10年ぶりにはいたスカートの魔法 / #ファッションが好き
スカートをはいた。なんと10年ぶりだ。
スカートって、はく人はずーーっとはいてるし、はかない人はずーーっとはかない。と、思いません？とくに子育てを機にパンツ一辺倒という方、多くないでしょうか？
私は昔からアパレルで働いていたので、人に比べて様々なファッションにトライしてきたつもり。特に独身の若い頃はミニのタイトスカートから超ロングのサーキュラースカート、膝が見える丈のバルーンスカートに10センチヒールのニーハイブーツを合わせたりしてその時々のトレンドを思うままに楽しんできた。それがいつの間にかはかなくなって…。
ここ10年、一大デニムブームが来て猫も杓子もデニムデニムデニム。ホテルのレストランでも高級割烹でもどこでもカジュアルファッションが解禁になった。上質な白のコットンシャツの襟を立ててパールのピアスとネックレスにバーキンを持ち、裏側が赤いルブタンのピンヒールを合わせればデニムもゴージャスなセレブファッションだ。何処でも通用する。それからスキニーパンツがきて、やがてトップスはチュニックが大流行。体型を隠したい女性たちに大いに指示された。チュニックにスティックパンツを合わせるとか、袋みたいなダボーーっとしたワンピースにレギンスを合わせるとか。それにやっと飽きてきた頃に台頭したのがガウチョパンツ。その流れでゆったりしたワイドパンツや、サルエルパンツ、ハイウエストに幅の広いベイカーパンツなんてのも。デニムもスリムからワイドなサイズ感が可愛いボーイフレンドデニムまで多岐にわたる形が出回っている。そう、パンツの流行は様々で、その時のファッションを一番分かりやすく変えていく。一時大流行したブーツカットパンツなんて、今や誰もはかなくなったもんね。いや、一、ニ回まわってまた流行り出していたりして？
そうやってここ10年は様々な流行と共にあらゆるデザインのパンツをはいてきた。スカートは嫌いではないけれど、中途半端な丈だと脚がぶっとく見えてよろしくない。私は身長が164センチなのだけれど、少し高いヒールをはくと170センチを越えてしまう。膝下の半端な丈のスカートだとビミョーに短くなって一番太いふくらはぎでぶっつり終わると非常にマズい。バランスが命のスカート丈。一般的に売られている洋服は約160センチの標準身長にあわせて作られている。それゆえ既製服を着ると「なんかオカシイ…なんか違う…」と、意外と難しい。かと言って、もはや膝上丈のスカートはこの年齢では流石に憚られる。(似合う方はどうぞはいてくださいね！)
だが、ほとんど対象外だったスカートに、ここ１、2年前辺りからちょっと気になるものが出始めてきた。
一昨年の夏くらいから気になっていたのがロングのフレアースカート。ヒラヒラと優雅に動く、たっぷりと生地を使ったフレアーのロングスカートだ。デニム地やダンガリーのカジュアルなものもいいが、私が心を奪われたのはポリエステルやレーヨンの薄く柔らかい素材のもの。とてもフェミニンで女らしい。昔からフレアーのロングスカートは好きだっけれど、ここ1, 2年の流行は目覚ましいものがある。
何年も続いたチュニックに細身のパンツというマンネリの着こなしに飽き飽きしていたのと、何か新しい物を取り入れたい気持ちに拍車をかけて、久しぶりにお洒落魂に火が付いた。フレアーのロングスカートには短めのトップスが好相性。そして意外とビッグサイズのトップスにも合うから季節ごとに新鮮なアイテムとのコーディネートを楽しんでいる。
気分がいい。とにかく新鮮。歩く度にフワリフワリと広がり、波打つように踊るスカートの裾が気持ちいい。「女の子」に戻っていくような感覚。なにせ10年ぶりだからね。歩く歩幅も自然と狭くなり、所作もなんとなく女らしくしとやかになる。すっかり忘れていた感覚。あぁ、私は女だったんだ。思い出した。
この禍になる以前はデートも楽しかった。スカートをはいて、小さなお洒落バッグを持って、赤い口紅が着こなしに華を添えた。自分で言うのもなんだけど、数年ぶりにいい女になった気分。スカートの威力は半端ない。
その後、恋愛事情は思うようにはいかず残念ながらシンデレラの魔法は解けてしまったけれど、スカートの魔法は持続中。すっかりこの優雅な気分が気に入ってしまった。まだしばらくは楽しみたい。そして自分の新しい側面を自分自身で発見できるよう、ますます着こなしの幅を広げていきたいと思うのであります。
久しくスカートをはいていないというそこのあなた。騙されたと思って是非はいてみて欲しい。きっと違う世界が見えてくるから。そして周りからの目も違ってくること請け合い！
いくつになってもお洒落って楽しい。もしかしたら一番簡単で一番効果的なメンタルを上げる方法かもしれない。これを使わない手はないよね？
ファッションを楽しもう。ファッション万歳！
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