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サモエドカフェへゆく

7月、三連休の最後は海の日だった。海とは全く関係ないけど、猫好きのお師匠さまと一緒に犬カフェに行ってきた。犬カフェといっても、サモエド専門という少し変わったカフェだ。

まだ若干涼しさが残った朝。東武東上線というあまり馴染みのない電車に乗って向かった。見慣れない車窓から見える風景は新鮮だ。自分の住み慣れた路線とは雰囲気の違いを感じる。

準急に乗ったらあっという間に到着した。この駅の特徴はお手洗いが駅ホームにあることだ。最近はあまり見かけないタイプに感じた。古い作りの駅舎なのかもしれない。

サモエドカフェは駅すぐそばにある。予約制で利用時間が決まっていて、スタッフの方々が開始と終了を統制してくれる。そろそろ時間かなとソワソワする必要はない。

早めに到着しても建物の中で待つことができる。先客はいなかった。椅子はないけど、真夏や真冬の暑さ寒さからは逃れることができる。そのまま2Fの受付で待っていると、私たちの気配を察知したのか、すぐに「ワンワンワンワン!!!」とハイテンションな鳴き声が響き渡った。まだ開店まで15分くらいある。その間ずっと吠えっぱなしだった。私は誘われるがままに来た。事前情報はない。何匹いるかもわからなかったけど、数匹程度じゃないことくらいは想像できた。

それはあまりにも情熱的な鳴き声。待っている間、少し不安がよぎった。もふもふを味わいに来たとはいえ、あのサモエドたちのエネルギーに応えられるかどうか。床を走り回るときに爪がカチャカチャ当たる音が新鮮。犬ならではである。並んでいるニンゲンたちが気になるのか、お客様をもてなすための情報収集なのか、たまにチラ見をしてくるサモエドがいて面白かった。

そういえば、カフェなのに飲み物を飲まなかったし、誰も飲んでいなかった気がする。理由は猫カフェとは違いフリードリンクではなかったからではなく、8匹のサモエドたち(途中、2匹の子犬も紹介してくれる)がフロアの中を縦横無尽に動き回るからだと思う。私に限って言えば、飲んでいる暇などなかった。猫カフェは紙コップ、犬カフェはペットボトルという違いも発見できた。犬の場合、確実に紙コップを倒すのは明らかだよね。

それぞれのサモエドにも性格があるらしく、なかでも人見知りが一匹いてずっと不安そうにしていた。ちょっとでも近づこうとすると悲しそうな目で吠える。見ず知らずのニンゲン相手だもの、怖いことだってあるかもしれない。少し距離をとって見守った。

フロアは常にスタッフの方々が目配り気配りをしていて、犬という動物によるアクシデントが起こらないないようにしているのが印象的だった。なにかあっても常にフロアは衛生的に保たれていた。動物がいるカフェということで、服が汚れることがあるかもしれない。注意が必要だけど、そういうのが嫌な人はそもそも動物カフェには来ないだろう。

スタッフの方々はとても親切にそれぞれの犬の性格とか教えてくれたり、スマホでもサモエドの写真を撮ってくれる。いろんなスマホを触っているのかスムーズに撮っていた。希望者には有料のチェキやサモエドたちのおやつが用意されている。

犬といえば、顔や手を舐める印象というか記憶が強かったけど、サモエドカフェでは舐められなかった。10人くらいの利用客がいたけど、誰一人舐められている人はいなかったように思う。そのかわり「クンクン」と匂いを嗅がれる。詳しいことはわからないけど、もしかしたら舐めないような訓練をしているのかもしれない。

最初に座ったときから私のカメラに興味津々のサモエドがいて、あっという間に濡れた鼻のあとが沢山付いた。といっても、私は全く気にしないので問題ない。むしろ興味を持ってもらえて嬉しいくらいだ。

猫とは違う硬めの毛の感触は久しぶりだった。それにしても真っ白でもふもふだからずっと触りたくなるよね。好きなだけ触れるというよりは、フロア中央で繰り広げられるサモエドたちのプロレスを見ながら、場外戦やタッチで交代した休憩中のサモエドをもふる感じだ。プロレスは詳しくないし、何の例えにもなってないかもしれないけど、とにかくそんな感じなのだ。

あっという間の1時間だった。終了時間にはコロコロとアルコールを用意してくれる。気がつけば膝を中心に白い毛が沢山付いていた。フラッシュバックだろうか、ふと子どもの頃に飼っていたロッキーを思い出した。ロッキーはビーグル犬で狩りが得意な犬だった。狩りはしたことなかったけど、そういう設定で一緒に遊んでいたなぁ。

今回、サモエドカフェには朝一で行った。スタッフによると朝が一番元気らしい。確かに元気すぎるくらい元気だった。時間帯によってはおとなしいサモエドをゆっくりもふり倒せることもあるかもしれない。疲れた姿も見てみたい。

この日、サモエドという犬種に触れた。初めての経験だった。人懐っこい性格、真っ白でもふもふの毛並み、つぶらな瞳、サモエドスマイルなど虜になる魅力があった。

サモエドカフェに興味がある人がいるかはわからないけど、カフェは当日受付よりも事前予約の方が料金が安い。浮いた分でサモエド用のおやつを購入するものありだと思う。

もふもふエネルギーの影響だろうか、満足感いっぱいのまま地元に戻ってランチを食べた。サモエドたちのもふもふ具合で盛り上がった。初めての経験はどんなことでも面白い。例えばの話として犬を飼うには相応のエネルギーが必要だと思った。猫もいいけど、犬もいいなぁ。

締めはいつものコージーコーナーへ。私はチェリーパイを選択。甘酸っぱくて美味しかった。チェリーパイといえばアメリカのTVドラマシリーズ流行のさきがけでもあったツイン・ピークスの主人公、クーパー特別捜査官の大好物だったっけ。

次の冒険の候補地もいろいろと挙がった。知らなかったネタもあった。遠くても近くても、いつでもどこでも冒険は始められる。ひとまず、この狂った夏暑さの間はおとなしくしておこう。

というわけで、サモエドをもふる冒険。楽しかった。


おしまい


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