外から動機付けられているという幻想から目覚めること

私たちは自分の内側ではなく外界、外に見えている世界を「現実」と考えているので、「外から動機付けられる」という発想を当たり前のように受け止めている。状況がこうだから、こういう人がいたから、こんな出来事があったから、私はこう感じた、こう考えた、こう行動した――そう考える部分があなたにもあって、そのように生きることが普通だ、人間として自然なことであると捉えてきたのではないだろうか。

しかし真実は、外はあなたの内がもたらす結果だ。これを理解するときに、内と外を同列に扱ってはならない。実在から非実在(ヴァーチャル)を作成することはあっても、その逆はないという「リアリティーの階層の違い」を認識する必要がある。この次元で経験する「外の事象」とは、あなたの内がもたらす影のようなものだからだ。

「映し出すもの」と「映し出されたもの」は実体と影のような関係にあるが、この世界では「外を現実として見る」ことで、その区別を忘れ、幻想に囚われることが「常態」になっている。
夢の中で「我」を忘れると、夢を見ている自分がいることを忘れる。
次元(階層)が上がれば、原因と結果の「同時性」もわかるのだが、私たちが今現実と考えているこの次元では、内から外という創造の順序、実在性の序列を認識することが不可欠だ。
これを「逆」に捉えることでどんな事態が起こるかも想像がつくだろう。「信じたものを見る」法則を忘れて、「見たものを信じる」というあり方に逆転しているため、外に見たものの実在性を信じ、それをさらに自分で現実にするというサイクルに陥るのである。

真の意味では「外」からの動機付けというものは存在せず、あなたの外側はあなたに対して無力である。すべては、あなたの内からやってくる。
これをあなた自身悟ることが、こうして言葉で説明され理解することは可能なのに、なかなか体得できないとしたら何が起こっているのだろうか?

あなたが、この世界を「現実」だと思うことをやめたくないのである。
あなたは自分をこの世界内の人間だと思い、この現実をリアルだと思うことを「手放したくない」のだ。そうすることを恐れてもいる。

エゴをなだめたり、すかしたりすることは、ただ幻想を長引かせる。自分が一丸となって「幻想から出ることが望みである」と実感するまで待った方がいいかもしれない。
すでに幻想を捨てる覚悟ができている場合は、幻想へ燃料を投入することは「心の中の世界であっても」注意して観察し、手放していこう。以下はその助けとなるはずである。

外に原因があると考えることで、何を認識することを避けているか(人生のテーマを個人的に捉える幻想についてもコメント)

私たちが人生に起きる事象を「すべて内から生じたもの」と理解するまで、外には様々な「原因」があるように見え続ける。
たとえば過去に経験したことを、誰かや何かのせいだったと考えることで、その影響に苦しみ続けることがある。原因と考える状況や人がたとえすでに目前から去っていたとしても、本人の苦しみが薄れるとは限らない。

これは幻想によってもたらされる錯覚の例のひとつだし、「ゆるす」という言葉が誤って使われることの多い代表例でもある。つまり、現実に起こった何かに対してその原因となった状況や人を「ゆるす」必要性が説かれる場合があるのだが、まず認識してほしいのは、それは真の「原因」ではない。
あなたの中で起きているどんな「もつれ」を解決するためにも、実は他者を巻き込む必要は全くない。自分以外の誰かや、何かのせいで苦しんでいるという「自分の内にある思い違い」を解くことが必要なだけだ。
幻想の中で幻想を別の形に置き換えることは本質的な解決ではないし、それでは幻想そのものから目覚めることも、もちろんできない。

人間の常識から言って「痛ましい」例でさえ、そうだ。
この世界では必ず、被害者と加害者というように、物事は両極に分かれた形で体験される。通常、被害者はイノセントであるとされ、加害者はそうとは見なされない。けれども、被害者も加害者も両者ともにイノセントであるという視点に「戻らなければ」、私たちはこの地球舞台で繰り返し「悪夢」を作り続けるだけなのだ。

どんな人もスピリットとして、肉体に依らない「存在」として、自身の現実を自分の内から「上映」している。
ある人が、あるテーマを内に持っていると、テーマ自体の解消をするまで、現実という形の「反映」を作り続ける。
望ましくなかったと感じる過去について私たちがよく考えがちなことだが、あの時あの人がこうしなければ、あの状況でさえなければ、あるいはもし、自分がこうしなければ……などの仮定は、原因を考えているようで全く原因を見ていないのだ。むしろ自分の内にある本当の「因」を見ないようにすること、それに気づくことを「避けるために」働かせている思考である。

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