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ネグレクト。二元論では語れない。

こんにちは!『スクールソーシャルワーカー』さーやです。

今日は「ネグレクト」について、学校と行政の福祉担当の考え方について思ったことを書き留めたいと思います。

ネグレクトは虐待の一種で、栄養不良、極端な不潔、怠慢ないし拒否による病気の発生、学校に登校させないなどがあります。

残念ながら、これに当てはまる家庭は少なくないんです。

今回のケースは母が鬱状態で、子どもの養育を十分に行えない家庭をめぐり、学校と行政の福祉担当の間で意見の食い違いが起こりました。

小学校低学年の男の子、学校を休みがちで、先生が迎えに行ってなんとか連れて来るという子ども。

母の養育能力が低いので、家はゴミだらけ、食事は1日1回出前を取り、昼夜逆転生活を送っています。

成長期なのにだんだん体重が減って、目の下にクマができているので、学校としては、なんとか家庭に介入して生活を整えたいという思いがありました。

その話を聞いたわたしは、行政の福祉担当につなぎ、家庭への介入を依頼。行政は母へ面談を行い、生活環境を整えるよう、話をされました。

面談で母が「学校の先生が家庭訪問をして、子どもに登校させようとする、本人は嫌がっている、母もそれがストレスになっている」と。

行政は、母に寄り添い、家庭全体の機能を回復させることが目標なので、「母のストレスになるものは無くした方がいい。本人は学校へ行きたくないのだから無理に行かせる必要はない。学校には母にプレッシャーがかかることはしないでほしい」というスタンス。

一方学校は、「確かに、学校へ行きたくないと言っている子を無理に登校させることは不登校の子どもへの対応として間違っているが、今回はこの家庭背景の子どもを『不登校生』として扱っていいのか、母のストレスで子どもの学ぶ機会を奪っているのではないか」というスタンス。


ここで、最初のネグレクトの定義に戻ると、この家庭はネグレクト家庭に当たるのですが、実際はこのような家庭にはなかなか支援が入りづらいんです。残念ながら、緊急度が低いと判断されてしまいがちです。

だからこそ、生活圏内で見守れる学校と行政の連携が必要になるんですが、、以前も教育と福祉の壁について投稿しましたが、相変わらず課題は山積みです。

行政の言い分と学校の言い分、どちらもそれぞれの立場で考えた結果で、どちらも理解できるので、その意見を擦り合わせて調整していくのがスクールソーシャルワーカーの仕事だな、と改めて実感しています。


今回は、行政で母をフォローしつつ、子どもは定期的に学校に来て、先生がマンツーマンで対応し様子を見ることになりました。

母が病気なこともあり、家では一人で過ごす時間も長いので、学校で先生にゆっくり関わってもらえるのが嬉しいのか、夏休中の現在は順調に登校してくれています。

子どもを取り巻く環境は、正しい、正しくないの二元論では語ることができないため、柔軟な対応と支援策を検討していくことが大切だと感じた1日でした。


スクールソーシャルワーカーってこんな仕事。

あ〜今日も1日楽しかった🤗


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