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30歳100kgの喪女が処女を卒業するまでの話

こちらの前日譚のようなものです。
どちらから読んでも大丈夫だと思います。

私は長年デブをやらせてもらっている喪女なのですが、この世界に“デブ専”と呼ばれる方々が本当に存在することをつい最近まで知りませんでした。

確かに、世の中にはぽっちゃりした女性でも彼氏がいたり、ご結婚されている方がいることは知っていましたが、それはきっとお相手の方が女性の外見を気にしない方で、中身重視の方なのだろう。
それとも、ご結婚後にたまたま太ってしまっただけかもしれない、と思っておりました。

しかし、ある日結婚の焦りから婚活レポなどを読み漁っていたときに、「ぽっちゃり街コン」というものが存在することを知り、ものは試しに参加してみたのです。
すると、100kg級の私ですら、たくさんの方にマッチング希望を頂くことが出来て、私はたいそう驚きました。

本当にこの体型でもいいの!?

ただ、私の職業はいわゆる士業というものです。
自分で言うのも何ですが、私が多少ボストロールであってもステータスで釣られている人もいるかもしれないな…といつものネガティブの病が発生しました。

もちろん、お話をしている中で楽しいと思ってくれた人もいるかもしれない。ただ単純に体型が好きなだけかも。
色んな考えがグルグルと頭の中を巡りました。
悩んだ末、私が行きついた答えは「とりあえず処女卒業したいな」ということでした。

全く以て意味のわからない結論であると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私の中ではある程度一貫している思考であり、その思いは日を追うごとに強くなっていました。

私の自己肯定感の低さは、体型コンプレックスから来ている。
体型コンプレックスのせいで、20代の間はまともに恋愛も出来なかったし、男性との関わりも諦めていた。
デブが男性に好意を持つことはダメなことだ、デブが恋愛したいだなんておこがましいにも程がある。
30歳になっても処女であることが、私の劣等感に拍車をかけていた。
けれど、もしその劣等感をかき立たせている処女を卒業出来たら、ひとつの自信になるのではないか?それなら処女を卒業したいなあ。

そう思ったのでした。

その結論に達してからは、どうやったら処女を卒業出来るかを考えました。
手っ取り早いのは出会い系で人を募集することかな、と思いました。
もちろん、その方法はリスクも大変高いと言えます。
ただでさえ、近頃物騒な事件が多いですので。
ですが、ある程度ハイリスクな方法でも試さなければ私の骨董品のような処女は喪失出来ないことも重々わかっておりました。

そこで私は、「デブ専 掲示板」と検索を行うことに。
単純明快なエロ友達募集用掲示板がいくつか見つかり、その中の一つに私は正直に書き込むことにしました。

「30歳の処女です。処女卒業したいので、お手伝いしてくださる方を募集します。ちな100kg」

紗綾 渾身の書き込みより

このような旨の書き込みを行い、待つこと数分。
自分でも予想だにしなかった量のメールが舞い込んできました。
私は驚きました。
顔もわからない、30歳処女、おまけに超ド級の100kgという地雷丸出しのボストロールの処女を食ってくれるつもりの人間がこれほどまでにいるのかと。

今まで選ぶ立場でも選ばれる立場でもなかったボストロールが、初めて選ぶ立場になったのです。
正直、嬉しかったです。
こんな自分でも、誰かに求められるということが。
情けないですが、今まで異性に相手にされなかった人間の素直な感想です。

私は面接官のごとく、頂いたメールに返信をし続けました。

お住まいはどちらですか。
本当に巨デブの処女でも大丈夫ですか。
会うとしたらどこがいいですか。
顔写真を送ってください。

私は極度の面食いです。
人生の半分以上をオタクとして生きており、恋愛対象は基本的に二次元の男でした。
二次元の男は国宝級のイケメンばかりなので、私はそれに慣れすぎてしまっていたのです。

物好きな男たちからの顔写真を受け取りながら、私の心のうちでこみ上げるのは「へえ……」という感想ばかりでした。
語弊を恐れず率直に言うと、全く好みでない男性ばかりだったのです。
私は皆さんに「決めたらまた連絡をしますね」と返信して、悩みました。

別に、ロマンチックな処女喪失を求めている訳ではありません。
自分の理想の男性に抱いてもらえるとも思っていません。
でも、ある程度自分の中での妥協点というものはありました。

その妥協点に達する人が、正直……だいぶ下駄を履かせてようやく一人、という感じでした。
何様だよ、と思われるかもしれませんが、心苦しいながらも事実なのです。

1日が経過した頃、ようやく私は腹をくくり、下駄を履かせた人に頼もうと決めました。
その人は、どこかラッキョウに似ていました。
ラッキョウさんはバツイチらしく、正直迷ったところもありましたが、まあバツイチの人なら慣れてて優しくしてくれるかもと思いメールを送ろうとしたちょうどその時、一通のメールが私の元へ届きました。

ボストロールを怯えさせるような文章を一生懸命練ったであろう脅迫文

捨てアドからの脅迫メールでした。
処女を卒業する相手を選ぶだけで人から恨まれるなんてそこまでボストロールの処女が欲しかったの…?デブスのゴミ女に選ばれなかった奴がひがんでて草と思いながら、メールヘッダー情報を保存してさくっと通報しておきました。

最近はネット犯罪・脅迫メールの規制も厳しいのに本当にバカなんだなぁ、知らずにこんな人で処女卒業しなくて本当によかったなぁ~と心から思いました。

でも、メールのやり取りをしている人が業を煮やして送ってきたのは明白です。
そのときメールが来たのが20人ほど、そのうちちゃんと顔写真をもらうところまでやり取りをしていたのは10人ほど。
誰が犯人であるかわからない以上、今やり取りをしている10人の中で卒業をするのは得策ではないと判断し、メールアドレスを変更して全てを断ち切って終わりました。

ようやく処女が卒業出来そうだったのに卒業出来なかった私は、次は掲示板でなく会員登録制のサイトに目を付けました。
それは無料で登録出来るサイトでしたが、ノーリスクで書き込める掲示板よりもプロフィールなどを設定してお互いのプロフィールを確認してから出会いにこぎ着けられるそちらの方がまだマシかなと思ったのです。

そこで私は正直に自分のプロフィールを書きましたが、前回処女であることを告白して面倒くさいことになったので、次は処女を隠そうと思いました。

30歳100kgのデブです。
男性経験は少ないです。それでもいい方、お話しましょう。

紗綾 渾身のプロフィールより

またしても、来るわ来るわメールの山が。
唐突に男性器の写真を送ってくる人もいました。
100kgだけどいいですか?と再度確認すると音信不通になる人もいました。
中にはめちゃくちゃ食いついてくる人も。
そんな中で出会ったのが、Kさんだったのです。

6月末に知り合い、7月中旬に処女を卒業したので、かなりスピード卒業でした。
かなり紳士なKさんに出会えてよかったと思っています。

ここ1か月ほど、かなり多くの男性とやり取りをしましたが…写真を送ってと言うと、顔の半分を隠していたり、マスクしたままの顔写真を送ってくる人が多いですが、めちゃくちゃ反応に困りますので、皆さんはやめましょうね。
正直、掲示板の出会いは疲れたのですが、もしかしたらいい人が見つかるかもしれない…という幻想も捨てきれずにいるので、これからもちょくちょく探してしまいそうです。

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