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ロシアと北朝鮮 バレエの裏で

ロシアと北朝鮮の蜜月が続いています
3月20日、ウラジオストクのバレエ団が北朝鮮の首都・平壌にある万寿台(マンスデ)芸術劇場で「眠れる森の美女」を上演しました。

「眠れる森の美女」というと、昔のディズニー映画を思い出す方も多いでしょうが、さすがにアメリカを激しく敵視している両国なだけに、ディズニー的な要素はなかったのだろうと思います。
もともとはヨーロッパの童話だそうですし。

先日、北朝鮮の軍事動向に関するオンラインのセミナーを視聴した際、露朝の軍事協力も触れられていたので、それも含めて現状を少し掘り下げます。


プーチン・金正恩会談で一気に関係強化

今回のバレエ団の公演は、ロシアと北朝鮮が経済・文化に関する相互協力の合意を結んでから75年を迎えたのを記念して、ロシアの代表団が訪朝したことに伴うものです。ロシア側の団長はAndrei Maluishev副文化相とのことなので、それなりにハイレベル。

こちらの写真↑は、その副文化相が平壌に到着した際に花束を受け取っている場面ですが…花束の包み紙がウクライナ国旗のように青と黄色なのは、悪い冗談なのでしょうか。

北朝鮮の国営メディアによれば、露朝の双方は「このような文化交流は両国の指導者のおかげ」と強調したとのこと。確かに、昨年9月にロシア極東の宇宙基地で開催されたプーチン大統領と金正恩(キム・ジョンウン)総書記の首脳会談が関係強化の大きな節目になりました。

そのとき記事↓も書きましたが、ウクライナでの戦争で思わぬ苦戦を強いられて砲弾が少なくなったこともあり、プーチン氏は金正恩氏を丁重にもてなし、この会談と前後して北朝鮮から大量の砲弾やミサイルがロシアに提供されることで合意が成立しています。そうした動きを、アメリカ国務省の報道官は「ペコペコする」という意味の"hat in hand"というフレーズを織り交ぜながら、「物乞い」などと嘲笑。

世界有数の軍事大国であるはずのロシアが北朝鮮に頭を下げたかのような動きを、バイデン政権が物笑いのネタにしたくなったのは分からなくもないですが、露朝の軍事協力はあまり笑える話ではありません。

通常兵器の開発・改良を加速させる北朝鮮

ロシアが北朝鮮から砲弾などの供給を受けたことで侵略戦争の継続能力が上がってしまい、ウクライナの人々の苦しみが拡大したことは、すでに広く伝えられている通りです。

ここでは、北朝鮮が軍事的に得たものを考えたいと思います。

先日視聴したセミナーで、韓国国家安保戦略研究員の金甫美(キム・ボミ)研究員は、「ウクライナでの戦争に自国の兵器が使われたことによって、実戦における兵器のパフォーマンス(効果や性能)を確認できるようになったのは、北朝鮮にとって大きなプラスだ。そうした効果のチェックを踏まえて、兵器の性能向上に力を入れ始めている」と指摘しました。

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