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辞書で味わうカラダの記憶

今朝、郵便屋さんがお届け物を持ってきた。
手には紙袋にくるまれた小包が。
ありがとうございますと受け取る。
ずっしりとした重さが手首に集まった。

重さと分厚さにわくわくしながら、
紙袋にぐるりと巻かれたガムテープを勢いよくはがす。
紙袋がびりびりと破れる。
中には真っ赤な地色にシルバーの箔押し文字で
新明解国語辞典がお目見えした。

なじみの動きはカラダが覚えている

箱から辞書を取り出す。
さっと広げる。
薄くてデリケートな紙を、まるで金魚すくいで捉えた金魚を器に上げるべく濡れたもなかを破かないよう慎重に持ち上げるかのようにめくる。

ふと懐かしい感覚がこみあげてきた。
学生時代は授業中によく辞書を引いた。
昔なじんだ動きは時を経てもカラダが覚えているようで、黒板を正面にして椅子に座り机に広げたノートやテキストの上で辞書をひく体感覚がよみがえってきたのだ。


辞書の香りをかいでみた

辞書ソムリエのおふたりがYoutubeで
「旺文社の国語辞典はいい香りがする」
と話していたのを思いだす。
新明解国語辞典をくんくんしてみると
ちょっと甘めでどこか酸っぱいような、
まるみをおびた香りがした。


つづく


▼たてものと暮らしのエッセイです▼

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