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アジャイルのプロがプロジェクトマネジメントのプロと議論したんだって

アジャイルのプロだなんて言ってごめんなさい…。自称アジャイルコーチです…。

頑張ってCSP-SM受けてます・・・。

これを受けたらScrum Alliance からプロのスクラムマスターだと認めてもらえるはず・・・。

ゴールは同じだった

プロジェクト思考やプロダクト思考と言われ、ウォーターフォールとアジャイルで簡易的に比較することがあります(フレームワークと概念の話だから比較はナンセンスなんですけどね)

しかし、結局のところちゃんと、道を極めようとしている人と話をするとゴールは同じでした。

それは、偶然からはじまった

●なんでこうなった?

色々な魅力的な組織の話しが聞きたくて、ニアリーイコールで転職活動と呼ばれるやつをしています。

その道中で、PMIジャパンの中の方と話す機会があったところがきっかけです。

●興味には勝てなかった

1人のアジャイルの人として、プロジェクトマネジメントの人から見る今の世界をどうしても聞きたかったんです。

昨今の風潮だったり、プロジェクトをマネジメントしていくことに対してどのような姿勢で立ち向かっていくのかと・・・。

きっかけはPMP ver.7

●最初に聞いたこと

最初に私から投げた質問は次のようなものです。

「PMPが7版になって、アジャイルによったとバズってた気がします…どうなんですか?」

アジャイル界隈?ではPMPがついにアジャイルになってきたのではないか!?ということで盛り上がっていました。

ちなみに、アジャイルになってきたという感覚は、価値を中心とした管理意識の体系になってきたのでは?ということです。

最初の回答としては、
「PMIはアジャイルを否定していないし、資格の中にもアジャイルに関するものがあります」
というところでした。

そうなんです。私もそこは認識していて・・・。
しかし、プロジェクトマネジメントの文脈はプロダクトマネジメントを主戦場とするところでは優先順位が違うのでどうなったものかとまだまだ疑問でした。

もちろん、私がPMBOKをかじった程度しか知らないからだろうと思っています。

●そもそもManagementとは

こういう言い回し、知識が習熟していくと原文をたどりたくなって・・・原文そもものの言葉から感じたくなるところに共感です!!

Manとは手を意味する言葉です。Manage、Manufacture、Manualなど手を使い引っ張るイメージです。
そして、英語圏で"Manager"というと直接に"管理者"は連想されず、経営者を連想します。
Managerに何かがつくことで管理者というような意味合いが付与されます。
例えば
・Project Manager
・Business Manager
など。
なので、Project Managerとはつまり、もっとstewardship(執事の精神)のようにチームを支える人材であるべきだとPMBOKも言っています。

中の人

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/stewardship

もし、その意味づけで考えると、スクラムマスターと目指す振る舞いは一緒なのかもしれないと思いました。

サーバントリーダーという言葉の本質が雑用係や何でも屋に成り代わって、真のリーダーやStewardshipをもとうという話があったりする流れがスクラムマスターにあるように思います。

管理者が、BossからLeaderになるんだーみたいな話の上で、Stewardshipに向かっている・・・。

強くなりすぎたPMがよりチームに寄り添っていくか
弱くなりすぎたSMがより強くチームに寄り添っていくか

シンパシー!!!

●PMBOKを通してやりたいこと

とはいえ、PMBOKは型を教えていく教科書のように感じている私です。そこについても質問してみました。

もらった言葉としては

PMBOKはプロジェクト管理を標準化する取り組みでしかないんです。中間の成果物は、プロジェクトを成功させるために標準化して誰でも使えるようにしただけで、決して全てが正しいだなんて言っていません。
プロジェクトが成功することが目的です。

中の人

外枠とか字面だけではなくて、成功のために標準化したんだよというのもポジティブに期待を裏切られました。

先行部隊としてPMBOKが体系化されていて、ある程度シンプルな市場でマニュアルがあればこなせる時代にいた人たちにはPMBOKという教科書体系が素晴らしいのかもしれません。

それも一つのアプローチです。

その失敗も見えているからこそ、アジャイルやスクラムは価値と原則を定義したのではないかと思えました。
理念を掲げて抽象的な言葉を各々の場面で咀嚼し適応させることに重点を置いた結果が、アジャイルマニュフェストやスクラムガイドなのではないかと思いました。


アジャイルの世界ではどうなんだ?

プロジェクトマネジメントの世界の話が聞けたので、反対に?反対なのか?、アジャイルの世界の話をしました。

●アジャイルとは概念

私がアジャイルコーチとして必ず伝えていることは
アジャイルとは概念やマインドセットだという事です。
スクラムもフレームワークとは書いてはありますが、スクラムという働き方だという事です。

ここがまさに、先に概念だと定義して利用者に余白を持たせている状態です。

●アジャイルとはそもそも

Manage同様にAgileの話になります。

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/agile

素早く動かすような意味合いに捉われがちです。しかし、本質的には速さを意味はしません。Agilityという柔軟性の話しをしています。どのように市場に柔軟になるのか、その結果が「Agileの価値や原則を守っていこう」となっただけです。一説によるとAgileではなくAdapt(受け入れる)がそもそもしたいことです。市場の変化を受け入れていくために Agileがあります

●アジャイルというと鼻で笑われる

「アジャイルをやってるよ」というと鼻で笑われることもあります。
それは、「権力者の妄言で実働部隊が苦しむだけだよね」という実体験から来ています。

アジャイルだからいつでも変更していいんでしょ?(変更したリスクはもちろん取り組んだ計画変更になりますよ?)

アジャイルだからすぐ作れるんでしょ?(すぐに使用可能です。それがどこまでマーケットニーズに合致するかなどは別の話)

このような、流行りそうな言葉だからアジャイルの本質ではなくツールとして企画してきた人たち

アジャイルを聞き齧っていいとこだけを洗脳されてきた無知な人たち

そして、それを受けて習熟せずにツールだけを適応して失敗した人たち

その悲しみの結果としてアジャイルが鼻で笑われることになったんだと思っています。

いい事も悪い事も同じ

プロジェクトマネジメントにしてもアジャイルにしても・・・結局の問題は、下記を解消しなければいけないという事に思考がつながりました。

  • 手段の目的化を起こす人

  • 部分最適に陥る人

プロジェクトを本質的に成功させるための管理手法としていわゆるウォーターフォールの手法が存在します。しかし、その目的を忘れ、ツールとしてのウォーターフォールの完成を目指す人がいます。

自分だけ、部分だけの適応により、良いものがまるで粗悪品のようになることがあります。

例えば

  • 「アジャイルはいつでも変更可能でしょ?」という間違いによって辛い気持ちになったケース。変化への適応の余白があるだけなのに

  • プロジェクト管理をして納期に納品するためにメンバーの成長や精神を無視した運営をしているケース。チームビルディングも目的意識も持って進めるプラクティスもあるのに

あらゆるプラクティスも、使い方では悪に変わります。
そして、プロジェクト思考だろうがプロダクト思考だろうが、本質的に成功を求めると向かいたい先は同じようなものなんだと学びました。
ただ、その表現方法が違うだけでした。