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幸せは空の彼方

架空クライアントさんと、ズームセッションの設定で、無料部分1話完結のエピソード。有料部分には、近未来SFが同時進行です。
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あたし、努力したわ。コツコツ勉強、一流大学に合格。総合職で入社。キャリア優先で、のし上がった。でも、突然の病気なんて──自分に裏切られた気分よ。

『こんにちは、フジミドリです』
「お時間、いただいて、ありがとう」
『こちらこそ。ご縁に感謝です』
「私もう、時間がないの」

『おツラそうですね』
「医者も見放した、ってとこかしら」
ご自身はいかがでしょう』
「私──そうねえ。わからないわ」

あら。考えちゃう。虚を衝かれた感じ。医者も見放すと言ったら、フツーはビビるのに。まぁ。ウソではないけれど。

 🌊 🌊 🌊

『見放してなど、いらっしゃらない。そう感じます。まだ、何かあるのです。この世で、やり残したこと。でなければ、ここへはおいでにならないでしょう』

「でもね、フジミドリさん。私、いろいろ読んでみたの。本やブログ。カウンセリングやヒーリングだって受けたわ。だけど、なんかしっくりこないのよ」

医学は体だけ。対症療法。病は気から。それなら、心をどうする。手放しなさい。許しなさい・・この人生、あなたが組み込んできました。今生での学びなのです──

「許そうとしても、許せないの。自分も他人も許せないの。どうやっても、できないわ。手放そうとしても、絡みついてくるの。離れないわ。どうすればいいかしら」

そのままでよいのです』

 🌸 🌸 🌸

つい笑ってしまう。気を悪くしたかな。構わないわ。今さら怖くないもの。お金を払っているんだし。この際、言っちゃえ。

「このままでよい。そうね。そう思えたら、どんなにいいかしら。でもムリよ。あたしにはムリなの。このままでいいなんて、どうしたって思えないわ」

やだわ。抑えてきたつもりなのに、泣きそうよ。この人が悪いわけじゃない。だってね。ココアの法則ってそうだもの。そんなの、わかっていたはずよ。

『わかります。お気持ち。私もそういう時、ございましたから。でもだからこそ、お伝えしたい。そのままでよいと。ちょっとしつこいですけどね』

 ⚡ ⚡ ⚡

この人生、どこがどう、このままでいいの。気がついたら、あたしはグチっている。止まらない。仕事優先で生きてきた。評価もされた。もちろん、逆境もあったけど。

でも、歯を食いしばって乗り越えたわ。健康だって気を遣ったの。幹部職はメンタル命。人間関係も、コントロールしたのに──

ああやだ。見舞いに来てくれる、両親の気遣いが重いなんて。当たってばかり。そんな自分がイヤ。妹の励ましも鬱陶しいの。平凡だけど幸せな暮らし。羨むあたしはイヤな女。

 🗿 🗿 🗿

「ごめんなさい。グチっちゃった」
『ぶちまけちゃって下さい』
「うふふ。ぶちまけちゃったわ」
『いつでも、意識の世界でお聞き致します』

「あら。いつでもいいの❓」
『意識の世界は、時空を超えますから』
「それなら、遠慮なく」
『吐き出せば、入ってくるのが法則です』

あら。不思議。おなかのあたりが、じんわり暖かいわ。体の芯から、解きほぐれていく感じよ。ああ心地よい。なんだろう。この感じは。なんだかとっても懐かしい。

 🌷 🌷 🌷

『このままでよいの反対は、このままでよくない、つまり否定です。否定の在り方から始まれば、行きつく先も否定となります』

「そっか。このままでよいから始めたら、このままでよい結論に辿りつくのね。途中が、どんな風に、変化してもしなくても」

『そうです。このままでよくないと思えば、自力でなんとかなさろうと頑張っちゃう。でも、考えて下さい。私たちの体は、髪の毛一本すら、自由になりません』

「ホントね。意志や努力が通用しないわ。もう、どうにでもして頂戴って心境よ」

『はい。そうなるためのご病気、とさえ言えるのです。自力が通用しないのなら、ここでようやく他力、つまり魂の力に頼れます』

 👼 👼 👼

「魂の力って、霊的世界のことね。でも私、そういうの見えない。聞こえもしない。信じられないわ。見えたり聞こえたりする人は、羨ましいと思うけど」

『いえ。本来、見えたりしません』
「あらそうなの。え。そうなの❓」
『守護霊や天使のなりすまし、多いんです』
「低級霊とか、浮遊霊とかいうやつね」

『高級霊でもウヨウヨいます』
「え。悪霊なのに高級霊。手強そうだわ」
『そりゃあもう、大抵は騙されちゃう』
「あら。霊界のオレオレ詐欺ね」

 👽 👽 👽

『愛と調和で救われる、な~んて、もっともらしくほざきます。許しなさい、手放しなさい、執着しちゃダメ。自分ができなかったくせに、平気で言いやがりますから』

言いやがるのね。高級霊の悪霊さん」

『私たち、誰もが必ず死ぬのです。オギャアと生まれた瞬間、カウントダウンです。90年かけて、ゆっくり自殺してる。生きるための人生じゃありません。死ぬためです』

「それ、ウケるわ。みんな同じなのね」

『私たち、ただ生きていれば、魂は理解してくれるのです。任せておけばよい。このままでよいのですよ。お好きなことをなさって、愉快にお過ごし下さい』

 💃 💃 💃

「そうね。VRで、病院のベッドから、どこへだって行けちゃう。なんでもできる時代よ。もう、想像だかリアルだかわからないわ」

『魂から見れば、私たちの体は、まさにVRなのです。VRにのめり込むか、プレイヤーの立ち位置を思い出すか、それだけの違いです。でも、とてもとても大きな違いです』

「思い出したら、どうなるの」
このままでよいと感じられます』
「あら。もしかして、逆も真なりかしら」
『ご明察。畏れ入りますm(__)m

 🎥 🎥 🎥

そっか。わかった。そうだったのね。このままでよい。そう囁く瞬間、あたし、思い出してるんだわ。生まれる前にいたところ。これから還るところ。ずっといたのね。

気づかなかったわ

あら不思議。な~んだ。みんないるわ。誰も彼も、ここにいるんだわ。よかった。

 🌴 🌴 🌴

次回・5月16日・午前10時頃💗

1985年御巣鷹山の日航機墜落事故。風化しつつあると聞き及びます。死者520名。坂本九さん、享年43歳でした。

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