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妊娠した後輩へのアドバイスは「他人の言うことは聞くな」

「実は、妊娠しまして……」

「おおおおおお、おめでとう!!」

ずっと働きながら不妊治療を頑張っていた後輩さんがめでたく妊娠した。

報告を受けたのはかなり妊娠初期で、というのも不正出血があり、医者からの進言で今後ずっと在宅勤務に切り替えることとなったためだ。

本来なら安定期に入るまでは内密にされることが多いけれど、そんなわけで、直接一緒に仕事をしている私には早めに明かしてくれた。

「色々お仕事を振っていただくことになったり、逆に出社でしかできない仕事は変わっていただくことになり、ご迷惑をおかけします……」

うんうん、めでたいことなのに、なぜか「ごめんなさい」「申し訳ない」という言葉がするする口から出てくるよね。申し訳なさそうにするのが最適解って感じするよね。世渡りのためだけどガッデムだね。

初めての妊娠で、不安でたまらないはずなのにね。

というわけで、ほんの少し妊娠出産経験では先輩の私が彼女に話したのは、こんなこと。


全然申し訳なくない。私も色々周りに助けてもらったし、遠慮なく頼って、どうか無理をしないでください。

世間にはいろんな声があるけれども、あまり気にしないで、とにかく体調を優先していいと私は思う。
というのも、外野は何か起こっても、誰も責任を取ってなんかくれないからだ。

特に、命については誰も責任をとってくれないし、取りようもない。
だから、後悔することのないよう、とにかく大事に過ごしてください。

ということを、ちょっと熱めにお話しした。

妊娠中は、私も他の妊婦さんの体験談を検索しまくった。その中には、つわりが酷くても体調が悪くても立ち仕事や夜勤を免除してもらえず、切迫早産で入院した、泣く泣く退職した、死産してしまった、産後の体調が極めて悪く働けなくなった、という声もあった。

資本主義の競争社会では、個別の配慮なんてしていられないのかもしれない。商売を考えると、厳しくしてくる相手の方が正しいように感じてしまう。
なまじ体が弱っていると、余計に自分が悪くて相手が正しい気がしてくる。

しかし、「働け」と言ってきた人は赤ちゃんに何かあった場合、責任を取ってなんかくれない。

お腹の子に何かあっても、赤子は元に戻らない。

妊娠中だけの話ではない。
子供が小さいのに働くのは可哀想、という人は生活費を出してくれないし、もっとちゃんと家事も育児もしなきゃ!という人は手を貸してくれるわけじゃない。

みんな自分勝手に口を出すけど、ただ言うだけ。
その言葉の責任は誰も取ってくれない。
結局、自分の人生の責任を負えるのは、自分だけなのだ。

当たり前ではあるのだけども、あまりにも外野の声が喧しいので迷いそうになる。
でも自分を見失ってはいけない。
やりたいことと出来ること、理想と現実の間でもがきながら、一番大切なことは何か考え、現状の最適解を探し、その決断の結果を引き受けていくのみ。

そんなことをひしひしと感じるここ数年の妊娠、子育て生活だった。

だから、外野はほとんど無視していい。
素直さや謙虚さも大事ではあるのでバランスが難しいが、命に関わることや自分の尊厳に関わることは、やはり他人に舵取りさせてはいけない。
私は強くそう思う。

そんな考えで、後輩さんには「周りや世間の声はあまり気にするな。誰も何かあった時に責任は取ってくれない。体を大事に過ごしてくれ。後悔のないように」とお話ししたのである。

実は私の周りにも残念ながら死産してしまった方がいる。赤子が無事産まれるのは、当たり前ではない。お産は最後まで何があるかわからない。

周囲は無力で、なんなら妊婦本人だって出来ることは限られている。
だったら、とにかく大事にするしかない。

もし今妊娠中の方は、ぜひ体調優先で過ごして欲しい。周りの声は気になるだろうけど、あまり気にしないでいい。
罪悪感やプレッシャーを感じることがあるかもしれないけれど、誰も責任は取ってくれない。本当に責任は取ってくれない。
周りの声にしたがって後悔することのないよう、過ごしてください。

もし、申し訳ないな、周りに助けてもらったな、と思うことがあったら、いつか余裕ができた頃に誰かにお返しすればいい。

周りに妊婦さんがいる方は、どうかやさしくしてくださったら嬉しいな。

後輩さんは、無事出産して、今赤ちゃんのお世話に奔走中です。

無事生まれて、本当によかった。

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