見出し画像

友達の誕生日、覚えちゃう方です

緊急事態になったので
人に報告しようと電話帳を開いた。

報告するに最も相応しい人を決めて
その人の携帯電話番号に電話をかける。

…出てくれない。
そんな気はしていた。

が、焦りは増す。
本来は公共な機関に電話をかけるべきだよな。
その電話番号をネットで調べてみる。

…出てこない。
そんな気はしていた。

ますます焦りが増す増す。
今度は家にある書類の束をバラして
どこかにヒントがないか探してみる。

…手がかりなし。
こういう時など来ない(で欲しい)と思っていたから、リスクヘッジし損ねていた。
ただの言い訳で自身を落ち着かせてみる。

だめだ。どうしても電話番号がわからない…
でも一刻も早く報告しないとまずい…

最終手段は、記憶を頼りにした。
幸いにも下四桁以外は明確に覚えていたため、
その下四桁を思い出すだけで済む。

とはいえ容易には思い出せない。

「おかけになった電話番号は現在使われておりません」
…そうですよね。

なにか復唱し馴染みの番号はなかったか。
一生懸命に記憶を辿る。

…ひとつ、
見馴染みのある番号を思い出した。
物は試し。電話をかけてみる。

「お電話ありがとうございます、○○です」

ああ。ああ。
私が繋げたかった場所だ。

安心と、緊急事態の絶望感から
電話を切った瞬間に涙が出てきた。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,302件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?