大学生がアメリカのディズニーで働いて一番学んだこと
どうも。
愛媛でほそぼそと大学生をやっております、Shunです。
地方でのんびりと過ごそうと、地元の大学へ進学したのですが、ひょんなことから米国フロリダのディスにーで1年間勤務することになり、昨年の3月初旬にその勤務を終えて帰国しました。
そして今は、大学の卒業を控える傍ら、愛媛の地酒をプロモーションしようとサービスの立ち上げに奔走している毎日です。
しかし、最近の思考の中で僕らが届けたいと思っているターゲット層に対してのアプローチのかけ方が、無意識的に1年前の経験を再現しているような感じがして、備忘録としてもnoteにまとめてみることにしました。
本場のDisneyで学んだこと
皆さんは、ディズニーは好きですか?
僕は、実は渡米するまで、日本のディズニーにも片手で数えるほどしかいったことがありませんでした。
当然、キャラクターもミッキーやミニーなどの主要キャラクターしかわかりませんでした。
そんな僕が、本場フロリダのディズニーでキャストをやるということになり、友人はおろか家族からも心配されました。
ちなみにフロリダのディズニーはめちゃデカいです。
1週間あっても回り切れないほどでかいです(ガチ)
そんな本場で、僕が任された仕事。
それは、「日本酒バーのバーテンダー」でした。
ん?ディズニーにそんなお酒を扱うところがあるの?と思うかもしれませんが、はい。実はあるんです。
フロリダのディズニーには大きく4パーク ( Magic kingdom / EPCOT / Hollywood studio / Animal Kingdom )があるのですが、僕はその中でEPCOTというパークで働いていました。
※EPCOT - Experimental Prototype Community Of Tomorrow (未来型実験都市)の頭文字を取ったパーク名です。
おそらく、皆さんのディズニーで働くというイメージは、ダンサーやアトラクションのお兄さん、ストアで忙しなく働くキャストさんというイメージを持たれていると思うのですが(僕も最初はそのイメージでした)、配属が決まったときはほんとにビックリしました。
だって日本酒バーですよ?
海外といえば、ワインとかカクテルとか、ビールとかじゃないですか?
でも、幸いお酒が好きだったこともあり、趣味の延長としてお酒の勉強も同時に始めました。
今思えば、あの配属が今の自分の生き方を変えたような気がします。
前置きが長くなってしまいました。
僕はこの配属によって、Disneyのカルチャーを通じて、本当に大切なことを「2つ」学ぶことができました。
★本場のディズニーで学んだ大切なこと
・明確な「カスタマージャーニー」をゲスト毎に描くこと
・ロイヤリティーを届けること
1つずつ、解説していきたいなと思います。
①「カスタマージャーニー」を描く
なんだか難しい言葉のように感じる人もいるかもしれませんね。すいません…
ざっくりいうと、
**
「ゲストが商品やサービスを知った時に、最終的に購入してもらうまでのゲストの「行動」「思考」「感情」などのプロセス」**
にあたります。
これは、Disneyという環境では、本当に様々なプロセスが存在していると思います。たとえば、
・キャラクターやショーが好きでパークに足を運ぶ人
・子どもが喜ぶからと、家族旅行で訪れる人
・Disneyの設計や、世界観が好きな人
・記念日などの特別な日に訪れる人 etc...
あげていけばキリがないのですが、どれもとってもポジティブで楽しいイメージを持たせてくれますよね。これが長年、ウォルトディズニーが築き上げてきた、圧倒的な世界観でもあると思います。
それだけ多種多様な動機をもつゲストに併せて、イベントやプロモーションを打ち出すことは本当に大変で骨が折れる作業であると思うのですが、不思議なことにディズニーはどんなに些細なゲストのリクエストにも誠実に、丁寧に、小さな「サプライズ」を込めて対応してくれます。
僕はこのディズニーの心遣いに、ゲストの心をつかんで離さない仕組みがあるのだと感じました。
さて、それが自分の日本酒バーでの勤務にどう活かされていたかというと、一つが「観察すること」です。
僕のところのバーに足を運んでくれるゲストの属性も様々でしたが、1年間勤務してみてのざっくりとした分類は、
・40-50代の日本酒好きなゲスト(男性多め)
・日本ならではのお土産を探して話しかけてくるゲスト
・世界中のアルコールに興味がある人
・成人して「初めて」お酒を飲むひと(若者層)
ほんとに多様なゲストがいましたが、僕が特に印象的だったのが、「初めて」日本酒を飲むために、バーを訪れてくれたゲストのみなさんです。
米国では21歳からアルコールを飲むことができるので、ほんとに同年代(僕も当時は21歳で渡米したので)のゲストと接することが多かったです。
その中で、そうしたアメリカの若者のゲストの中には「イケイケパリピ♪」みたいな人が多くて困ったこともあったのですが、そのゲストを丁寧に観察していると見えてきたこともたくさんありました。
その中で、多くに共通していたことが、
**「日本酒」について、ほとんど何もしらないこと。
**この点でした。
だからこそ、僕はこのゲストたちにこそ、『「日本酒」を知ってもらって、好きになってもらって、これからも飲んでもらうための、最初の機会を丁寧にしたい』と考えていました。
例えばそれが女性の場合。
大きくアプローチの仕方は2つ。
・好きなワインの種類は何か?(これは他のアルコールを飲んだことがある前提ですが)
・甘党か、辛党か
これに加えて、その人自身の雰囲気も観察しながらお酒のレコメンドをしていました。
そうしたアプローチをしていくと、必然的にtraditionalな日本酒よりも、近年ニーズの高まってきている、果実酒やスパークリング酒(シャンパンのようなお酒)が、抜群に初めての試飲でのリアクションが高かったです。
それは、彼・彼女たちが、日本酒に対して抱いているイメージ(度数が高く、あまりおいしくなさそう)という感覚を、いい意味で壊すきっかけにもなりました。
②「ロイヤリティー」を届ける
そうしたアプローチを経て、次に大切にしたこと、それは「ワインとのマリアージュ:料理との組み合わせ」を伝えることです。
最初は、好みのお酒を喜んで飲んでもらった後は、味の近い他の日本酒をお勧めしていました。しかし、その後のボトルの購買まで繋げることは難しかったです。
その時僕が考えたことは、「このゲストたちが人生で飲むアルコールの大部分を占めてくると予想されるものはなんだろ?」という問いです。
当然ながら、多くはワインないしビールになると思いました(欧米系のゲストが多かったのもあり)。
だからこそ、僕はテイスティングをしてくれたゲストに、これからの人生で、飲んでみたいアルコール(主にワイン)と、一緒に食べてみたい料理を聞くように心がけました。
当然初めて聞くような料理名も何度も出てきましたが、その都度調べたりゲストから教えてもらったりして味の特徴を理解して、その上でメモ帳にいくつか日本酒の銘柄と特徴、またその銘柄を扱う現地の日本食レストランの名前などを記したメモを渡すように変えました。
実はその半分ほどが、店頭に並ぶボトルではなくECサイトなどからでも購入できるものを選んでいました。(もちろんその場で購入したい人には、店頭の商品をレコメンドしましたが)。
それが、当時僕が考えていた、僕なりのゲストへのロイヤリティであり1キャストとしてのゲストへのリスペクトでもありました。
「でもボトルを売らなきゃ意味がないだろ?」という声もあると思うのですが、僕がこの行動の先に込めたオモイは、
「もう一度僕の立っている日本酒バーに来てもらって、一緒にお話ししたい」
というものでした。
はじめて日本酒を飲んだ海外のゲストにとって、たとえどんなにそれが美味しかったものでも、その後多くの日本酒を飲んでもらえるようになるかはわかりません。
だからこそ僕は、「対話」を大切にしました。
「このキャストと話せば、日本酒を通じてほかの日本のことも教えてもらえるかもしれない。」
「今度は他の日本酒と料理のことについて教えてほしい」…
そうした、日本酒を通じた彼・彼女の、これから日本を「もっと知りたい!」というストーリーを描くお手伝いにしたいと考えていました。
結果として、勤務の終盤には、「Shunに会いに来たんだ!今日のおすすめは何?」と聞いてくれたゲストもいました。
僕は、その瞬間をいつまでも忘れませんし、本当にこのバーでの仕事を誇りに思えた瞬間でした。
その後、プログラムを終えて帰国し、今は縁あってまた日本酒に関わらせていただいています。
ですが、僕たちが日本酒を通じて実現したい地酒の世界観は、「ただお酒を売る」ということではなく、「ユーザーの食卓にまで寄り添える1本を届ける」というストーリーです。
僕は、1人1人に寄り添って物語を届ける大切さを、ディズニーから学びました。社会人になってからも、この経験は一生の財産になる思います。
長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました!
僕が参加したプログラムなどにもし興味を持たれた方いらっしゃいましたら、いつでもコメントください(^^)
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