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いつかまた逢えるなら

今年は元旦から
大きな地震で始まって

大切な人を亡くし
途方に暮れるばかり──

☆☆☆

こんにちは!
フジミドリです♡

詩絵しえ物語】は日曜の午前10時に公開しております。残り9回の予定です。

道術家どうじゅつかの私が、地震で伴侶を失った方の動画から過去を振り返り、感じたまま詩と物語へ組み直し、朔川揺さくかわようさんの絵に添えました。

創作の背景など、別サイトへ揺さんとお喋りしつつ、木曜の朝9時に公開です。

では早速──

☆☆☆

彼はいつも孤独だった。

いるべきではない場所にいる。そんな思いがいつも心の底で響いていた。いるべき場所があるはずだ、ここではないどこかに。

それで、家族にも友にも誰に対してにも、彼の芯がゆるむことはなかった。

ある時、彼は出逢う。

魂が震えた。彼女もまた孤独ひとりだとわかった。いるべきではない場所にいる、そんな思いを分かち合ってくれる。

守りたかった。

二人であくせく働いて、束の間に笑い合う。けれども、いつの間にか身も心もすり減っていくのだった。

気づけば、もはや守り切れない状態になっている。どうすることもできなかった。

やがて別れがくる。夏の静かな朝。彼女を看取る。それからずっと、彼は自分を責めた。

また元の孤独へ戻る。

ある朝、風が吹く。風の中に懐かしい息吹を感じた。彼女はいるべき場所にいる。いつも自分のそばにいてくれる。そう思えた。

もう孤独ひとりではない──

☆☆☆

『おいおいヤバいぞ。動画でも伝わってくるよ、地震の悲惨さ。うわー大変な体験だぜ。この被災者さん、オレと同年代だな』

『ひえ~自分が二階、奥さん一階でテレビを観ていて……五十年連れ添って。うーん。決まってんだよな、これも。けどさぁ』

『いや~マジつらい。わかるなその気持ち。キツいぜ。どうしたらいいんだろ。身につまされる。ミドリが逝った頃を思い出す』

『オレの理解なんて、まだまだ浅い。口先だけだな。こんなの見せられちまったら、何も言えねえもん。ただ祈るしかできないよ』

☆☆☆

死んでしまったあの人は
もうどこにもいない

消えてしまった

それは寂しい
それは切ない
それは哀しい

だから──

ここにいる
わたしの胸の
奥深く

今この時もいてくれる
そう感じたい

死んでしまったあの人を
思い出す時はいつも
わたしの傍に来てくれる

泣かないで
ここにいるから
悲しまないで
大丈夫

いずれ逢える
その時まで
待っているわ

死んでしまったあの人も
わたしを思い出して
くれるだろうか



イラストは朔川揺さん💖
待つしかあれへんな

☆☆☆

お読み頂きありがとうございます!

次回は4月21日です。

ではまた💚



ありがとうございます🎊