見出し画像

ハートをズキュン♥! わき役たちの退場シーン


映画やドラマ、漫画のバイプレイヤーたちの退場シーンにハートを撃ち抜かれるのは「あるある」だ。
それはこのEテレの「びじゅチューン」という5分間のミニ番組でも同様だ。

「びじゅチューン!」とは、クセになる歌とアニメーション、そして独特の解釈で古今東西のアート作品を紹介する番組だ。
Eテレのアニメだからと言って子供番組だと思ってはいけない。容赦なく大人の事情もぶち込んだ内容がまたシビれるのよ。

その「びじゅチューン!」
鑑賞ポイントはいくつもあるが、私は画面の右下で縁の下の力持ち的に番組を支える「歌詞係歌詞カード」も愛でて止まない。

それに関しては各1万字越えの狂気の記事を書いたので(↑上記リンク)詳しくはそちらを見ていただくとして、今回は、歌詞係の退場シーンだ。

楽曲の歌詞を歌詞カードで掲げる歌詞係。

画像1

( ↑ 私の愛してやまない歌詞係、「武蔵の遅刻理由」の国芳の猫
もうこれだけでズキュン♥ )

歌詞カードも歌詞係も細やかに作りこまれてそれだけでも鑑賞するに十分なのだけれど、曲が終わる時の彼らの動向、パフォーマンスにはひときわ心惹かれる。

そう、しばしば心を撃ち抜かれる退場に出会うのだ。
今回はそのいくつかをご紹介する。(読者に於かれてはリンクを貼った楽曲の動画と一緒にご鑑賞いただくと、その退場シーンをより一層味わえるはずだ)


まずはこれ
私を投げ入れて」の歌詞係、役行者。

画像2

カッコイイ♥
ズキュン!
惚れてまうやろ。

曲の内容を見ていただければわかるが
MISSION COMPLETE
の文字が画面の奥から浮かび出てきそうである。

大体この人は、登場の仕方からカッコイイ。

画像3


次はこちら。

LOVE!

画像4

ヘッダー画像にも採用の、ズキュン!の代表格である。うひょ!
雨は愛すが人逃げる」の歌川広重。やるな、ジジイ。


他にもある、LOVE!

画像5

LOVEタージ・マハル先輩」のシャー・ジャハーンとムムターズ・マハルだ。
この二人は悩む後輩君の気持ちなど関係なく、曲の最中もチラチラといちゃついき、とうとう最後はこれである。勝手にしなさい。


兵馬俑ウェディング」の始皇帝。

画像15

この人のLOVEは終始祝福に満ちていて大変よい。タージ・マハルの二人とは大違いである。


励ましに満ちている!
のは「オフィーリア、まだまだ」のコマドリ。

画像6

元の絵はシェイクスピアの「ハムレット」に登場するオフィーリアを描いたもので、彼女はマジで悲劇の女性だが「びじゅチューン!」の中ではどっこい、強く生きている。
曲の終わりにそのオフィーリアだけでなく我々にも力強い励ましを送ってくれている。
うむ!


歌詞係お疲れ様です!

歌詞係をしながら作品にまつわるパフォーマンスも精一杯見せ、曲の終わりに爽やかに退場していく人々。
かける言葉は「お疲れ様!」以外にない。

特急三日月宗近」の三条宗近。

画像15

刀鍛冶の力仕事を終えた後の清々しさよ。この後ビールが美味かろう。


エスパーカフェ」のドガは、超能力で歌詞カードを浮かせよという無茶ぶりを何とかやり終え、

画像16

曲中にも登場した「くたびれてきたらアプサント注入」で退場。

画像15

本当にお疲れさまである。


お互い擬態」の小鬼は肉体的な疲れでなく軽い精神的疲労。
いたずら心で800年も会えないままの二人。しかも仕事の途中で登場人物?のお不動様に話しかけられたりもして、ちょっと呆れた「やれやれ感」をどこかで表明しておきたい気持ちはよくわかる。

画像9

やれやれ。


悲哀!

画像10

ツイスト出産」のマハー・プラジャパティー。
おめでたいはずの釈迦の誕生シーンなのにこの悲しみの姿。
彼女は釈迦の叔母であり養母でもあるが、お釈迦様を産んだ後七日で亡くなってしまう実母の摩耶夫人(まやぶにん)の心中を最もよく表している。
楽曲は明るい調べだが、歌詞には自分と息子の未来を知っているかのような摩耶夫人の心が歌われており、特に2番の歌詞には心打たれる。

このことは特に記事に書いている。

私が愛してやまない作品だ。

(いや表情をよく見ると ↓ 単なる喜びの涙か?謎が増えてしまった。)

画像11



逆によかったね!
と言いたいのは「姫路城と初デート」のお菊さんだ。

お菊さん・・・番町皿屋敷の怪談で有名だが「びじゅチューン!」では「播州皿屋敷」となり、播州、つまり兵庫県の姫路城ゆかりの怪談だと紹介されている。

アニメの中でも途中ではやっぱりお皿を割ってしまって、慌てふためく必死な姿のお菊さんだが、

画像13

最後とうとうお皿を割らずに10枚そろえてニッコリ。

画像15

よかったね!


以上ご紹介してきたのは割と派手なパフォーマンスでラストシーンをキメる歌詞係たちだが、もう少しさりげなく自分をアピールして仕事を終える係もいる。

画像14

Walking!ニケ」の復元係の人、「夏野菜たちのランウェイ」のアルチンボルド、「アイネクライネ唐獅子ムジーク」のウィンクするモーツァルト、「歩く泡」のポンポンらだ。(特にフランソワ・ポンポンのひげを使ったドヤがラブリイ)

多くの歌詞係たちは曲が終わると画面の右や下にはけていったりパッと画面から消えたりするのだが、今挙げた4名などは最後まで消えずに言わばカメラ目線、自分をアピールしながらこちらをニヤリとさせてくれる。

画面からはける際、普通にはける以外に何とも奇妙で魅力的な動きを見せながら退場する歌詞係たちもたくさんいていいち挙げるときりがないのだけれど、皆さんもぜひ曲終わりの彼らに注目してほしい。

そしてその退場のほんの一瞬彼らを輝かせるために、アニメーションの動きを工夫する作者井上涼さん。
井上さんの、作品の隅々にまで気を配り、小さな登場人物にも惜しみない愛を注ぐ姿勢を私はとてもとても好きだし尊敬する。


以上、「心を撃ち抜かれるびじゅチューンの歌詞係の退場シーン」でした。
ズキュン♥!


「びじゅチューン!」全作品はこちらから




この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,752件

お読みいただきありがとうございます。楽しんでいただけたなら嬉しいです😆サポート、本と猫に使えたらいいなぁ、と思っています。もしよければよろしくお願いします❗️