池畑修平

ジャーナリスト/アジア・ユーラシア総合研究所理事。元NHK解説主幹、「国際報道」キャス…

池畑修平

ジャーナリスト/アジア・ユーラシア総合研究所理事。元NHK解説主幹、「国際報道」キャスター。ジュネーブ、北京、ソウルに駐在。東アジアのニュースを掘り下げています。著書「韓国 内なる分断」(平凡社新書)。修士(学術)。ikehata-planning@naver.com

メンバーシップに加入する

■なにをするコミュニティか 東アジアに関するニュースの、多角的かつ分かりやすい解説が読めるコミュニティです。中国、台湾、朝鮮半島という、日本が最も影響を受ける東アジア地域について、より深く理解するうえで役立つ内容を発信します。 ■記事更新の頻度 毎月12本ほど、月300円で読み放題にします。 ■どんな方に来ていただきたいか 日頃、東アジアのニュースを読んだり視聴したりする中で「いまひとつ分かりにくいな」「もっと詳しく知りたいな」とお考えの方を想定して記事を書きます。掲示板機能も使って、「こういう話についてもっと知りたい」といったご意見を歓迎します。一緒に学んでいきましょう! ■池畑修平の簡単な自己紹介 NHKで長く国際ニュースの取材・発信に携わりました。主な経歴は、報道局国際部記者、ジュネーブ支局長、中国総局(北京)記者、ソウル支局長、BS「国際報道」キャスター、解説主幹。2023年9月にNHKから独立しました。

  • 「スタンダードプラン」

    ¥300 / 月
    初月無料

最近の記事

  • 固定された記事

解読せよ 「7-278242」

中国と北朝鮮との国境を流れる鴨緑江(おうりょくこう)が氾濫し、両国の人々に被害が出ています。 中国側の丹東は、中朝両国を結ぶ鉄道と道路の橋があり、両国間の人やモノの往来が活発です。かつて北京に駐在していた頃、取材でたびたび訪れました。 中朝ともに被害 こちらは中国国営メディアが撮った写真。かなりの洪水です。 対岸の北朝鮮北西部・新義州(シニジュ)なども洪水に見舞われました。社会インフラが中国より脆弱なだけに、こちらの方が被害は甚大なようです。 北朝鮮の国営メディアは、

    • 金正恩体制で「エリート脱北」急増

      8月20日、北朝鮮軍の兵士1人が軍事境界線を越えて韓国に亡命したことが伝えられました。いわゆる脱北ですね。 この兵士が亡命した経路は、日本海に近い東部でした。 その前、8月8日には、北朝鮮の一般住民1人が西部で漢江(ハンガン)が黄海に注ぐ河口のあたりを泳いで南に渡り、やはり亡命しています。 北朝鮮→中国→東南アジアを経ての脱北ではなく、ダイレクトに北朝鮮から韓国への亡命が一か月に2件起きるのは珍しいです。ただ、「たまにはそういうこともあるだろう」くらいに受け止めました。

      • 強権体制における最高機密

        煽り気味のタイトルをつけましたが、結論からいきましょう。中国、ソ連/ロシア、北朝鮮など、強権体制の国家における最高機密は、最高指導者の健康状態だといえます。 日本なら岸田首相が健康診断を受けたことまで日々の動静として報じられますし、アメリカならバイデン大統領が新型コロナウイルスの検査で陽性と診断されたことも伝えられます。しかし、中国の国家主席が風邪で寝込んだことがニュースになることは、まあ考えられません。そうした情報は徹底的に伏せられるためです。 ただ、情報統制で体調不良

        • 北朝鮮 米韓演習より脅威なのは…

          アメリカと韓国が8月19日に定例の合同軍事演習「ウルチ(乙支)・フリーダム・シールド」を始めました。米韓演習が実施されるたびに北朝鮮は激しく反発し、ときには合同演習が終わった直後のタイミングでミサイルを発射したりもしてきました。 今回も米韓を指弾していますが、実際には、より大きな脅威のほうに指導部は神経をすり減らしている模様です。以前にもお伝えした大雨による水害です。おそらくは、90年代に大勢の餓死者を出した引き金の水害を思い起こしているのでしょう。 「苦難の行軍」を引き

        • 固定された記事

        解読せよ 「7-278242」

        メンバーシップ

        • お知らせ

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • 記事掲載(クーリエ・ジャポン)

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • 動画2つ(BS11、NHK国際放送)+記事(クーリエ)

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • 出演のお知らせ(BS11)

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • お知らせ

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • 記事掲載(クーリエ・ジャポン)

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • 動画2つ(BS11、NHK国際放送)+記事(クーリエ)

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • 出演のお知らせ(BS11)

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります

        メンバー特典記事

          金正恩体制で「エリート脱北」急増

          8月20日、北朝鮮軍の兵士1人が軍事境界線を越えて韓国に亡命したことが伝えられました。いわゆる脱北ですね。 この兵士が亡命した経路は、日本海に近い東部でした。 その前、8月8日には、北朝鮮の一般住民1人が西部で漢江(ハンガン)が黄海に注ぐ河口のあたりを泳いで南に渡り、やはり亡命しています。 北朝鮮→中国→東南アジアを経ての脱北ではなく、ダイレクトに北朝鮮から韓国への亡命が一か月に2件起きるのは珍しいです。ただ、「たまにはそういうこともあるだろう」くらいに受け止めました。

          金正恩体制で「エリート脱北」急増

          強権体制における最高機密

          煽り気味のタイトルをつけましたが、結論からいきましょう。中国、ソ連/ロシア、北朝鮮など、強権体制の国家における最高機密は、最高指導者の健康状態だといえます。 日本なら岸田首相が健康診断を受けたことまで日々の動静として報じられますし、アメリカならバイデン大統領が新型コロナウイルスの検査で陽性と診断されたことも伝えられます。しかし、中国の国家主席が風邪で寝込んだことがニュースになることは、まあ考えられません。そうした情報は徹底的に伏せられるためです。 ただ、情報統制で体調不良

          強権体制における最高機密

          北朝鮮 米韓演習より脅威なのは…

          アメリカと韓国が8月19日に定例の合同軍事演習「ウルチ(乙支)・フリーダム・シールド」を始めました。米韓演習が実施されるたびに北朝鮮は激しく反発し、ときには合同演習が終わった直後のタイミングでミサイルを発射したりもしてきました。 今回も米韓を指弾していますが、実際には、より大きな脅威のほうに指導部は神経をすり減らしている模様です。以前にもお伝えした大雨による水害です。おそらくは、90年代に大勢の餓死者を出した引き金の水害を思い起こしているのでしょう。 「苦難の行軍」を引き

          北朝鮮 米韓演習より脅威なのは…

          もう一つの「8月ジャーナリズム」

          先日書いた記事で、日本では毎年8月になるとメディアが集中的に太平洋戦争を振り返って平和の尊さを伝える「8月ジャーナリズム」について、批判的にお伝えしました。 この中でサラッと触れたのですが、日本では8月15日が「終戦の日」となりましたが、これは国際的には殆ど通じない話です。 大日本帝国がポツダム宣言を受諾して降伏すると連合国側に伝えた8月14日をもってして戦争が終わったとする考え方もあります。あの玉音放送で昭和天皇が読み上げた終戦詔書も、日付は14日でした。 一方、国際

          もう一つの「8月ジャーナリズム」

          "Chinese Taipei"の苦闘

          オリンピック。 若いころは、もっと観戦を楽しめていました。 と、少し前に書いた記事の出だしをリユースしてしまいましたが、相も変わらず競技以外のニュースに反応してしまいがちです。職業病。 今回は、こちらの話について。 オリンピックの会場で「台湾」や"Taiwan"と記された応援グッズが警備員らによって次々と没収されているというのです。背景には、言うまでもなく、中国政府によるIOCへの圧力があります。 ここでは、そもそも"Chinese Taipei"というオリンピックでの不

          "Chinese Taipei"の苦闘

          「8月ジャーナリズム」の本質

          8月6日は、言うまでもなく、1945年に広島に原爆が投下された日です。毎年、平和記念式典が開かれます。 長崎原爆の日、そして終戦の日とともに、毎年、平和のありがたさを考える機会として各メディアは戦争についての特集を組みます。広島と長崎では被爆者の体験談を中心に核兵器の非人道性を大きく伝えます。NHK広島放送局では、毎年、核兵器関連のNHKスペシャルを制作することが「責務」です。 このように8月になるとメディアで「核兵器廃絶の願い」や「不戦の誓い」が集中的に報道されることは

          「8月ジャーナリズム」の本質

        記事

          もう一つの「8月ジャーナリズム」

          先日書いた記事で、日本では毎年8月になるとメディアが集中的に太平洋戦争を振り返って平和の尊さを伝える「8月ジャーナリズム」について、批判的にお伝えしました。 この中でサラッと触れたのですが、日本では8月15日が「終戦の日」となりましたが、これは国際的には殆ど通じない話です。 大日本帝国がポツダム宣言を受諾して降伏すると連合国側に伝えた8月14日をもってして戦争が終わったとする考え方もあります。あの玉音放送で昭和天皇が読み上げた終戦詔書も、日付は14日でした。 一方、国際

          もう一つの「8月ジャーナリズム」

          "Chinese Taipei"の苦闘

          オリンピック。 若いころは、もっと観戦を楽しめていました。 と、少し前に書いた記事の出だしをリユースしてしまいましたが、相も変わらず競技以外のニュースに反応してしまいがちです。職業病。 今回は、こちらの話について。 オリンピックの会場で「台湾」や"Taiwan"と記された応援グッズが警備員らによって次々と没収されているというのです。背景には、言うまでもなく、中国政府によるIOCへの圧力があります。 ここでは、そもそも"Chinese Taipei"というオリンピックでの不

          "Chinese Taipei"の苦闘

          「8月ジャーナリズム」の本質

          8月6日は、言うまでもなく、1945年に広島に原爆が投下された日です。毎年、平和記念式典が開かれます。 長崎原爆の日、そして終戦の日とともに、毎年、平和のありがたさを考える機会として各メディアは戦争についての特集を組みます。広島と長崎では被爆者の体験談を中心に核兵器の非人道性を大きく伝えます。NHK広島放送局では、毎年、核兵器関連のNHKスペシャルを制作することが「責務」です。 このように8月になるとメディアで「核兵器廃絶の願い」や「不戦の誓い」が集中的に報道されることは

          「8月ジャーナリズム」の本質

          「統一旗」はもう見られない

          オリンピック。 若いころは、もっと観戦を楽しめていました。 長いこと国際ニュースを伝える仕事をしていると、どうしても、時の外交、経済、そして戦争・紛争をオリンピックに投影する習慣が身についてしまうものです。 そういう職業病が染みついてしまった者であっても、比較的、雑念(?)なく観れるのは陸上や水泳などでしょうか。柔道やサッカーなどのように個人やチームとして対戦相手と戦う競技より、シンプルにそれぞれがタイムと戦う方が、国際情勢との絡みが少ないように思えて。 それに、そうし

          「統一旗」はもう見られない

          三中全会 消えた新華社記事の謎

          中国共産党の重要会議として知られる三中全会(さんちゅうぜんかい)が7月15日から18日まで北京で開催されました。正確には第20期三中全会でした。 その重要会議をめぐっては、先日、色々と変調がみられたことを記事でお伝えしました。まずこちらに目を通していただいた方が、今回の記事は分かりやすいかと思います。 そして、さらなる変調がありました。 中国国営新華社通信が、三中全会初日の15日、「改革家としての習近平」というタイトルで習近平主席は「鄧小平(とう・しょうへい)氏に続くも

          三中全会 消えた新華社記事の謎

          LINEヤフー問題 日本政府が次善の対応

          以前、このnoteや東洋経済オンラインで掘り下げた総務省のLINEヤフーに対する行政指導が新たな展開をみせました。 セキュリティ対策の強化を名目に、総務省はLINEヤフーに対して大株主である韓国・ネイバーとの資本関係を見直すことを要求していたのですが、それを事実上取り下げたと伝えられています。 はじめから筋が悪すぎた この問題、当初からの経緯を確認されたい方は以前の記事が参考になるかと思いますので、貼りつけます。 私は一貫して総務省の行政指導はかなり筋が悪いと批判してき

          LINEヤフー問題 日本政府が次善の対応

          中国 三中全会の変調

          三中全会(さんちゅうぜんかい)。 メディアで「中国共産党の重要会議の一つ」と銘打たれることから注目される方もいると思います。ただ、共産党大会、全人代、北戴河(ほくたいが)会議などなど、今の中国では「重要会議」がいろいろあるので、どれが本当に重要なのか分かりにくくもあります。 少し歴史的な経緯を踏まえたうえで7月15日に開幕した今回の三中全会の「変調」をみていきましょう。 そもそも三中全会とは 冒頭でお伝えしたように、7月15日から三中全会が始まりました。ですが、例によ

          中国 三中全会の変調

          日・韓・台を結びつける"chips"

          "chips". ポテトチップスではありません。英語で半導体を指します。 半導体、正式にはsemiconductorsなのですが、chipsのほうが言いやすいですよね。 つまらない冗談から始めてしまいましたが、現代の生活を維持するうえで半導体は最重要の「資源」となっています。スマホをはじめとする電子機器はもちろん、自動車、航空機、医療機器、防衛装備品… あらゆるところで半導体が必要不可欠です。 半導体不足で交通カードの販売が止まったというニュースも記憶に新しいですね。

          日・韓・台を結びつける"chips"

          金正恩総書記の「長男」は存在せずか

          21世紀も四分の一近くが過ぎようとしている現在でも、地球上には極端な秘密主義の国家はあります。 とりわけ独裁体制における最高権力者の身辺情報は、他国の情報機関の精鋭たちをもってしても正確に把握するのは困難だと、改めて実感する話題があります。 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘、キム・ジュエ(とされる少女)氏は、父と一緒に公に登場することが増えるにつれて後継者として有力視されるようになってきました。ただ、「いやいや、やっぱり違うだろう」と留保する専門家らもいるのは、

          金正恩総書記の「長男」は存在せずか

          日本政府の国連軽視

          日本外務省のHPをみますと、こういうQ&Aがあります。 確かに日本の戦後外交では▼米国との同盟関係と▼国連での国際協調が二本柱に据えられてきました。ですが、後者に関していえば、実体が伴ってきたとは、必ずしもいえません。 一部では国連軽視としか言いようがない言動もあり、その代表格は人権をめぐる課題です。 日本の構造的な課題 日本メディアではやや報道が下火になった感のある故ジャニー喜多川の性加害問題ですが、先日、国連人権理事会から日本に対する厳しい指摘の中で改めて取り上げら

          日本政府の国連軽視

          中国とEU 貿易戦争開戦前夜?

          中国とEU(ヨーロッパ連合)の間で神経戦が繰り広げられています。焦点はEV(電気自動車)。 中国が意図的にEVを過剰に生産し、それをヨーロッパに向けて輸出しているとEU側が問題視し、高関税をかけると発表。それに反発した中国側もEUの大型ガソリン車に対する関税を大幅に引き上げる構えをみせているのです。 この件、世界的なEV市場の動向という要素に加えて、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席のメンツが丸つぶれになったという事情もあり、中国側は引くに引けなくなっています。 訪欧し

          中国とEU 貿易戦争開戦前夜?

          露朝の「軍事同盟」 中国は冷淡?

          東アジア情勢で他にも書くべきニュースはあるのですが、もう少しだけ、プーチン大統領と金正恩総書記の新車でのドライブ…ではなく、ロシアと北朝鮮の新たな条約について。 日本や韓国、それにアメリカなどの各国政府は今回の露朝「包括的戦略パートナーシップ条約」には懸念を強めているわけですが、もう一人の重要プレーヤー、中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席はどう受け止めているのか、とても気になるところです。 今のところ、彼が中南海のどこかで「いいぞ」と手を叩いて喜んでいないのは確かなよ

          露朝の「軍事同盟」 中国は冷淡?