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【小説】SNSの悪夢

『よし分った。』心の中で呟いた、こいつがSNSで叩いていた人間だろう、立花は気持ちが高揚した。

これで知りもしないで勝手に書いた奴に一泡吹かせてやれる、ニヤニヤとしながら、写真を見ている。

女だ、何となく分かった気がした、男とか女とかは気にしてないが、最初に見つけたのは男、次が女、性別は関係なく文句を言いたい人間が居るんだな。

さて、こいつも付いて行って、何か有ったら直ぐにSNSで書いてやろう、知らない事は罪じゃないが、知らないのに知ったふりをして発信するのは罪だ。

その罪がどんな物か味わって貰おう、理解できないかも知れないけどな、そう考えながら、女の後をつける事にした。

本人に何も無くても、家族には何か有るかも知れない、共同責任って言葉が頭に浮かぶ。

子供の頃、クラスの共同責任って言葉に反発を持ったものだけど、自分は彼女にも迷惑が及んだ。

家族も共同責任ってのが、今の時代のやり方なんだよな、だったら本人以外の問題でも良い、調べつくしてやる。



『何だか誰かに見られている気がする。』別に有名人では無いのだから、気の所為だと思うが、何だか気持ちが悪い。

私の日常を見たからと言って特別な話はない、だって普通に家事してパートで仕事をしているだけなんだから。

つまらないと言う人は居ても、面白がって私を見てくる人間は居ないだろう。

その意味では有名人は大変だ、何か有ったら問題視される、まあ、何か有ったらで何も無ければそれでいいんだから、聖人であれば何もない筈だ。

私みたいに文句を言う人間も、非の打ちどころの無い人には何も言えない、言えるのは正しくない人間だけなんだから。

何時の間にか、自分が言い訳をする様になって居て、それが当り前になっていた。

SNSで発言するのは、いつも少しばかりの罪悪感が付き従ってくる。

人間を正しいか如何かで判断するなんて、傲慢なんだと解っている、自分が発信するのは単にストレス解消だって自分でも解っているからだ。

知らない人だから如何でもいいの気持ちと、知らない人だからこそ自分が言ってはいけないんじゃ無いかという気持ち、2つがせめぎ合っているのだ。

それでも、止められないのは、そこにしかストレス解消が無いからなのだ、趣味に使うお金も時間も与えられていない。

いつもより自分が見られている気がするが、まあ見ても何も面白くないよ、普通の主婦の普通の生活だから。

そう考えながら、パートの仕事をする為に、いつもの駆け足でスーパーに向かった。


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