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サトウキビ NiN7

農林7号 (母本:NCo376 父本:CP57-614)

生い立ち

 1978年南アフリカ産まれ.翌年,沖縄で播種される.1984年に系統名RN79-421と名付けられる.品種登録期間は1990年ごろからで,品種名NiN7と命名される. どちらかといえば茎重型の早期高糖性品種.株出しが不安定な地域が八重山にあり,その地域において夏植一作型品種として普及が考えられていたがあまり普及しなかった.NiNの「Ni」は日本,これに続く「N」は南アフリカにあるナタール州の頭文字である.

時代背景

 終戦から沖縄が米軍から返還されるまでの品種はNCo310がほとんどで新品種が出回るもののごく一部の地域にしか定着しないという状況であった.昭和50年代は品種特性の研究も進み収量構成要素を考慮した選抜が議論された.作型を意識した育種も盛んにおこなわれていた時代である.とりわけNiN7は沖縄の一部の市域ではサトウキビの夏植を収穫した後,夏が来るまでに違う作物を栽培し,それを収穫した後サトウキビの夏植を行う輪作体系が行われていた.これに特化した要素を買われ選抜された経緯がある.

草型と特徴

 未展開葉の葉身はやや細身で直立するが途中から折れ曲がるように横向きになる.展開葉はそのまま基部から斜めに展開するので葉身は中程から鋭角に下垂する.葉のシルエットは最上位展開葉より上は上方へ伸び最上位展開葉より下では横に広がりながら下へ伸びているように見える.一度持ち上がって下垂するので縦方向に満遍なく葉がある.よって葉が最も密集している場所,というのはないのだが,イメージとしては下葉が多いように見える.これは受光態勢が良く,下葉まで光を受けた時に影ができるからであろう.



以下,参考にならない勝手な考察
 途中で葉が折れ曲がってしまうサトウキビってどうなんだろう?想像が付かない.観察していて言えるのは畝方向には葉が伸びていかない事.だからLAIが同じ広さのほかの品種に比べて葉が茎側に密集してしまう.そして畝の上が明るくなる.圃場全体が明るいといえば聞こえは良いがその光をうまく受け止めきれない形なので葉数を確保するまでは生長が遅い.当時の,特に夏植のさとうきびは剥葉されていたので,LAIを確保するにはビレットプランターで密植して茎数を確保する方法が有効かもしれない
 現在,夏植えだけを行う農家も少ないので萌芽性が悪いようであればまず選ばれない.耐倒伏性に優れていたという文献があるのでその部分は機械化農業に向いているとは思うが,畝幅を広げるとLAIが下がり易そうなので,普及は難しいタイプだと思う.そもそも.NiN7が普及しなかったのは,2年に1回しか収入がない夏植えというスタイルが見直されていく時期だったのかもしれない.


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