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「働く女性」のロールモデルを求めている人にすすめたい『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』

私が書店で思わずこの本を手に取ってしまったのは、やはり何か不満や不安や焦りがあって、「うまいこと」できていなかったからかもしれない。

書店にうず高く積まれていたそれは、どちらかというと年配の方がまだ続く人生を衰えを受け入れつつ生きるために、共感しながら読む本かと思われた。そんな感じのコーナーに置いてあったし。

しかし、感想をみてみると幅広い年代の方に読まれていることがわかる。みんな心に折り合いをつけるのが難しいのだろう。

万人に受け入れられている本書だが、私は特に「身近に働き続ける女性がおらず、ワーママのロールモデルを求め悩んでいる人」におすすめしたい。

「働き続ける女性」の先達がほしかった

本書の著者は80歳を超えてなお働き続ける女性である

1945年6月、終戦の2か月前に医師になるために広島県尾道市から一人で大阪へ、混乱の時代に精神科医となる。二人の子どもの子育てを並行しながら勤務医として働き、2017年7月(88歳)まで週6日フルタイムで外来・病棟診療を続けている(8月から週4日のフルタイム勤務となる)。「いつお迎えが来ても悔いなし」の心境にて生涯現役医師を続けている。  (Amazon著者紹介より抜粋)

結婚、出産、子育てと平行しながら働き続けている方の話は、私にとってとても貴重でありがたい。

私の母は、就労経験はあるけれど長らく専業主婦。私は東京勤務で初の産休育休取得者で、身近に先を歩いてくれているワーママがいない。

メディアで取り上げられるワーママ達は凄すぎて別世界の人のように感じてしまうし、ゆるく働いて子育て重視でも、仕事メインで子育ては外注でもなく、どちらもそれなりにやりたいという欲求を持っている。同世代の義姉や友人たちとの横の繋がりはあるが、先達がいない中、なんとか模索しながら生きている感じだ。

そんな中で、本書の中の言葉は、道標のようだった。

読んで「気が楽になる」本

この本の特徴はなんといっても「読んで気が楽になる」ところにあるだろう。

(いつも通り、読書メモカードを使って紹介します)

第1章 なんのために、働きますか?
第2章 期待しないほうがうまいことやれる
第3章 人間関係には、妙がある
第4章 心を平静に戻す
第5章 あれやこれやを、両立していくには
第6章 「日々たんたん」な生き方

「なんで働くんだろう?」「貴重な時間や体力を削ってまでやりたいことってこれだったっけ?」「これから先もずっとこの仕事をしていくんだろうか」。日々モヤモヤしていたしていたところに、すっと効いたこの言葉。

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ふっと、肩が軽くなる。

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今は、なんかもう精一杯だから、まだその時じゃないのかもしれない、と思ってみたり。

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とはいえ、もがいているのは、やっぱり悪いことじゃなかったのかなと励まされたり。

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ぽん、とあったかい手で背中を押されたような感覚になったりして。

医者と聞くと、とても手の届かない存在のようだけれども、語り口がラフで読みやすいので、不思議と身近に感じられる。

読んでみると、彼女の道のりは決して平坦なものではない。

結婚してみたら、夫の浪費癖がすごかったり。

一時的に専業主婦になったり。

子育てとの両立がなかなかできなかったり。

夫婦間でギスギスしたり。

そんな日々を淡々と語る姿を見ると、私もいつかこんなふうに、サラッと話せるようになるのかなと勇気がでてくるのだ。

イレギュラーだったこの一年、肩に力が入りっぱなしの人は本書を読んでみると少し楽になれるかもしれない。

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