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それでこそ猫

2022.02.27

ぼくぼくお届け

きょうは、一時預かりをしていた子猫「ぼくぼく」を里親さんにお届けする日。2週間のトライアル期間を設けてはいるけれど、何もなければそのままずっとの家になる。何もありませんように。

里親さんに届けるときには、短歌がたくさんできる。
ほかではあまり経験しない類の気持ちだからだと思う。

……と、妻がお届けに出た後、留守番中にしんみりする短歌を作っていたら、お届けが終わった妻から連絡があって、「全然隠れたりしないで、元気に遊んでたよ。ごはんも普通にすぐ食べた」とのこと。
感傷的なのは人間だけなのだ。
それでこそ猫だ、と思った。

一時預かりが一段落したときには、ちょっとした「打ち上げ」として、近所のフレンチを食べに行く。
なんだかんだで今年に入ってから、ずっと「途中」の心持ちだったので、ほっとしたのも、さびしいのも本当の気持ち。

《「肩の荷が下りた」の中に含まれる「寂しい」という成分がある》

いま使っているイスは、キャスターの付いたゲーミングチェアなんだけど、ぼくぼくがいるときは、キャスターで踏んづけたり、巻き込んだりしないように、ものすごく周りを確認してからイスを引いたり動かしたりしていたんだけど、さっき同じようにイスを動かそうと辺りを見回して「あ、そうか。もういないんだった」と我に返った。
部屋からたくさんの丸めたレシートが出てきたり。
きっとしばらくは、こういうことが続くと思う。

でもね、こんなきな臭くて、ギスギスしていて、気持ちが落ち着かない世界だけど、きょう、いまこのときに、これからずっと一緒に暮らしていくであろう待望の猫を迎えて、そわそわしたり、にやにやしたり、どきどきしたり、なでたり、そっとしておいたり、でも気になったり、持て余したりしている家が、少なくとも1つは絶対にあるんだよ。
それは、大げさだけど「希望」と言っていいのでは、と思うよ。
ぼくぼくは、猫エイズキャリアだから、特におだやかに、健やかに、とにかく元気で、と願うばかり。


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