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就労支援におけるアセスメントの進め方と大切となる視点

おはようございます。
最近、「アセスメント」について考えることが増えたような気がしています。
講義っぽい感じになりましたが、アセスメントの視点・大切さをまとめておきたいと思います。


1、アセスメントとは

アセスメントとは、「その人をよく知るための作業」。
直訳すると、評価とか、査定とかって意味になります。
就労支援に取り組む支援者は、利用者の方をお客様として仕事をしているわけですから、いわば「プロ」です。

プロが支援をする際、場合たり的に、適当に、支援することは適切ではないですし、むしろ「根拠ある支援」「説明できる支援」が求められていると思います。

そのためにも「アセスメント」はとても大切にする必要があります。


2、目的はジョブマッチングのため

これは、就労移行支援に重きをおいて発言している感じです。
ジョブマッチングとは、「障害のある人と職場の最適な組み合わせ」。
あ互いの相性が良ければ良いほど、就職や職場定着など「無理なく適応できる可能性」が高まるという考え方です。

「障害のある人のアセスメント情報」と「職場のアセスメント情報」を組み合わせ、最適なジョブマッチングを目指す。
そのためには、双方のアセスメント情報がとても重要になります。

今回は、「障害のある人のアセスメント」にスポット当てて話を進めていきたいと思います。


3、アセスメントの手法(3つ)

アセスメントを進める際、手法はいくつかあります。
3つに分けて説明していきます。


 3-1「基礎情報の収集」

初回の面談(インテーク面談)では、基礎的な情報を聞き取ります。
私たちの現場では、面談前に渡す「アンケート用紙」に基礎情報を書いてもらい、インテークの際は必要なことだけ聞き取りをさせてもらっています。
基礎情報は、アセスメント情報のベースとなるものですから、診断書や心理検査、職業評価などフォーマルアセスメントとして受検されたものがあれば、コピーなどを頂戴して情報収集させてもらっています。

また、インテーク面談は利用者や家族にとっても一番緊張が高い状態ですから、どれくらい聞き取りができるかは難しいところですが、「生育歴」「診断のこと」「自己理解」「目標や願い」など、「ご本人のニーズ」「家族にニーズ」をアセスメントすることも大切な視点となります。


 3-2「作業場面」

作業とは、事業所などで行う作業場面として意味づけています。
就労移行支援なら職業訓練の場面、所内訓練の場面が当てはまるかと思います。

作業や講座、時にはレクリエーションなど、その時の様子を「行動観察」することでアセスメントを行います。
得意なことや苦手なこと、障害の特性、成長の伸びしろなど、多面的な視点でアセスメントすることが望ましいです。

また、作業場面で「スキルチェック」をする場合、スタッフ間で評価軸をある程度統一しておくことも大切な視点となります。
これも私たちの現場での話ですが、「合格」「芽生え」「不合格」の3つでスキルチェックをし、「特に『芽生え』に着目すること」をスタッフ間で申し合わせるようにしています。

「合格」は自立しているとみなして重要視せず、「不合格」も訓練の必要性がそれほどなくむしろ弱みは別の方法で補うことを検討し、ここでのスキルチェックでは「芽生え」を最重要視しています。
言い方を変えるとすれば、「芽生え」を見つけたくてスキルチェックしている感じです。


 3-3「職場環境」

職場とは、「施設外就労(グループ就労)」「企業実習」などをイメージして職場環境と書きました。
自分たちの事業所では見れないことを、別の(外の)環境でアセスメントすることがここでの目的です。

職場環境は、ご本人にとっても初めての環境であったり、不慣れな環境でもあるため、「いつもとは違った様子」が見れることも多いかと思います。

ここでのポイントは、職場での「できる・できないの評価」は「職場が決めること」であるということ。
職場で求められること(役割期待)は、職場にとってそれぞれ違いがあり、企業文化や期待値は企業が設定するものです。

仮に、支援者ができていないと思えることでも、「とても助かっている」「よくできている」と企業側から高評価を得られることも珍しいことではありません。

職場の役割期待に応えられているか、企業側の評価はどうかなど、職場環境との相互作用から見えるご本人の様子をよくよく行動観察することが大切な視点であると思います。


4、職場環境との相性

近年、障害に対する考え方は「医学モデル→社会モデル」へと変化しています。
障害は個人の問題ではなく、社会の理解や周囲環境の状況などによって障害の程度は大きく変化するという考え方です。


社会モデルの考え方で言うと、職場環境との相性はとても大切です。
適材適所という考え方があるように、合う環境もあれば、合わない環境もあるということです。

アセスメントの視点で考えると、担当する利用者の方に適する職場は「どんな環境が理想か?」をアセスメント情報から想像することが重要となります。
ケースミーティングなどでスタッフみんなからアイデアを出し合い、職場環境との相性を想像(妄想)することで理想の職場環境は見えてくると思います。

個人的には、「相性」という考え方が気に入っています。
職場環境との相性は、いわばお見合いみたいなものです。

相性が合わない時にどう周囲から理解を求め、ナチュラルサポートの体制を作っていくかも大切な視点ですが、「合わないものはなにをやっても合わない」といった考え方も必要かもしれません。
(もちろん、お互いが歩み寄ることもとても大切な視点ではあります。))

相性ですから、合うときもあれば合わないときもある。
「理想の職場環境」をイメージしながら、職場環境との相性を探っていくことがここでのポイントとなります。


5、ニーズアセスメントの視点

最後は、「ニーズアセスメント」についてです。
これはその名のとおり、「ニーズをアセスメントしましょう」って意味です。

障害のある人の多くは、障害のない人に比べて「未経験なことが多い」ように思われます。
知らないことや経験したことがないことは、ご本人の中で想像しづらいこともあり、ニーズに現われにくいこともあります。

就労支援を進める中で、利用者の方にいろんな経験をしてもらう場面はいろいろとあります。
利用者の方にとっては初めての経験となることもあり、その経験がその後の人生によい影響を与えることもあると思います。

経験が少ない分、経験をすることで潜在的なニーズが表面化する可能性はたくさんあります。
経験したことで「新たな気持ちが芽生える」ってこともあるでしょうし、「気が変わる」なんてこともあると思います。

経験はニーズを変化させます。
それは誰にでも起こりうることであり、自然なことです。経験することで何度も気が変わり、二転三転することだってあるものです。

ニーズアセスメントのポイントは、「変化するニーズ」を知り、今現在のニーズ(事実)をきちんと記録しておくことです。
経験されたことがどのようにニーズとして表面化しているかは、アセスメントする上ではとても有効な情報であると思います。

理想と現実に対して揺れ動くニーズであっても、二転三転するニーズであっても、「今のご本人の気持ち」を知った上でこそ、寄り添う支援ができるように思います。

 

 

アセスメントの視点・大切さについては、以上となります。

就労支援を進める上で、アセスメントに取り組んでいくことはとても大切なことだと思います。
僕自身、こうやって書いていてもまだまだ分からないことは多いですし、日々の仕事を通してアセスメントの奥深さを感じることはとても多いです。

アセスメントは、きっと終わりない作業なんだと思います。
目の前の利用者の方との付き合いが長く続くのなら、アセスメントも長く続ける必要があるでしょうし、アセスメント情報は随時更新していくものとして理解しておいたほうがいいんだと思います。

ざっくりとまとめたアセスメントの視点。
抜けてることも多いような気がするので、またどこかで続きを書きたいと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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