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夫の「よりそい力」が高くて泣く

しいなかおる

敬いあい、助け合いながら夫婦手を取り合って生きていたら、と思うけれど、現実はなかなか難しい。

特に子どもが生まれてからは、私はこんなに感情的な人間だっただろうかと思うほど心の余裕がなかったり、信じられないほど風邪を引きまくったり、とにかく日々をやり過ごすだけで精一杯。

そうすると、夫を思いやる余裕が消えてしまう。

ほんとは仲良く和気あいあいと過ごしたいのだけれど……。

ところがウチの夫はなかなかすごい人でして、良い感じに私に寄り添ってくれる。

夫が優しくて感動したエピソード２つ

これは週末、宇都宮へ行ったときのこと。夫の自転車レース観戦が目的だが、よく考えたら帰省以外のはじめての家族旅行だった。

この時、夫は土日両日ともレースを走った後で、私が免許を持っていないため、運転もひとりで担っていた。

つまり結構疲れていたはずなのだけれど、お昼を食べた道の駅で、さあ帰るぞという前に、男性トイレにおむつ交換台があるのを発見し「換えてくるよ！」と言ってくれたのだ。

これが出先でずっと1歳息子の面倒を見ていた私にはとてもありがたく、心に沁みた。

別におむつ交換なんて私もできる。できるのだが、「見つけたからやる」「男性トイレの方が空いている」と機転を利かせてくれたことに感心した。

2人が戻るのを待つ間、木陰で空のベビーカーを押しながら、できた人だなぁとぼんやり感動していた。

そしてこれは宇都宮翌週のこと。

週末遠征からの平日仕事に突入し、大変ではありましたが意外と体が勢いよく回っている感覚。このまま乗り越えられるのでは、と思っていたものの、その勢いが続いたのは火曜まで。

思えば、冷凍庫に戻すつもりの唐揚げを誤ってゴミ箱にぶん投げたり、電車を間違えて最寄駅を華麗にスルーしお迎えがいつもより遅くなってしまったり、確実に疲れておかしい行動を取っていた。

それでもあまり自覚がなかったのですが、夫は気づいてたんでしょうね。

夫に気遣ってもらえたことで、「あれ、私もしかして疲れてるのかな？そういや変なことしてたな……」と気づくことができ、休息を取るよう意識したり、慎重に動けるようになりました。

本当に必死だとSOSを出す余裕もない

よく夫婦間の家事育児分担などで「言ってくれたらやるよ」「言ってくれなきゃわからないよ」というやりとりがあります。

私も察してもらうことを前提としたコミュニケーションは非効率的だし、要望はきちんと言葉にするべきだと考えています。

ですが、子どもという制御不能で刻々と要求が変わり、しかも保護しなければならない生き物と過ごしていると、丁寧に指示を出している余裕なんてない時もあるのが正直なところです。

新入社員に次の仕事を振るのに「えっと、今手が空いてないからちょっと待っててね…！」となるようなものです。

目の前の膨大なタクスを片付け臨機応変に対応しながら、人に指示を出すのは大変。

とはいえ全て自分で抱え込んではいつか破綻するので、どこかで立ち止まって棚卸ししなきゃいけないのも事実です。
でも走ってる最中はとにかく目の前のことで精一杯、視野が狭まり、周りに頼る余裕もないという悪循環。

そういう時に、そっと速度をゆるめるよう声をかけてくれたり、立ち止まらせてくれたり、タスクを減らしてくれると本当に助かるものです。

そう、うちの夫は、私が周りを見えなくなっている時や、気が張っている時に手を差し伸べてくれたのです。本当にありがとう……。

どうしてそんなに気が利くのか聞いてみた

なかなか上手くパートナーを気遣えない男性も多い中、なぜこうも優しく気が利くのか、旦那さんに聞いてみました。

「エロゲの選択肢を選んでいるイメージだね」

うん、もうちょっと万人に伝わるような答えが欲しかったけど仕方ないからそのまま聞くね。

「つまり客観視してるんだよ。相手の性格からその後の展開も読みつつ、選んでみる。想像の翼を羽ばたかせてるんだね！」

なるほど。でも選択肢が浮かばないとどうしようもないよね。

「そこはエロゲの経験の賜物です」

「エロゲの主人公ってのはたいてい、本当にいい奴なんですよ！そいつが考える選択肢が悪いものなはずがない！」
※たまに例外があります。

「間違った選択肢や地雷も踏み抜いて全部試した上で、悪かったことは全て忘れるんだよ！」

なるほど、とにかく展開を想像しつつ良さそうな選択肢を選ぶ。そうやって反応が良かったルートを学習し、実践するのが夫婦円満の秘訣なのかな。

要するにトライアンドエラーだね。思いやりと想像力。何事も同じなんだね。

うん、いつもありがとう！

あの、でも、私が疲れていると甘味を買ってきてくれるの、嬉しいけど最近太ってきてやばいです……。

でもめっちゃ嬉しいです……。

私も夫の役に立ててたらいいなぁ。エロゲ風に選択肢繰り広げるか。

#エッセイ #夫婦 #育児 #子育て #夫 #イクメン #エロゲ

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