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映画感想文「ソウルメイト」愛憎まみれた16年。正反対の二人の夢の追いかけに涙した

愛憎まみれる。

なんてうまい言葉なのか。

愛してるはずなのに、時に憎んでしまう。もちろん、男女間でもあるのだが、同性同士でよくあるパターンだと思う。

あまりにも相手を分かり過ぎていてる。嫌なところや狡いところも丸見え。更に、愛してるがゆえに期待も高くなる。それが叶わぬとなると憎しみが浮上する。

もっと距離を置いた友人関係なら流せることも見過ごせない。

この2人のまさに愛憎まみれる姿を見て、確かにこれぞソウルメイトだよねと納得した。

自由奔放なミソと真面目でしっかり者のハウン。正反対な性格な2人の出会いは韓国済州島の小学校だった。どちらも絵が上手であったが、ミソ(キム・ダミ)はピカソみたいな抽象画、ハウン(チョン・ソニ)は写実画と、得意分野も正反対。

家庭に恵まれないミソは貧しい暮らしの中でアルバイトを掛け持ち絵を描く生活を目指す。しかし何度も挫折し荒れた生活を送る。一方愛されて育ち、親の望む教師を目指すハウン。こちらは自分の主体性のない生き方にモヤモヤを抱えている。

親友同士の息のあったかけあいが多いが、仲良しなだけではない。思わず怒りをぶつけ合ったり。1人の男を取り合ったり。喧嘩してしばらく別れたり。そんな黒歴史がいくつかある。そこが良い。

三角関係も出てくるが、割と添え物でしかなく。メインのテーマは、若い女性2人が社会に揉まれ不幸な出来事も襲う中、夢を実現させようと互いに助け合う友情である。

特筆すべきはキム・ダミ。韓国のテレビドラマ「梨泰院クラス」のヒロインとして有名らしいが、私は本作で初見。すっかり魅了された。

いわゆるミスコンで優勝するような顔立ちではないが、目を離せない愛嬌や哀愁がある。相手役のチョン・ソニのほうが目鼻立ちは整ってるし美しい。しかし、心を奪われるのはキム・ダミである。

これは売れるわと納得。

くるくる変わる表情の可憐さに悶絶。10代から30代の演じ分けもしっかりできており、演技もバッチリであった。

本作は香港でヒットした映画のリメイク版とのこと。脚本がしっかりしてて、飽きさせない。ツッコミどころは多少あるが、最後までグイグイ見せる。

出だしとラストがうまいこと繋がってて好みだ。最後は彼女達らしい夢の追いかけ方に、思わず涙した。

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