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一年間ねこと住んだはなし。

昨年9月、ひょんなことでねこを保護して1年と数ヶ月になる。(この話を書き始めた時は1年だった。遅筆のため微妙な期間になってしまったがタイトルではキリよく1年とさせていただきたい。)
ねこがうちに来ることになった次第についてはこちらを読んでいただけるとありがたい。


はじめに

ねこはこまごました用事で数回病院にかかった以外は、大きな病も怪我もなく無事にぬくぬくフカフカ過ごしている。
ジャンガリアンハムスター(コンビニレジ横の豆大福サイズ)より大きい哺乳類を飼ったことのない人間としては、大きな命の危険に晒さなかったという点でひとまず及第点ではないだろうか。
この記事はそんな左右どころか上下すら危うい完全猫初心者との生活の備忘録である。
素晴らしき猫飼いの諸先輩方からすれば「そんなことも知らなかったのかクソボケカスコラ」ということも所々あるだろうが、「20年前にハムスターしか飼ったことない人間にしてはやるやん」という生暖かな目で見ていただけると幸いです。

併せてぼんやりと「猫飼ってみたいな〜、散歩もないから楽って聞くし」などという方々へ「いや、わりとしんどいぞ。本当に大丈夫か」という猫初心者からの穏やかな警告のような目的でも書いている。
自分のように「わたし、魔女のキキです。こっちはマジで命の危機」といった切羽詰まった状況でなければ、いろんな視点からメリットやデメリット、楽しいことしんどいことなど知っておいたほうがよかんべなとの思いと、もう一つ。

新型コロナウイルスによるステイホーム(もはや懐かしいね)の関係で気軽な気持ちでペットを迎えたが飼いきれなくて……という話を残念ながらよく耳にする。
ほぼ勢いでねこを保護した自分が言うのもアレだなと思うが、「飼うのが楽な生き物」なんていない。
自分が10年くらい、もらって飼育していたイモリだって簡単と言われていたが、同時期に他の家に引き取られた他のイモリは1年間で全滅していた。水替えカルキ抜き給餌越冬のさせ方。10センチ足らずの生き物でさえ、生かすのは難しい。
それなりの自我を持った数kgの小型肉食獣なんてなおさらである。

この記事はあまり(全然)かわいくない一面をたくさん書く。
噛まれてもうるさくても懐かなくても臭くても汚くても(いまは違くとも、いずれそうなったとしても)十数年ひたむきに世話を焼き続けることができるか。
できる、と思ったら(覚悟ができたら、ともいう)ぜひ保護猫(そしてできれば成猫)もその選択肢の一つに入ればいいな、と思う。
(そして迎え入れる準備の段階で「こいつ、本当になんも用意できてなかったんや……」とこの記事を思い出して笑ってください)

また生き物の飼育の話なのでもちろん汚物の話もする。文字のみではあるが、苦手な方は注意して頂きたい。

いうて、私自身も落ち着いてさぁどうするとなったときに、事の顛末を知った母から「しかたないね。猫に選ばれちゃったからね」との言もあり、選ばれしプリキュアとして腹くくって覚悟を決めたクチなので偉そうなことは言えないが。

前置きが長くなってすみません。


(※前回同様、本文中において「猫」は一般的な猫全般のこと、「ねこ」とはうちに来たねこ個猫のことを指す)

◯ねこについて

・保護時、推定6歳(人間で言うと50歳くらいのマダム。元野良の為正確な誕生日および年齢は不詳のため保護日を暫定的な誕生日とする。というわけで、現在約7歳。)
・避妊手術済み(さくらカット確認、病院でも再度確認済み)
・猫エイズ、猫白血病、ともに陰性(最初に保護された施設(初日プリズンブレイクしたところ)に行く前の検査で確認済。1年後の検診でも陰性)
・3種混合ワクチン接種済み(同上)

◯保護直後の当日のこと


前述の記事からもおわかりいただけるが、急な保護であったため家にある猫関連用品が「いなばわがまま猫缶×0(数分前に完食)」という残機0状態からのスタートであった。

ありがたいことにその時一緒にいた保護活動をされている方から数日分の餌と簡易的な餌皿を分けていただき、食うだけには困らない家にすることができた。

保護直後はなんとか「家にねこをしまえた!第三部完!」という高揚感と安心感で何も考えられない状態であったが、【完!】じゃない。むしろ「俺達の冒険はこれから始まったばっかりだぜ!〜盛蔵先生の次回作にご期待ください〜」なのである。ここからスタートなのだ。やれやれだわ。
とりあえず仮の寝床としてのダンボールに布を敷いたものと餌皿のみ用意し、腹の上にねこを抱いて寝かしつけるという有り様だった。
しばらくするとねこは腹から降りてニャーニャー鳴きはじめた。追いかけると数歩進んで私を見てまた鳴く、というのを繰り返した。ねこに従い、連れて行かれた先は洗面台である。ねこはユニットバスに飛び乗り蛇口に前脚を乗せるとまた鳴いた。

「水だ!!!!!!!!」

生き物は水を飲む。あたりまえである。
愚かな人類は急いで蛇口から水を飲ませ、また餌の横に水を入れた皿を用意した。これでお互いに一安心である。
満足したねこは、また腹の上に戻りまどろみ始める。人間もそのまま眠ってしまった。
深夜、ごそごそ動き出したねこに気がつく。仮の寝床として用意したダンボールに移っているらしい。やっぱり寝にくいよね〜などとのんきに見ていると、ジョバ……という水音が。

「シッコだ!!!!!!!!!」

食ったら出る。あたりまえである。愚かな人類part2は急いでトイレと化したダンボールを廃棄し、とりあえずその日家にあった防水性の高そうな箱(運良く浅い発泡スチロールの箱があった)を引っ張り出し、ビニールと新聞紙を駆使して仮設トイレとしたのである。

しばらくは簡易システムトイレとして百均のプラスチックのカゴとケースを利用した。
ありがたいことにねこはトイレのしつけをされているお行儀の良い淑女おキャットであったので、「どんなに粗末な場所であっても、箱状のものに用を足す」というルールで動いてくれた為、特にトイレトレという方向で苦労することは基本的にはなかったように思う。
(※抗議としてわざとトイレ外に粗相をすることはあった。詳細は次項)

◯トイレについて


余談ではあるが、猫の糞尿はめちゃくちゃに臭い。

飼育経験の少なさから他の動物と比較することが難しいのだけど一般論としてめちゃくちゃに臭い。肉食だとやはり臭いがキツイらしい。

初めは安いという理由でドラストの300枚入り298円みたいなシートを使っていたのだが、薄いため一度の排尿でシートを交換しなければならず、臭いも全然抑えられないという代物だった。(どれくらい臭いのかと言うと、ぐっすり寝ていても「くっせ!」と嗅覚から目が覚める。)
すぐに交換できる環境なら良いのだが日中は仕事で難しく、また朝も早いという点から「昼は漏れが心配、夜は起こされたくない」ということで、課金をすることにした。

ユニ・チャームペット様のデオトイレである。
一週間交換しなくて良いとうたうだけある抜群の吸水性と消臭力。使用初日は「本当にしてる?」とシートを確認するほど臭いがしなかった。ありがてぇありがてぇ。乳幼児のオムツや介護パンツ、生理用品を手掛けている会社はさすがにすごい。いまではトイレ本体もデオトイレを使用している。ねこは、別にデカイ品種ではないのであるが、見た人全員から「長!」との言葉をいただくロングロングネコチャンなので、ワイドタイプを愛用しています。ロングロングネコチャン、デッカネコチャン、多頭飼育などのおうちにオススメです。

ただ、ねこは砂の種類が嫌だったり、壁があることがめちゃくちゃにお気に召さないようで壁をかきまくることもある。一説にはシステムトイレ自体、あまり猫は好きではない、健康に良くない、シンプルにコストが高いという意見もありどうしたもんかなぁと考えているところである。
(追記:保護から1年半にして、ねこのシステムトイレイヤイヤ大問題が勃発した。詳細は後日まとめたい)

砂自体も可燃から不燃まで数種類あるし、一袋2リットルくらいあるのでお試ししにくいというのが難しいのが悩みどころだ。
保護施設やお店で使ってるものを、というのがベターなのはわかるがこちとらクソ素人がノーデータでやらしてもらっているので実際にねこにお試しいただくという悲しみのパワースタイルで選んでいる。もちろんボツもある。つらみ。
弊宅ではデオトイレシリーズをライン使いしている。シートは無香料、砂は紙製→木製→紙製(とにかく可燃でゴミを捨てたかった)。
本体を月イチで丸洗いするタイミングで砂も全とっかえ、週1〜2でシートを変えればほぼ匂わない。
ありがてぇありがてぇ。

ありがとうユニ・チャームペットさん。
いなばペットフードさん(※前回参照)に続き、どんどんわたしが足を向けて寝られる方角が少なくなっている。そのうちに立って寝ることになると思う。

追記:ペットトイレ関連にエリエールさんが参戦した。
システムトイレのシーツの方は、各社共通サイズとのことで、我が家で使用しているデオトイレより縦が数センチ大きく厚手のためあまり合わない印象である。(開け締めする際にひっかかりが気になる。専用品でないので当たり前であるが)
一方、猫砂に関しては弊宅のねこのお気に召したようなので現在は砂のみエリエールさんのきみおもいシリーズ(大粒紙タイプ)を利用している。

◯抗議としての粗相

ねこというのは賢い生き物である。人間が何をされると困るのかを的確に選んで気を引くためにイタズラをする。
落とせばそれなりの音が出るマグカップ、化粧用の卓上鏡は、にんげんに用があれば机上から容赦なく叩き落とす。
大概はそれくらいで済むのであるが、おのれの糞尿をも抗議に使うことを覚えておいていただきたい。

ねこはうちにくるまで半外猫であった。「遊び=お外に出る」であり、日中天気の良い日などはお外に出してもらいお腹が空いたら帰宅する、という生活を送っていた。しかしその生活は、常に家に人がいないと不可能である。
残念ながら以前の飼い主とことなり、私は日中仕事に出なくてはいけない。急に天気が悪くなるなどしたら対応できない。(※だが、そんなことねこには関係ない。)
そもそも外に出す事自体、怪我や病気のリスクがある。(※だが、そんなことねこには関係ない。)

「危ないんだよ、おうちにいようね」と説得してわかる相手ならよかった。だが全てのにんげんの事情は、ねこにとっては関係ないのである。ねこにとって見れば、いくら大変な目にあったとはいえ現在は以前と同じ縄張りで、食と住が保証された状態に戻った。お外に出れないほうがおかしいのである。出さないけどね。
室内で2時間以上遊んでも耳元で鳴き続け、窓をひっかき続ける。そんな環境でも夜は深夜までねこに付き合い遊び、朝5時半に起きて出勤しなければならない。帰宅すれば粗相の片付け。そして「今日こそ大人しく寝てくれますように」と祈るようにまたねこじゃらしを振り回す。
元野良猫を保護した他の人のように、リードを付けて散歩する手も考えたが、犬よりも脱リードしやすいという。次に逃げられたら無事に帰ってくる保証はない。これは最終手段としたい。
同じく外飼を完全室内に切り替えた人のYahoo知恵袋には「猫との根比べです。頑張りましょう。うちは3ヶ月かかりましたが、夜鳴きも粗相もなくなりました」との力強い回答があった。この回答者さんの言葉にどれほど励まされたことが。
それでも連日連夜つづく夜鳴き、カーペットにオシッコ(4回)、出かける直前にシンクにウンチは十分ににんげんの心にダメージを負わせる。帰宅したら今度は何が汚されているのだろうか。
通勤用カバン、お気に入りのポーチ、ビーズクッション、カーペットがねこの尿に沈み、廃棄になった。マジでキツかった。本当にキツかった。かといってたたき出すわけにもいかない。
耐えられるか、この苦しみからよ……

◯解決方法は? 

ない。だがありがたいことに、初回のねこの抗議は1ヶ月半で急におわりを迎えた。
ねこが納得した理由がなにかわからない。寒くなったからかもしれない。もうそれでいい。今は仲良く、同じ布団で寝ている。というよりねこの余った土地で寝かせてもらっているが正しい。にんげんは、安眠できればそれでいい。
(勘の良い皆さんならおわかりかと思うが、「初回の」ねこの抗議が小休止しただけである。盛蔵先生の次回作にご期待ください)


つづく


めずらしく腹を見せている。


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