなぜか「ちょうだい」と言われて回答する前に奪ってきた元盗賊である。2年くらい前に新郎に呼ばれた飲み会で初めてちゃんと会話し和解をした。もう1人は僕の友人が好きで珍しい苗字をしていたのでおもしろ三文字と影で呼んでいたくらいしか思い出はなかった。(最低ですね)

「クニサダ君、今日スピーチやるんでしょ、楽しみだな、期待してるね」「他には高校の人誰きてるの?」と言われた。なんなんだ、スピーチするやつにプレッシャーかけんの流行ってんのか。まあここから分かるように、僕の高校時代の知名度は確かに高いようだ。理由はまた別で書けたらと思う。

 とりあえず、同じ高校のメンバーを全員紹介して再度飲み物を取ろうとした僕だったが、バッチリのタイミングで結婚式のスタッフが「それでは皆さん、こちらへ移動願いま〜す」と案内をしてきた。そもそも遅刻気味で来場し、玄関先でふざけ倒した我々はこれ以上遅延行為を働くわけにはいかない。僕は最初の給水ポイントを諦める事にした。次の場所に移動する際、ずっと手に持っていた三ツ矢サイダーの500mlのペットボトルを待合室に置いて行こうとした。式場のスタッフさんが廃棄してくれるだろう。その時、僕の友人が「クニサダ、ペットボトル置いていくなよ!」と叫んだ。なんてやつだ、待合室の中の人間がじっとこっちを見てくる。友人はニヤニヤしている。僕はあわあわしている。別に悪いことしていないのに、大声で指摘すると内容はどうであれ、言われた側に非があるように見えてしまうようだ。おめでとう、説が立証されたので僕は仕方なくこのペットボトルと次の場所に移動する事にした。叫んできた友人にできる限り小声で文句を繰り出しまくった。

 いつ来てもこのチャペルという場所は落ち着かない。特別感がありすぎるのだ。鳥貴族と同じような直角の木の椅子に僕らは座っていた。結局グダグダしたのでチャペルについたのは招待客の中でも最後の方であり、我々同じ高校のメンバーは新郎側の一番後ろとその前の列に着席していた。僕が座っていたのは、後ろから一つ前の席のヴァージンロード側だった。つまりベストポジションだ。ちなみに片手には三ツ矢サイダーの500mlのペットボトルを持っている。こんなに落ち着かない結婚式は初めてだった。なぜならこの後スピーチがあるからである。チャペルの後ろの方の席に座って改めて参列者を見たのだが、やはり知り合いは本当にいない。かろうじてこの列とその後ろの合計8名くらいだ。ざっと見ても100名は参列者がいるとなると10%も僕の事を知っている人間はいない事になる。僕の心の中に浮かんだのは「嘘つき」である。こんなにも新郎新婦に邪念を持って挑む結婚式など今後絶対ないと思いたい。ただ、初めてなのはこれだけではなかった。

 なんだか後ろの列が騒がしい。後ろの列には友人2人とさっき話た同じ高校の女子2名と全く知らない女性2名だった。僕が後を振り返ると視界がピンクになった。このピンクというのは別に抽象的に雰囲気を表しているのではない。本当にピンク色なのだ。僕の友人がピンク色の全身タイツになっていた。正直何が起きているのか一瞬よくわからなかった。ピンクのタイツに顔は人間の顔そして律儀にネクタイだけはしている。やっぱり聖なる場所だから天使的な存在はいるのだろうか。それにしては汚い。「いや〜、まだ来ねえのかな」とピンクの塊は平然と言葉を発した。もうこれに関してはツッこむのも野暮だなと思い。とりあえず笑った。僕らのわちゃわちゃが騒がしかったようで、異変を感じたチャペル全体がざわつきだし、この場所にそぐわない私語が飛び交っていた。しかし、僕はもうこういう事は慣れている。まあこいつはこういうやつだし、やりたいようにやるべきだと思う。まあこいつが我々の仲間内で一番最初に結婚し子供も生まれ家も買った男なのだが、ストレス発散も兼ねているのだろう僕らも上手い事結婚とかしたらこんな感じになるのだろうか。ピンクは嫌だな。

 ピンクの天使は(天使と思う事にした)そのなりとは裏腹に落ち着き払い、凛と座っている。逆に不気味でまじでここのヌシみたいになっていた。実際外からはどう見られてるのだろうかと考えてしまい、さらに不安が増幅した。俺らは良い、この状況に関して驚きもない。俺ら以外のざわついている参列者は?幸いにも両家の親御さんは怪訝な顔をしていないのは救いだった。一番は新婦だ。一生に1回であろう大事な式をある意味ぶち壊そうとしているようにも見えるのだから。そして次に同じ列に着席している赤の他人の2人も被害者だろう。良い子も悪い子も真似しないでね。

 後々聞いた話だと新婦も喜んでいたらしい。唯一怪訝だったのは式場のスタッフらしく、我々がピンクの天使が降臨した時には音速で新郎新婦に「あの、、なんかピンクの人がいるんですけど、つまみ出します?」と聞いてきたらしい。みなさん、この式場は適切な対応をしてます!素晴らしいです。
 どうやらつまみだされる寸前だったらしいが新郎新婦の怖いもの知らずの懐の深さで難を逃れたらしい。そしていよいよ結婚式が始まった。

 壮絶な現場であった。新郎新婦が入場してくる感動のシーンで最初にピンク色の塊が目に飛び込んでくるのである。しかもヴァージンロードを歩いていくと主に進行方向右側から祝福なのか野次なのかと思いきや、ただの質問を繰り出してくるのである?「これは結婚式でいいの?」とか「ん〜見えな〜い」とか言ってピンクの塊がドラゴンボールに出てくるタオパイパイがつけているメガネみたいな双眼鏡を取り出し式の最中ずっと覗いていた、どどん波でも出すんかこいつ。新郎新婦が神父の前に到着してからはずっと僕に質問が飛んできた。そしてそれに応えながらいなしている僕も同罪なのだろう。他fだし、おふざけ質問群の中で「アプリの青春ナインやってる?」と聞いてきたテメーはダメだ。改めて我々に混ざってしまった女性2名の方申し訳ありません。
 景観の侵害、致死量の私語、讃美歌の無断参加、数々の悪行が行われた結婚式もなんとか終わり、いよいよ披露宴、つまり僕のスピーチが差し迫ってきた。もう帰りたい。

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