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子ども産んでワーママになってもオタクは辞められなかったから安心してね(何が)

出産して、重い責任とかわいい赤子を得たけれども、なんだかぽっかり「大事だったもの」を失ったように感じていらっしゃるオタクの方がいたら、読んで頂きたいなぁと思いながら書きました。


20年前、中学の家庭科の授業で「人生設計」なる絵空事を描いた時は、私もいつかオタクを卒業するんだろうと無邪気に信じていた。

大人になったらオタクを卒業して普通に生きるんだろう。そして結婚したり出産したりするのかもしれない。

というか、そうしないと書くことがなかったのだ。
用紙を埋めるために人生のイベントを発生させ、よくわからない「普通」や「真っ当」をぼんやりと感じていたあの頃。まだ今よりは世の中に余裕があったのかもしれないし、古い価値観に浸かっていた。オタクであることは変な目で見られる、やや後ろめたいことだった。そして単純に経験の少ない子どもだったのだ。

そして今。

色々あって結婚し出産し、悩みもあるけれどもそれなりにしあわせに生きているが、あいも変わらず

・週刊漫画雑誌を購読
・毎クールアニメをチェック
・同じアニメ映画を複数回観ることはもはや普通
・家にはアニメグッズが並ぶ
・稀に創作活動も行う

立派な30代子持ち人妻ワーママオタクをしている。

現代はオタクにやさしい環境

様々なライフイベントを経てもオタクを卒業できなかったのは何故だろう。その理由のひとつに、現在は、オタクにやさしい環境が整っていることが挙げられる。

まず前提として、オタクへの風当たりが弱くなった。もちろんオタクが嫌いな人もいるだろうが、むしろ「個性」「趣味」として受け入れられ、社会人が漫画やアニメの話をするのが「恥ずかしくてみっともない」ことではなくなった。

オタクは好きなものには金を落とすので、あらゆる産業が消費者としてのオタクにフレンドリーになったし、大人向けのアニメ漫画作品も増えた。個性や創造性の時代になったことも影響しているだろう。

そういう時代の空気に助けられ、オタク卒業の外圧をあまり感じずにここまで来れてしまった。

個人的には大学進学あたりで外圧を感じたが、元気に跳ね除けた歴史がある。親族に「え、大学でも漫研に入るの……?」と軽く引きながら他のサークルにすればと止められたが、とても楽しかったし、良き友人、そして良き夫と出会えたので、はははざまあみろ好きにして正解だったわ、と思っている。

オタクのブランクも埋めやすい

二つ目の理由は、ブランクの埋めやすさだ。
子持ち人妻ワーママとなれば、育児・家事・仕事をこなさなければならず、自分の時間はなかなかない。妊娠出産直後は、さすがにオタク活動に手は回らなかった。いわば、オタクとしてのキャリアに空白が生まれた。

この時期は好きなものに触れられない寂しさや、情熱と創作意欲を失い空っぽになったような不安があった。

しかしながら、今はオタクのキャリアの空白が埋めやすい。

・動画配信サービス
・電子書籍
・多様な無料創作ツール
・発表の場(SNS)

があり、スマホひとつ、手のひらの空間ひとつで創作・鑑賞活動を行えるからだ。

具体例を挙げよう。

先日「メイドインアビス」にハマった。本作は漫画作品で2017年7月からアニメが放送された。

面白いと話題で作品名は知っていたし、「かわいい絵柄に反して内容がかなりハード」と聞いていたのでアニメ放送当時もかなり気になった。

だがその時私は出産直前で、産前産後にメンタルにくるものを観るのもどうかと、友人の「妊婦にはおすすめしない」という言葉に従って観るのを見送った。

それから3年後。

会社の後輩から勧められ、ちょうどプライムビデオで配信があったので、週末に見始めたらやめられなくなってしまった。

すやすや眠る息子の隣で、画面に釘付け。
あまりに続きが気になって、原作コミックまで購入してしまった。それもスマホで読んだ。

子連れの外出は何かと大変だ。家の中に子どもの物も増えて、管理にも苦労している。でも今回は、どこにも行かず、物も増やさずに鑑賞に浸ることができた。すべてスマホのお陰だ。

さらに面白かったのは、視聴しながら興奮気味に「面白い!」「グロい」「あああ◯◯ちゃんが!!」「あああ」などとTwitter実況していたところ、既に鑑賞済みの友人たちがわらわらと集まってきて一緒に楽しんでくれたことだ。

コロナもあり、それぞれ忙しくなかなか直接会うことはできないけれども、こうやってSNSを通じてオタク語りをし合えるのは現代ならではの楽しみだろう。

SNSは面倒な面もあるが、ずっと繋がっていたい人たちと、環境や住む場所、家族構成が変わってもゆるく繋がり続けることができる。

創作活動はかなりエネルギーを使うので大変だが、今は発表の場も各種SNS、Pixiv、コンテスト等と幅広く、昔のように個人サイトを立ち上げたり同人誌即売会に申し込んで頒布物を作成しなくとも、作ったものを世に出すことが出来る。

さらにツールも進化していて、無料で使えるお絵かきツールも多い。私は以前、推しの誕生日に絵を描きたくてアイビスペイントに触れてみたが、無料でこんなに使えるのかと驚いた。高額なPhotoshopで無理やりイラストを描いていた頃から比べると考えられないほど手軽だ。

まとめると、今はスマホひとつで隙間時間を使って鑑賞・創作活動を行うことが出来る。

さらに、オタク仲間と場所を超えてゆるくつながり続けることもできる。

オタク活動を行うには気力、体力、集中力、そして情熱が必要なので、産後やくたくたに疲れている時は如何ともし難い。しかし、環境は整っているので、決して諦める必要はないのだ。

少し余裕ができたら、子どもに手がかからなくなってきたら、いつでも舞い戻ってきて欲しいと思う。

もしかしたら人間の方が障壁になるかもしれない

デバイスは進化し環境は良くなっているが、人間の方が変化せず、オタクでい続けることの障壁になるかもしれない。

オタク趣味に理解のない夫、近所の目、ママ友、親など。あらゆる人があなたに外圧をかけてくる可能性がある。

私は幸い夫もオタクで、自分の両親もそれなりに理解があるので衝突はしていない。だが、周りが「母親なのに趣味を楽しむこと」や「オタク趣味」に不寛容だったらキツいかもしれない。

また、自分自身が障壁になることもある。

私も「私は『お母さん』だから、何よりも子を大切にして、身を削って生きなければならないのではないか」とか「小さい子を持つ『お母さん』なのに、夕方から夜にかけて一人で出歩きたいなんて『罪』なのではないか」とか、「自分のために楽しんでは、いけないのではないか」と思っていた時期がある。

自由な精神を持っているつもりだったけど、そうでもなかった。

それらは、息子が0歳の頃に行きたかったライブに行かせてもらったこと、肉体的精神的にキツい時期に「このままでは自分か子どもを攻撃しかねない」と思ったことをきっかけに払拭された。

人間は社会的な生き物だから、周りの人にどう見られるか、どう反応されるかを無視するのは難しい。

けれど、子育てと家庭運営では「心身の健康」が基盤となるので、あまり思い詰めず、ちゃんと寝て、食べて、そして何よりも楽しんで生きるのが肝要だと考えている。

「楽しい」を諦めないで

日本は、母親に負担が大きい社会だ。男性の収入が下がっている現在、家事も育児も賃金労働も求められたりする。

その分やり甲斐はあるし、重要なポジションであることは間違いない。

それでも、誰かのために生きるばっかりでは、息苦しい。もちろん、人のためになることが生き甲斐の人もいるだろう。だが少なくとも私はそれだけでは苦しかった。

母親が楽しむことは、「悪」ではない。人生を楽しんで何が悪いのか? むしろ「楽しいこと」「好きなこと」は困難を乗り越える糧になる。

子育てという大事業を成し遂げるためにも、好きなものを手放さず生きて欲しい。

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