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祈りの雨 | #青ブラ文学部


「明日は雨が降りますように…」

運動会が嫌いなマミはそう毎年祈っていた。

学校は嫌いなわけではないし、友だちもいる。でも体育は苦手で、鉄棒や跳び箱もみんなのようにできない。

休み時間のドッジボールもうまくボールを投げられないし、ボールをうまく受け取れないから相手チームのターゲットとなりすぐに当てられ外野へ、そしてそのまま終了となる。

運動会なんて最悪だ。
各クラス身長順に並び、横並びになった他クラス児童との徒競走はいつでもビリ、ビリになることがわかっていても、大勢の観客の前で全力で走らなくてはならないし、走り終わった後に順位の数字の書かれた旗の後ろに並ぶのは屈辱的だ。

-お前たちはビリだ!-

長い時間、晒し者になる。
きっと友だちの親たちも思っている。

(マミちゃん今年もビリね…)

遠足も山登りの前日は祈る。

「明日は雨が降りますように…」

頂上に到着するまでのきつい登り坂に息を切らして苦しくなり立ち止まりたいが、皆の迷惑になると思うと立ち止まることさえ出来ない。
お弁当を食べるまでは苦しい時間だ。

「明日は雨が降りますように…」

苦手な行事のたび、いつも前日に祈っているマミだが、なかなか雨は降らないもので、小学校生活六年間で、雨が降り完全中止となった運動会も遠足も皆無であった。

(おわり)

祈る
祈る
祈る
祈る

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山根あきらさん
いつもありがとうございます。

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