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留学前に読むべき発音本3冊+1冊

全世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、計画していた留学を延期せざるをえなかった方は多いと思います。

海外へ自由に行けない今、コロナが明けて留学する前に、ぜひ読んでもらいたい英語の発音に関するテキストを3冊紹介します。
さらに、語学のプロフェッショナルを目指す方には、もう1冊薦めたいと思います。

これらの発音本は、語学のレッスンを長年受けていても、発音に自信を持てない方にもお薦めです。

4冊とも英語の発音についての教科書ですが、他の言語を学ぶために留学する予定の方にも読むことを強く薦めます。

その理由:
1.留学先でその言語の初級段階では、学校のスタッフ、先生、日本出身以外の学生とのコミュニケーションは、英語に頼るしかありません。
その英語の発音が通じなければ、孤立し生活さえもおぼつかなくなるか、始終日本人とだけつるむことになります。

2.ネイティブの教師は、日本人の発音を矯正できません。
他言語とは音の構成が違う日本語発音のクセを、外国人の先生は把握していません。

3.英語の音は、そのまま他言語の音に流用できることが多いです。

4.自分の発音にダメ出しされることに悩み、その解決方法を探すことに、貴重な留学期間を費やしてはなりません。
留学先から、日本人の発音矯正専門の先生とオンライン授業することになりかねません。

では、発音に関する3冊のテキストを紹介します。

1.『英語音声学入門』
松坂ヒロシ 著
研究社

2.『英語喉 50のメソッド』
上川一秋・ジーナ ジョージ 著
三修社

3.『脱 日本語訛り 英語(+α)実践音声学』
神山孝夫 著
大坂大学出版会

プラスの1冊は下記です。

4.『英語音声学入門』
竹林滋・斎藤弘子 著
大修館書店


私が効果的だと思う学習順序

1.『英語喉 50のメソッド』(以下、『英語喉』)のSECTION Ⅰ, Ⅱ

発声器官の『構え』を日本語モードから外国語モードに切り替えて発声するメソッドを習得します。
『喉』周辺部より広い範囲に及ぶ首の前側の筋肉の使い方の練習です。
喉と口腔の内部空間を広げ、外国語発音・発声に適した状態に整えます。

他のテキストには、口の開きと舌の形・動き、上顎と舌の位置関係、唇、声帯については述べられていますが、
喉周辺の筋肉を使い、口腔内を広げて発声することについての記述はありません。
本書は、『喉』に注目した唯一の書籍です。(ネット動画では、「喉発音」に言及している他の英語の先生はいらっしゃいますが。)

まず、本書のSECTION Ⅰ, Ⅱで、日本語発音時と外国語を発音するときでは、『喉』を含めた発声器官の『構え』が違うことを認識し、
自分の首の根本から上顎までを、外国語モードに変えます。
そして、下記のテキストを使って、個々の母音、子音の発音方法などを確認し、必要に応じ矯正することにより、ネイティブの発音に近づけていきます。


2.松坂ヒロシ著の『英語音声学入門』(以下、『松坂・音声学』)

最初から最後まで、通して学習します。
他の学習書では、不明瞭であった母音・子音の発音方法などが鮮やかに説明されています。


3.『英語喉』のSECTION Ⅴ

末子音を含む音節(シラブル)の発音と、音節と音節を繋げて発音するテクニックを学びます。


ここまでで、通常の日本の学校英語教育で付いた発音のクセを矯正できる知識と下地は揃いました。
あとは、興味のある分野の外国語の音源を聞き、そのマネをして口を動かすだけです。


4.『脱 日本語訛り 英語(+α)実践音声学』(以下、『脱日本語訛り』)

典型的な日本語訛りが指摘されています。
自分の発音に日本語訛りが残っていないか、チェックします。


5.竹林滋・斎藤弘子著『英語音声学入門』(以下、『竹林・音声学』)

英語の先生を目指す方など、専門的に英語発音学を学びたい人向けです。

予期しなかったネイティブの発音に出くわしたときに、なぜそう発音されたのかを調べ、「そういう発音もアリなんだ」と納得するために、使えます。

一般人に英語の発音を教えている日本人の先生が、専門的で初学者に混乱を与える恐れがあるとして、詳しくは説明せず、お茶を濁している部分を、本書は音声学的に解説しています。


追記

amazonの『松坂・音声学』についてのカスタマーレビューには、『脱日本語訛り』を先に学ぶことを薦める意見もありますが、
私は、『松坂・音声学』を優先することを推します。

『松坂・音声学』には、「そういうことだったのか」、「そう説明されると分かりやすい」と思わされ、自分の理解のズレを修正できる記述が多数ありました。

一方、『脱日本語訛り』は口語体で書かれており、読み物としても面白いです。
所々にある著者の愚痴・ボヤキのような記述では、大学内・学会内の風通しの悪さ、音声学者と語学教師との情報共有の乏しさが計り知れ、
「これでは一般の学生・語学学習者の発音の上達は、各自の情報収集能力・情報選別能力に左右されるな」
と思わずにはいられませんでした。


#英語学習 #読書感想文 #音声学 #発音 #語学

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