マガジンのカバー画像

冬野が書いた小説・随筆

10
オリジナル小説。私小説よりのものが多いです。 加えて、リリースした商業小説についても。
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

毎日投稿を目指してるんですが、今日(というか8/23)は無理だったので、カクヨムにも載せてた小説をnoteに載せます。
内容はカクヨムのと同じです。

自分はなぜ文章を書くのか、何のために小説を書くのか。
明日死んでもいいように記録していた。
人生にドラマが欲しくて、瞬間瞬間をビーズのように繋ぎ止めて、一連の連なりにして、解釈しようとしていた。
過去も未来も切り離して、瞬発的に生きてきた。
いつの私のことも、大切にしてあげよう。

小説『共感覚の記憶』

小説『共感覚の記憶』

「冬の夜の匂いが好き」

 小学生の時、同級生がそう言った。
 それを聞いて、屈託もなく返事をしたのを覚えている。

「私も好き」

 あれからもう何年も経って、常に変わらないと思っていた季節の移り変わりが、どんどんおかしくなっていって、肉体が耐えられないような夏。
 意識が霞むほどの暑さの中で気付いた。
 その匂いがすぐ思い出せない。
 確かにそう言ったのは、記憶にあるのに。

 中学生の時はし

もっとみる