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映画『ヴィヨンの妻』レビュー

原作が太宰治で、主演に松たか子が来て、脇を固めるのが広末涼子、妻夫木聡、堤真一ときて、面白くないワケがないですよね、、。浅野忠信の太宰もすごく雰囲気が合ってていいですね。小栗旬の明るい太宰像も好きでしたが。

松たか子の奥行き、品の塊。それを愛でるだけでも価値がある映画です。ため息を押し殺して見入ってしまう美しさでした。美術作品のように、また眺めたくなる作品でした!


太宰の珠玉の名言の数々に触れられて。読書が嫌いな私ですが、原作をこれから読もうかなという気になりました。

「女には、幸せも不幸もないのです。男には、不幸しかないのです。」

「男と女の道は、遠くて近い。」

「人非人でもいいじゃないですか。私達は、生きてさえいればいいのよ。」

ものごとの本質を、言葉ですくいとって見せてくれる、太宰の芸当には、息を呑んで、その場に立ち尽くさされてしまいますね。


夫婦ともに、許されないことをやって傷つけ合うけど、一緒に桜桃をつまむ最後が、夫婦の本質を表現していて凄い場面だな、と。。。私達夫婦も、傷つけ合ってしまうけど、結局いっしょにご飯を食べるんだ。


歴史的な芸術家の中には、太宰と同じ、躁鬱病の人が結構いる。躁鬱病の人間の魅力というのは、ほとんど狂気じみた、繊細さと大胆さが、同居しているところにあると思う。内に秘めた繊細な思考と、大胆な思い切りの良さが、芸術として表出されたとき、人を惹きつけてやまないものがあるのではなかろうか。

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