いとしの授乳室
生後3日目の夜、初めて夜通し赤ちゃんと過ごしてみた。
それはつまり、3時間おきの授乳を行うということ。
朝の6時から始まって、9時、12時、15時、18時、21時、24時、3時。
どう考えても勝負どころは午前3時。
ここは普段の、自分の活動時間ではないから。
4人部屋のカーテン中で赤ちゃんと過ごし、授乳の時は授乳室へ。授乳室では、まず乳首をくわえてもらって母乳の出を促してから、ミルクを与える。
まだ母乳が充分にはでないので、そういった流れになるのだ。
赤ちゃんと実際に一緒に過ごすのは本当に勉強になって、大部屋なので突然のギャン泣きに視野狭窄に陥り、基本的なオムツ替えに気づかなかったり、ベビーベッドのセンサーを切り忘れて2回もブザーを鳴らしてしまったり、赤ちゃんのちょっとした反応にドキドキしたり、おろおろあたふたしてしまった。
(入院しているのは、みんながみんな産後の妊婦ではないのだ。)
外で赤ちゃんが泣いて慌てるお母さんてこういう心境なんだろうな。
落ち着こう、と思った。これも経験。
幸い、24時以降、息子さんは大人しく過ごしてくれた。3時の授乳に向けて緊張していた私は、うっすら寝たり、ソシャゲをしたりしてなんとかその時を迎えた。
眠いなぁと思いながら授乳室に向かうと、他にも眠そうなお母さんたちの姿が。
助産師さんも、眠そう。いつも優しいけれど、さすがにテンションが低め。
そりゃそうだ、深夜3時だもの。
あくびをしたり、うつらうつらしながら、赤ちゃんに乳首を吸わせる。
眠くて滑り落とさないようにしなくちゃ……なんて思いながら。
そこで見た授乳室の光景に私はなんだかとてもほっとした。
みんな眠いし、みんなしんどい。
赤ちゃんだけは元気に泣いてるけれど(何よりです)。
しんどいことや不安なことを考えると、つい視野が狭くなってしまう。
そして、しんどいとか不安と思う自分がおかしいんじゃないか、みたいな気持ちもどこかに混ざる。
けれど、午前3時の授乳は誰でも眠いし誰でもしんどい。
それでもみんな通る道だし、私もそうやって育ててもらったんだろうなぁ。
それがわかってほっとしました。
授乳室では、母乳がでなくて、と母親同士で話したり、げっぷのさせ方がわからないと質問しまくったり、他の方と助産師さんとのやりとりから周りも学んだり、たいへんありがたい場所だった。
戦場というほど肩肘張ってもなく、和気あいあいとまではしてない、ただみんなが授乳しに来る場所だけれど、妙にいとしい場所であった。
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