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人の一生は重荷を負いて
結婚の挨拶で夫を両親に引き合わせた時、夫はバリバリのブラック企業勤めだった。
小さなスポーツウェアのアパレルでデザインと小売のあらゆる雑事を引き受けており、退勤は日付が変わる頃。休みも少ない。
とにかく忙しく顔色も悪く、新居選びの日程調整すら大変というありさま。
正直なところ、しっかりした企業勤めで収入も安定して笑顔が爽やかで「この人ならうちの娘を任せて安心!」という感じでは、あまりなかった。
でも、うちの父は言ったのだ。
「夫くんは、今は稼げてないかもしれないけど40代になったら人より稼げるようになるかもしれないね。今はお金がなくても、その頃あればいいんだよ」
「これからは、クリエイティブな人が生き残る時代だと思うから」
と。
私は割とその言葉を信じていて、そうなればいいなぁと願いながら生きている。
なぜそんなことを思い出したかというと、自分のキャリアにモヤモヤしているからだ。
子どもが3歳を迎え、フルタイムに復帰した。
なんとかここまで戻ってこれた。
それでもマミートラックは継続していて、焦りがある。
このままずっと事務と雑用係で、昇進昇給と無縁で生きていくのだろうか。子どもを育て上げるためにも、お金とスキルが欲しい。貯金も全然できていない。
それでも仕事があることはとてもありがたく、なんとかお迎えと両立できているのも奇跡のよう。
それなりに恵まれているのだと、思っている。
でも時折心の奥にある松明がチラチラと揺れるのだ。
焦る気持ちと、物足りない気持ちがずっとある。
転職できるかな、体力が持つだろうか。そもそも転職活動がしんどい。薄々感じていたけれど、私は自分のことを過大評価しているんじゃなかろうか。
気づくとつい、マイナスの未来ばかり描いてしまう。
仕事量が増えて多少楽しくはなってきたものの、毎日毎日モヤモヤ。
そんな時、ふと、あの時の父の言葉が頭に浮かんだ。
「今は稼げてないかもしれないけど40代になったら人より稼げるようになるかもしれないね。今はお金がなくても、その頃あればいいんだよ」
今私は34歳。
平均寿命まで運良く生きられたならば、あと50年くらい人生は続く。
長い。
子どもはまだ3歳で、成長してきたけれども、まだまだ甘えたい盛りだし、お世話もいる。
今はゆったり構えて、40代以降に調子を取り戻せるように考えればいいのでは。
という、書いてみると至極当たり前で面白くもなんともないことに思いいたった。
生来真面目で頑張り屋なので(自分で言う)、ブレーキを踏むことが、ゆるめることが、停滞することが、とてもとても不安なのだ。
「最上志向」と「学習欲」がストレングスファインダーでそこそこ上位に来る私だから。
だけどそこをなんとか自分を乗りこなし宥め賺して、ゆったり視野を広く持てたら、とおもう。
人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し。
急ぐべからず、というもんね。
何度か同じようなことを書いている気がするけれど、何度も書かねばならぬほど、この境地を維持するのが私にはむずかしいのだ。
漢字を何度も書いて覚えるように、何度も書いて自問自答している。
そうするうちに、少しずつ、良いほうに転がっていけたらいいなぁ。
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