カレーで育ち、反抗し、見下し、別れ、そして再び愛を取り戻した話
「俺が死んだら葬式ではカレーパーティーをしてくれ」
父は昔から良くそう言っていた。
考えてみれば縁起でもないが、あまりに小さい頃から聞かされていたので''カレーパーティーかー!わくわくっ!(※アーニャ意識)''と、お葬式というものが楽しみになっていたレベルでよく聞いていた。
たぶん、父はカレーを食べる度に言っている。
人生の最後をカレー締めしたいほど好きな父がいる為、我が家では事ある事カレーが振る舞われた。
🍛
そんなカレー好き家庭で育った私が、最近ハマっているものがスパイスカレーだ。出先では3日連続カレー、などは日常茶飯事で、隙あればスパイスカレー屋さんに足を運んでいる。ほんっとうにすき。
はいはいなるほど、この人は昔からずっとカレーが好きなのね、と思われるかもしれないが、それがそういう訳でも無いのである。
この記事では、カレー好き家庭で育てられた私が、カレーで育ち、カレーに反抗し、カレーを見下し、カレーと別れ、再びカレーを愛するようになったカレー遍歴を綴ろうと思う。
カレー遍歴
カレーで育つ
父が好きなのはスパイスから拘ったような凝った専門カレーではなく、母の作る家庭的なカレーだ。
焦げ目を付けたシンプルな、豚肉。
旨みのため、ルーに混ぜる、合い挽き肉。
大きめに乱切りした、にんじん。
これまた大きめの、じゃがいも。
溶かして甘みととろみをつける用、刻み玉ねぎ。
甘みを舌で味わう用の、くし切り玉ねぎ。
ルーは中辛と辛口を半々。
ユーカリの葉と、チョコレートを少々。
シンプルな、ごくごく普通の家庭的なカレーである。
母は家族のためだけに料理をしてるタイプの人で、特に料理好きというわけではなく(おいしいけど!)、ちなみに父も料理上手なのだがことカレーに関しては母が作るものが良いらしい。
とにもかくにもこのカレーが我が家ではよく出された。
お父さんの誕生日はもちろんカレー
ちょっとめでたい日はカレー
疲れた日にはカレー
とにもかくにもカレー
まるで万能薬のような扱われ方である。
カレーへの反抗
そんな家庭で育つと、カレーはちょっと特別なものだ、美味しいものだ、いう固定概念の中で生きることになる。
だが、中学生にもなったある日。
桃辿少女は突然疑問を抱いたのだ。
「いや、ハンバーグの方が美味しくない???」
ていうか私そんなカレー好きじゃないし!
思えばこれが私の反抗期だったのかもしれない。
カレーを見下す
そういうわけで、我が家では特別なメニューだったカレーだが、カレー反抗期の私は思ったのだ。
「よく考えてみれば市販のルーじゃんか」
「だれでもつくれるやん」
「そろそろ飽きてきたよ」
そういうわけで、その頃からカレーが出ると、あー、またカレーね〜と、斜に構えるようになった。(口には出さないよ!我が家でカレー反対などしたら家を追い出されるに違いない!)
カレーが身近であるが故に、カレーの存在をなんとなく下に見るようになったのである。
カレーとの別れ
そんな私も進学と同時に親元を離れ、我が家カレーとも疎遠な生活を送るようになる。
その間、私のカレーへの印象は、B評価。
悪くもないし良くもないし、特になんとも思いませんわ、ということ。
これまさに、私とカレーのことだった。
こうして、カレーに対して無関心な期間が数年続いた。
「スパイスカレー」との出会い
それから色々とあって、私は家を失い、‘’旅するメイド屋‘’を始めることとなった。
これは、東京大阪名古屋を中心に、全国のコンセプトカフェをゲストとして巡り、コンセプトカフェの広告塔及びお給仕で笑顔を増やす、独自の取り組みの事だ。
この活動をしていると、毎週末転々とする訳だから、必然的に外食しないといけない機会も多くある。
そんなある日、ふと通りがかりに見つけたのがスパイスカレーだ。
「毎日食べても太らない 健康で特別なカレー」
という謳い文句。
スリランカカレーというらしい。
カレーなのに太らないなら最高じゃん!と、あほ単純な思考回路を持つ私は惹かれ、久しぶりにカレーもいいか、と入店。
いや
それが、もう本当に、最高に、美味しすぎた。
滑らかな豆カレーの口当たり。
副菜の種類も多く、1口ごとに変わる味わい。
辛くないのに汗が滲む。
スパイスの、漢方の効能を感じる。
辛い粉をかけまくっても美味しい。
1口ごとに本当においしくて新しくてびっくりする。
食べ終わったあとの清々しさ。
カレーとは、こんなに美味しいものだったのか。
再び愛を取り戻す
その後、スパイスカレーを中心に、カレーを食べ歩くようになった。
帰省した時に実家のカレーも食べ、美味しさを最確認。
こうして私は再びカレーを愛するようになったのである。
おわりに
カレーで育ち、反抗し、見下し、別れ、そして再び愛を取り戻した私のカレー物語。
たった1人の人間の、たった1つの好きな食べ物にこれだけの物語があるのだから、人とはなんと複雑な生き物なのだろうか。
私は旅するカレー好きメイド屋として、これからも各地でスパイスカレーを食べ歩き、物語を更新していこうと思う。
それじゃあまたね!
桃辿まいる🍑☀️
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