自分を動かすものは
妾は仙骨じゃ。
またの名を神と呼ぶ。
ふっふっふ
骨が神であるとは
聞いたこともなかろう
ある朝、初老の塾講師は、起き掛けの寝ぼけ眼で鏡を見つつ、突如として悟ったのじゃ。
自分を動かしておるもの
良きかな良き哉──
☆☆☆
こんにちは!
フジミドリです♡
今日の私物語は仙骨が主人公……
初めてお読みの方は、驚かれてしまいます。骨を主人公に据えた物語なんて。
小説のような随筆のような私物語。熱意溢れる主題はございません。気の利いた教訓などないのです。
お楽しみ頂ければ嬉しく思います。
では早速──
☆☆☆
『やれやれ~皺が~シミが~』
(知恵を積み重ねた印じゃ)
『いやいや~トホホだぜ』
(愉快な男じゃのお)
『ちょっと待ってくれ』
(ふっふっふ。どうした)
『うーん……あんた、誰?』
(お主は妾をなんと心得おる)
『わらわ……いや知らんけど』
(聞いて驚くがよい)
『ウワーソレハオドロイタ』
(まこと愉快な男じゃ)
☆☆☆
それにしても滑稽な。
こやつ、鏡へ目を見開く。顔が右左と向き、歯は剥き、目尻も指で伸ばしたり。
そうした仕草をしながら、こうして妾と会話しておるのじゃからな。
☆☆☆
『それであんた、何者よ』
(わかっておるくせに)
『偉そうだもんね』
(好きに呼べばよい)
『オーケーOK。オレの芯で、何でもわかった風に話せるってことはだ』
(神という言葉が浮かんだかのぉ)
『ヤだね。オレの思うことが、みんなバレテーラか。ウソも隠しもできねえ』
(ふっふっふ。心地よかろう)
☆☆☆
ようやっと話は繋がった。
これまでにも何度か、斯様な機縁があったものの、なかなか続かんかった。
それも諾からぬ。
如何せん、外へ外へと意識を引き立てる雑音の多過ぎる世情じゃ。
☆☆☆
『オレ的に不満あるわけ。あんたが全能の神って言うなら、心身の不具合、なんとかして欲しいんだよね』
(気持ちはわかるがな。そう簡単にいかんのじゃ。お主が前世で理解した通り、展開しておるのじゃから)
『やれやれ~トホホだぜ。じゃあ、辛くて苦しいの我慢して、死ぬまでこのまま耐えろってわけ。やってらんねえよ』
(妾としても、何とかしてやりたいが、法則は曲げられんのじゃ。そもそも、お主の魂が納得して組み込んだ人生じゃからな)
☆☆☆
法則は一つ
意識が先で現象は後
思った通り叶う
ただそれだけじゃ。唯一絶対の完全完璧なる存在しかない。妾はある。そして意識する。
意識したことが顕れる。ただそれだけであるのじゃ。わかってしまえば造作ない。
全て創り出せるのじゃから──
☆☆☆
『いや、理屈はわかんだけどさ。どうにも納得いかないわけですよ。ね。本当の自分が創ったのに、なんでオレが苦しむの?』
(じゃからこうして話しておる)
『あんたと話せば楽になるのかよ』
(本当の自分と繋がればよい)
『あーもしもし、本当の自分さん。ちょっとクレームだけどさ。辛いの苦しいの金がないの、もう沢山だ……聞いてる?』
(聞いておるぞ)
『あんたじゃなくてさ』
(他に誰がおる)
『神だよね、あんた……』
(妾は本当の自分と繋がっておる)
『ちょい待ちぃ、本当の自分て神?』
(その通りじゃよ。思い出せんか)
『スビバセン。記憶にないです』
☆☆☆
もちろん、思い出せつつあるからこそ、このように語り合う時が持てるのじゃ。
地球は多い
まだ妾と出会いたくない魂
雑音に浸りたくて
己は神へ連なる存在にあらず。欲望と想念で覆われた人間にすぎず。 一度きりの人生……
然して心の奥底に真理は宿る。永遠へ続く魂でなければ、勝手放埓で生きようもの。
☆☆☆
『たーしかに確かに。それはわかる。一度きりの人生と思えば、法律なんて守らねえよ。向上しようなんて考えるやつはいないさ』
(死んで終わりなら、より善く生きようなぞ考えまい。魂は知っておるのじゃ。前世があり来世のあることを)
『やれやれ~オレが苦しんで理解して、来世は自由自在で心地よいってか。オーケーわかった。なりましょう、犠牲生贄貧乏籤』
(ふっふっふ。安心するがよい。今ここでお主は救われておる。自分を信じることじゃ。孤独にあらず。多くの波動が守る)
☆☆☆
子宮に包まれる胎児の如く、守護神霊が覆う波動の球体。目を閉じ心澄ませば感じよう。
いつ如何なる時も。
統べて委ね任す時、大いなる道は拓けよう。背骨の底に控える妾の光を感じて──
☆☆☆
『誰も何も信じられん。裏切られてばっか。自分の心と体が一番信用できねえよ』
(知るのじゃ。信じるとは深く知ることぞ)
『へえへえ、わかりやした。あれもこれも前世のオレ、怒れねえよ、チキショー』
(ふっふっふ。素直な男じゃのお)
☆☆☆
お読み頂き、ありがとうございます!
次回の私物語は4月23日午後3時です。
明日午後6時が西遊記の創作談話♡
是非、いらして下さい☆
ではまた💚
ありがとうございます🎊