メメント盛蔵

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マガジン

  • なにかのはなし。

    衣食住と、人によっては必要ないかもしれない事を書く日記。

  • イモリオサム掌編小説

    大学時代に部誌に寄稿していた小説がでてきたのでリライトして纏めます。化石発掘くらいのつもりで楽しんでいただければ。

  • 日刊うたうたい。

    短歌らしきものを綴ってまとめていきます。 毎日七首、誰かの一週間を支えるうたになりますように。

最近の記事

一年間ねこと住んだはなし。

昨年9月、ひょんなことでねこを保護して1年と数ヶ月になる。(この話を書き始めた時は1年だった。遅筆のため微妙な期間になってしまったがタイトルではキリよく1年とさせていただきたい。) ねこがうちに来ることになった次第についてはこちらを読んでいただけるとありがたい。 はじめに ねこはこまごました用事で数回病院にかかった以外は、大きな病も怪我もなく無事にぬくぬくフカフカ過ごしている。 ジャンガリアンハムスター(コンビニレジ横の豆大福サイズ)より大きい哺乳類を飼ったことのない人間

    • 富士そばでそばを頼んだはなし。

      なぜこんなタイトルかと言うと、そばを頼んだことがなかったからだ。大学生の時から富士そばに行ってるのに。なぜか。 もっぱらカツ丼を頼むか、(そば屋のカツ丼は大抵美味しい。同じ理論で親子丼も美味しい事が多い。出汁が効いてるので。)もしくはうどんに変更していた。そばも食ってはいるが、小麦の王国で育ちしものなのでカップ麺を選ぶときも基本的にはうどんを選んでしまうし、「そば/うどん」の表記があるときはうどんにしてしまう。嫌いなんじゃない、中華そばとうどんが好きすぎるんだ。 故にこれま

      • ねこがうちに来たはなし。

        災害級の台風が来ているという。 すべての犬をしまえ、すべての猫をしまえという呟きが増えていく中で、昨年のねこしまい成功及びその顛末を記録しておきたい。 (※以下「猫」は一般的な猫全般のこと、「ねこ」とはうちに来たねこのことを指す) わたしはねこ以前、手のひらより大きい哺乳類を飼ったことがない。哺乳類最大はジャンガリアンハムスター(詳しくない方に説明すると、ハムスターの中でも小型の種。上品な豆大福くらいの大きさである)、他はイモリと水草。 毎日ビクビクしながらもなんとか過ごし

        • 月曜日の歌 8週目

          この雪のように白い柔肌で この血のように赤い唇 あの人の嫉妬が殺すというのなら この美しさでとり殺そうか 美しい娘もこうなりゃ獣と変わらない 内臓 わりと身近な味だね この森の七人とともに住んでいる たった一人の娘がいるよ 首紐に飾り櫛に毒林檎 一番の美貌の証明にする 目が覚めた瞬間残念そうな顔 きみの遺体が 欲しかったんだよ おかあさま 真っ赤な靴もお似合いで ダンスもとっても素敵ですわよ 連作「白雪姫」 2020/01/27

        一年間ねこと住んだはなし。

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        • なにかのはなし。
          6本
        • イモリオサム掌編小説
          0本
        • 日刊うたうたい。
          45本

        記事

          日曜日の歌 8週目

          あかずきん パンとワインを 持ってって 道中寄り道しちゃダメですよ 花畑 教えてくれてありがとう これは寄り道ではなくってよ 軽やかに木の戸を叩く音がする 娘か孫か? いやオオカミさ 生温く生臭く赤い肉の道 通って死んでたまるものか すやすやと ネグリジェ、ナイトキャップまで かぶりベッドで眠るオオカミ 黒い空 縦に裂かれて 血塗れの 生まれて二度目に腹からい出る オオカミの血に濡れ 赤く染まってる 「かくして彼女は赤ずきんなのです」 連作「あかずきん」 20

          日曜日の歌 8週目

          土曜日の歌 8週目

          新しく母となったそのひとは 一緒に死のうと言ってくれない ポケットに光る石を詰め込んで 歩け歩けよ 森の兄妹 ひとかけのパンをちぎりつつ それでも家に帰りたかった ビスケット キャンディ 飴チョコ カラフルなクッキーボーイも御出迎え 少しだけしょっぱいものが恋しくて 壁のカステラ 飽きたこの頃 山鳩を焼くよりとても簡単に 老女を騙してローストしたの ポケットに宝石金貨を詰め込んで 走って帰ろう 僕らの家へ グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」 2020/01/2

          土曜日の歌 8週目

          月曜日の歌 7週目

          色のない世界の中でただひとつ 生きる喜びなの 赤い靴 信仰も涙もひとの涙さえ 赤い靴には勝てっこないの 「死して尚、踊り続けるのが罰だ」 綺麗な顔で天使が告げる 葬送の別れも祈りも涙すら 流せずにいる 踊ったままで 罪人の首を切るのが仕事なら 私の脚はつみびとですよ 穢れなき少女が踊り叫んでる 私の脚を切ってください 穢れある我が手にキスし礼を言う 「貴方の両手に祝福あれ」 連作「赤い靴」 2020/01/20

          月曜日の歌 7週目

          金曜日の歌 7週目

          憧れの海の上を生きる人 恋を知った 15歳の夜 声を捨て鱗を捨てて得たものは 傍にいられる幸せでした 「歩く度、足が痛むよ。それでもかい?」 どうして魔女は 痛みを知ってる? 姉たちに踵を返し 受け入れる 別れの夜ににっこり笑って 困ったな 憎めもすれば楽なのに わたし、貴女もだいすきだもの 曙に消えゆく わたしのさだめなら 最期の願い どうかしあわせに 風になり あなたの横を通る時 頬撫ぜるからそっと笑って 連作「人魚姫」 2020/01/17

          金曜日の歌 7週目

          木曜日の歌 7週目

          夜ライブ気合いで定時に帰るぞと カバンにペンラ入れて出勤 残業中 推しブロマイドが聞いてくる 仕事と僕とどっちが大事? 寝なきゃとは思っているよ、思っては 23時からリアタイするけど 新しい服も新色コスメまで 推しの色です 推しの衣装です 何食わぬ顔で通勤ラッシュタイム 押しつぶされつつ推しの曲聴く 飯を食え 暖かくしてよく眠れ 舞台もライブも最高だったよ 恋人というよりむしろオカン目線 生きててくれて ほんとありがと 連作「推しへ」 2020/01/16

          木曜日の歌 7週目

          水曜日の歌 7週目

          けだるさをぬるいポカリと飲み込んで 甘さが痛く しみるのどもと アスファルト 格子の切れ目 炎天下 ハニートースト思い出してる 綿菓子と呼ぶには少し硬そうで 綿と呼ぶには薄い霧雲 吐く息も凍りつくよう 冬の日に ガトーショコラの上を歩く 冬休み 宿題の絵に飽きた子と 季節外れのかき氷たち 憧れの焚き火の前に用意する 袋いっぱいプレーンマシュマロ オーブンの前に立つ人誰も皆 甘い匂いに溶かされていく 連作「冬の甘味」 2020/01/15

          水曜日の歌 7週目

          火曜日の歌 6週目

          涙さえ 凍てつく雪の女王様 彼女の心を溶かすのは誰 解けるまで君を帰すことは無い かわいい君の心の欠片 君のこと忘れてひとり幸せに 暮らすことも私はできた 乱暴でだけどとっても寂しがり 荒れた手のひと 不器用なひと どうしても行くというなら仕方ない 二度と会えない 愛しい友達 一面の銀吹雪にも逆らって 欲しいものは たった一人で 私呼ぶ 赤い頬の君 くしゃみする 流れる涙がとても熱い 連作「雪の女王」 2020/01/14

          火曜日の歌 6週目

          月曜日の歌 6週目

          雲一つない晴天の祝日に マフラーいらないことに気が付く 面影を必死に追って涙する からだばかりが 大きくなって 振袖と袴のひとに抱かれて 昔の君がすやすや眠る 艶やかに カカト鳴らして 髪揺らし 袖振り笑う あたしら二十歳(はたち) 昨日のよう産着の君に出会った日 大人の顔のこどもたちよ すれ違う若者たちを眺めつつ おめでとうと頑張れ込めて それぞれの思いや暮らし纏わせて それでも皆が 人と成る日 連作「成人の日」 2020/01/13

          月曜日の歌 6週目

          日曜日の歌 6週目

          気の抜けたコーラとキャラメルポップコーン 90分の宇宙遊泳 席につき最初に始まる心理戦 両の肘置きどっちが取るか フライヤー 予定もないのに眺めみる いろとりどりの世界の話 予告編 面白そうだと呟いた 次のデートの口実にする 暗闇の夜空に光る星のよう 君の瞳に映るきらめき 名画座にひとり座って眺めみる 白黒なにより尊く見えて 流れおつ 涙 嗚咽も かき消して 爆音響く 特別上映 連作「映画館」 2020/01/12

          日曜日の歌 6週目

          土曜日の歌 6週目

          あの日あの場所であなたにあった時 駆け出したくて仕方なかった 除光液 歪なネイル 派手なラメ 落として普通の私に戻る 胸いっぱい 冬の空気を 吸いきれず 噎せる大人と 走り出すきみ 満月を 一緒にみたい人がいる 綺麗と言いたい人がいる たそがれの電柱裏にひとりきり かつての怪異の頭領がいる あの人へ渡す言葉を食べている 電子の海に漂うクラゲ 踊ってるシャワーと泣き出す洗濯機 歌う湯沸かし 唸る室外機 2020/01/11

          土曜日の歌 6週目

          金曜日の歌 6週目

          数分の電車の遅延のせいにして 一日早い休日迎える 歩いても快速乗っても追いつけない 等間隔のレールの向こう 構内の放送告げるさよならを 朝日に照らされ戻らない君 爆音の音楽の裏で鳴り響く 誰かの命が今日消えた音 背を向けて走り出す先終点へ 乗り継いだあとにまだ道はある ランドセル背負い並ぶ雀らと マフラーに顔 うずめて寝る僕 こねずみをはるか空から狙う鷹 背景の富士に茄子は添えるだけ 2020/01/10

          金曜日の歌 6週目

          木曜日の歌 6週目

          土踏まず 寄った靴下踏んづけて なんでもない顔をして歩く 最安値 三百円で買える爪 剥げた塗装をそっと撫でる手 オーブンを開けようとした僕止める 指から香る バターと果実 流星を 繋げ束ねて 糸にする 紡いで君に届けるリボン 横たわる体の下に埋まってる 数多 星の数のつはもの 渋ってた君を誘って動物園 うさぎに埋まる君見て笑う バイト代 たった7cmの背伸び あなたの視界に入ってみたいの 2020/01/09

          木曜日の歌 6週目