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【a16z記事の翻訳&加筆】Web3.0の現状と今後の可能性

みなさん、こんにちは。仮想通貨関連スタートアップでインターンを行なっている大学4年生のryuuuです。

今回は、仮想通貨業界のtop tier VC「Andreessen Horowitz(以下a16z)」が5月17日に公開した「Introducing the 2022 State of Crypto Report」というレポートを日本語訳&深掘りしていきたいと思います。

このレポートでは、「そもそもWeb3.0って何だっけ?」というところから「Wev3.0の現状」や「今後のWeb3.0の展望」まで幅広く網羅されており、Web3.0について包括的に理解するには「もってこい」の資料です。

スライドにして、50枚以上あるため記事が長くなると思いますが、できるだけ端的にわかりやすくまとめていくので、お時間ある方は是非ご覧ください!

追記)結果的に約2万字と大変長くなってしまったので、興味のある部分のみ切り取って見て頂ければ幸いです。(もちろん、全てご覧いただければ何よりですが…)

また、スライドはa16zが作成したものを引用していますが、文章については私個人の見解が多分に含まれているため、その点はご了承ください。

公式の見解を正確に知りたい方は、以下の参考資料(英語)をご覧ください。

参考

スライドリンク

https://a16zcrypto.com/wp-content/uploads/2022/05/state-of-crypto-2022_a16z-crypto.pdf

Web3.0とは

Web3.0を理解するには、これまでのWebの歴史を振り返る必要があります。

Web1.0(1990年〜2005年)

インターネットの黎明期(Web1.0)では、プロトコルが誰に対してもオープンであり、かつコミュニティ主導の非常に分散化された体制を取っていました。そのためWeb1.0時代に生み出された価値は、プロトコルに貢献した者達で平等に分配されていました。(ここでの「価値」とは、金銭/非金銭の両側面を持つと考えられます)

Web2.0(2005年〜2020年)

インターネットがある程度市場に受け入れられたことで、インターネット上でビジネスを行う組織が登場しました。こうした組織の登場により、インターネット上のサービスの「中央集権化」が進み、そこで生み出された価値も組織に還元されるようになりました。

Web3.0(2020年〜)

Web2.0時代の「中央集権化」を嫌い、Web1.0時代の「分散化」によるコミュニティドリブンを思想として掲げているインターネット時代がWeb3.0に当たります。Web3.0は、Web1.0の「思想」とWeb2.0の「機能性」を併せ持った新しいインターネットであると表現できるのではないでしょうか?

なぜWeb3.0が重要なのか

では、なぜWeb3.0が重要なのでしょうか?

現代のインターネットには欠陥がある

最も大きな理由は、現代のインターネットには欠陥があるためです。Web1.0時代のインターネットは、誰でも自由にアクセスすることができ、かつインターネットによる搾取などもありませんでした。

しかし、現在はどうでしょう。中国に代表されるファイアーウォールのように、国家がインターネットに介入する事例もあり、かつてのインターネットの自由度は損なわれつつあります。

また、GAFAMのようなBig Techがインターネットビジネスを独占することで、我々個人は知らず知らずの内にこうした企業からの搾取被害に遭っています。わかりやすい例が「個人情報」でしょう。我々個人はGoogleのようなサーチエンジンを無料で利用できますが、その背後では個人情報をgoogleにとられています。

また、Big Techがユーザーから取得した個人情報を不正に利用した例も多々あります。(アメリカ大統領選挙時のFacebook事件)

成長と共にWeb2.0企業はユーザーを軽視する

Web2.0企業は、時間の経過とともにユーザーを軽視する傾向があります。スタート直後は、ユーザーをプラットフォームに誘致するために、ユーザーに対して非常に有効的です。しかしユーザー数が増え、サービスが拡大するにつれて、Web2.0企業は利益を追求し、ユーザーを軽視することが多いです。

上述したFacebookによる個人情報の悪用も同様のケースであると言えます。

Web3.0は個人がインターネットを「所有する」ことを可能にする

ここでもう一度、これまでのWebの歴史を振り返ってみましょう。

Web1.0

Web1.0時代では、限られた組織しかインターネット上にコンテンツを作成することができませんでした。多くの個人によるインターネット上でのアクションは、作成されたコンテンツを「読む」ことに限定されていました。つまり、インターネット上での活動は単一方向(組織から個人へ)的であったと言えます。

Web2.0

Web2.0時代では、Web1.0時代の組織のみならず、誰もが自由にインターネット上にコンテンツを作成することが可能となりました。これは、インターネット上の活動が双方向的になったと表現することができます。

Web3.0

Web3.0では、Web2.0に加え、「インターネットの所有」という概念が誕生しました。上述の通り、Web1.0時代の「コミュニティによる分散化」という思想が根本にあります。Web1.0時代との違いは、所有権が「トークン」で明記されている点です。

Web3.0では、「皆」が共通の目標に向かって協力する

Web2.0では、利益のほとんどが起業家と投資家に分配されていました。

Facebookを例に考えてみましょう。Facebookは現在29.1億人のユーザーを抱える巨大SNSです。もちろん、創業者であるマークザッカーバーグの経営手腕が大きく、資金面ではVCなどの投資家が貢献したことは間違い無いでしょう。しかし、本当に貢献者はそれだけでしょうか?

初期にFacebookを利用し、周りの友人にFacebookをお薦めした人(アーリーアダプター)などのユーザーもFacebookの成長に貢献しているのでは無いでしょうか。

Web2.0企業はこうしたユーザーを含めたすべてのステークホルダーに利益を還元しようとはしません。株式会社という制度が、こうしたアクションを想定していないという理由もあると思います。

しかし、Web3.0はこうしたWeb2.0と考え方が正反対です。Web3.0は、プロトコルの成長に寄与したユーザー全員に対して、その利益を「トークン」を用いて還元します。こうした組織をweb3.0では自立分散型組織(DAO)と呼んでいます。

DAOでは、従来の株式会社のように「株主、経営者、従業員」といった区分はなく、誰もが「株主であり、経営者であり、従業員」です。

Web3.0は中央集権組織ではなく、分散型組織(コミュニティ)が所有する未来を推進する

国家や企業が所有するプラットフォームやビジネスは、ある意味でとても脆弱です。なぜなら、中央集権組織に運営されており、この中央集権組織が崩壊すると、プラットフォームも崩壊するからです。つまり、中央集権組織が単一障害点化(:その単一箇所が働かないと、システム全体が障害となるような箇所)しています。

一方、コミュニティによって運営されるプロトコルは、こうした単一障害点が存在せず、コミュニティが持続する限り、永久的に稼働します。Web3.0はこうした組織による未来をより確実なものにします。

Web3.0のイノベーションサイクル

次にWeb3.0におけるイノベーションのサイクルを見てみましょう。Web2.0におけるサイクルと決定的に異なる点があります。

仮想通貨市場における発展のサイクル

仮想通貨市場では、価格(ネイティブトークン(やプロトコルトークン):BTC、ETHなど)がすべての始まりとなります。ここは、他の業界などと比較すると特徴的な点かもしれません。

ネイティブトークンの価格が上昇することで、そのブロックチェーンに興味が集まるようになります。当然興味が集まれば、自ずと新しいアイディアが生まれます。そうしたアイディアをプロジェクトとしてローンチすることでさらにブロックチェーンの価値が高まり、その結果価格の上昇に繋がります。(Price-Inovation cycleと呼ぶ)

仮想通貨市場のこうした循環には秩序がある

仮想通貨市場の時価総額(Global Crypto Market Cap)の増加に従い、開発者数(Developer Activity)・スタートアップ(Startup Activity)・SNSでの活動(Social Media Activity)が増加していることが見てとれます。

フィードバックループによる仮想通貨市場の成長

上述したPrice-Inovation cycleによって、仮想通貨市場は驚異的な成長幅を達成しています。

レイヤー1ブロックチェーン

ここからは、Web3.0を構成する各領域ごとに見ていきます。まずは、レイヤー1ブロックチェーンです。

レイヤー1ブロックチェーンとは、Bitcoin、BNB Chain、Ethereum、Solanaなどのベースネットワーク(ブロックチェーン)と、その基盤となるインフラストラクチャを指します。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、「様々な取引を効率的かつ検証可能で恒久的な方法で記録することができるオープンな分散型台帳」です。ブロックチェーンは、複数のノードと呼ばれるPCのような物理的なコンピューターによって管理されています。

また、ブロックチェーンにデータを記録する際は、これらノードの合意形成が必要となりますが、この合意形成を得る仕組みのことをコンセンサスアルゴリズムと言います。

コンセンサスアルゴリズムには、Proof of Work(Bitcoinのコンセンサスアルゴリズム)やProof of Stakeといったものが存在し、各ブロックチェーンでも採用するコンセンサスアルゴリズムが異なることが多々あります。

これ以上言及するとキリがないので、興味がある方は調べてみてください!

マルチチェーン化が進行中

ビットコインを除くと、レイヤー1ブロックチェーンの最大手は現状イーサリアムですが、その他にも様々なレイヤー1ブロックチェーンが存在します。

このように様々な新しいレイヤー1ブロックチェーンが台頭する理由は、既存のレイヤー1ブロックチェーンにはまだまだ課題が多いためです。

次のスライドでその課題の一部を紹介します。

イーサリアムとその他のブロックチェーン

スマートコントラクトを搭載しているレイヤー1ブロックチェーンとして最大手のイーサリアムですが、課題もあります。最も大きな課題は、ガス代(ネットワーク手数料)が高い点です。これは、イーサリアムの需要が急激に増加しているからだと考えられます。

しかし、こうしたガス代の高騰は新規ユーザーの参入障壁を高めることにも繋がります。その結果、ガス代の安さを売りにするSolanaなどのレイヤー1ブロックチェーンが次第に台頭することとなりました。

ブロックチェーンにおけるブリッジの役割の拡大

このようにレイヤー1ブロックチェーンが複数競合する中で、こうしたブロックチェーンを接続しようとする考えが普及し始めます。ブリッジは、そうした考え方の一つであり、「異なるブロックチェーン間でのトークンの移動」のことを指します。

こうしたブリッジによって、現状ブロックチェーン最大手のイーサリアムに預けられたトークンが他のブロックチェーンの流出(他のブロックチェーンからイーサリアムへの流入もある)が活発化していることからも今後ブロックチェーン同士のインターオペラビリティ(相互運用性)は非常に重視されると考えられます。

開発者が選好するブロックチェーン

スマートコントラクト最大手ということもあり、やはりイーサリアムに多くの開発者が集中していることがわかります。しかし、その他のブロックチェーンでも開発者はほぼ右肩上がりで上昇しています。

開発者が増加しやすいブロックチェーンの特徴は2つあります。1つ目がEVM互換に対応しているブロックチェーンです。EVMとは、「Ethereum Virtual Machine」の略であり、EVM互換のブロックチェーンとは、端的に言うとイーサリアムの開発言語(Solidity)で開発可能なブロックチェーンのことを指します。

イーサリアムの開発環境に対応することで、新興ブロックチェーンは開発者を誘致しやすくなります。

2つ目がWeb2.0でも広く扱われている開発言語で開発可能なブロックチェーンです。例として、Rustを採用しているSolanaなどが挙げられます。Solidityはスマートコントラクト専門の開発言語であるため、どうしても学習コストが高くつきます。

一方、すでに普及しているプログラミング言語に対応しているブロックチェーンは、Web2.0ネイティブなエンジニアにとって参入障壁が低く、開発者を楽に誘致することができます。

レイヤー2

次は、レイヤー2についてみていきましょう。レイヤー2は、レイヤー1ブロックチェーン以外のオフチェーンでトランザクションを処理する技術です。

既存のレイヤー1ブロックチェーンは、「ブロックチェーンのトリレンマ」と言う課題を抱えています。ブロックチェーンのトリレンマとは、「分散化、セキュリティ、スケーラビリティ」の3つを指し、ブロックチェーンでは、どれか2つを実現しようとすると必ず1つは犠牲となるとされています。

多くのブロックチェーンは、スケーラビリティ(ブロックチェーンの拡張性)を犠牲にして、分散化(ノードの数)とセキュリティ(ブロックチェーンの安全性)を実現しています。

スケーラビリティとは、ブロックチェーンにユーザーが集まるにつれて、ブロックチェーンのUXが悪化することを指します。ユーザーが増加すると言うことは、ブロックチェーンに記録されるデータが増加することを意味し、その結果ガス代の高騰や処理速度の低下といった問題を引き起こします。

レイヤー1ブロックチェーンは、レイヤー2というブロックチェーン外(オフチェーン)でデータを処理することで、スケーラビリティ問題を解決し、ブロックチェーンのトリレンマを解決しようとしています。

イーサリアムにおけるレイヤー2ソリューションの種類

イーサリアムにおけるレイヤー2についてみていきましょう。イーサリアム下のレイヤー2では、一般的にRollupという技術が用いられています。

ここでは、2種類のRollupについて紹介します。

Optimistic Rollups

Optimistic Rollupsは、ブロック作成者が正しいブロックを作成することを前提として考えられており、誰もがこのブロックに対して異議を唱えることができるという仕組みをとっています。

特徴は以下の通りです。

  • 効率的で生産性が高い

  • ブロックの精度は、ゲーム理論的なインセンティブに依存

  • ブロック生成後、1週間の紛争期間(誰もがブロックに異議を唱えられる期間)を経て、レイヤー1にデータが返される

  • プログラミングが容易

  • 非常に安価

Zero-Knowledge Rollups

Zero-Knowledge Rollupsは、ゼロ知識証明を活用しており、Zero-Knowledge Rollups上での状態遷移の有効性を暗号学的な簡易証明によってレイヤー1との整合性を検証するという仕組みをとっています。

特徴は以下の通りです。

  • 生産性が低い

  • 数学的にブロックの精度が保証されている

  • レイヤー1のファイナリティ(決済完了性)が即座に得られる

  • プログラミングが困難

  • 証明に計算コストがかかる(改善されつつある)

レイヤー2の勢力図

イーサリアムのレイヤー2では、現状Optimistic Rollupsが市場の大半を占めています。Zero-Knowledge Rollupsがまだまだ発展途上であり、今後急速に拡大していくことが予想されます。

レイヤー2には、Rollupの他にも「Plasma」や「Validium」のような技術もあります。

レイヤー2 Rollupsのコスト

レイヤー2のRollupにかかるコスト(ガス代)を見てみましょう。Rollupのコストは、イーサリアム全体で支払われているガス代の1.5%の程しか掛かっていません。ガス代の観点からも、Rollupはイーサリアムエコシステムの拡大に寄与するでしょう。

レイヤー1とレイヤー2のガス代比較

現状イーサリアム(レイヤー1)では、「イーサリアムを送金する場合」に$4.48、「トークンをスワップする場合」に$22.41がそれぞれガス代として課されます。このガス代は、やはりUXを低下させる一因となっています。今後、イーサリアムがマスアダプションするためには、ガス代の低下は必須と言えるでしょう。

一方Rollupでは、プロトコルによりますが「イーサリアムを送金する場合」に$1以下、「トークンをスワップする場合」に$1以下しかガス代として課されません。

DeFi

次にDeFiについて見ていきましょう。DeFiとは、Decentralized-Financeの略であり、分散型金融と日本語では訳されます。

DeFiの特徴は、従来の金融システムと異なり、金融機関による仲介を必要としないPeer to Peer(P2P)型の金融システムである点です。

ユーザーは、中央集権型の金融システムに依存することなく、いつでも自由にユーザー間で取引可能となります。金融機関に依存しないことで、仲介手数料等も大幅に削減することができます。

既存の金融サービスは不十分である

既存の金融サービスには、「金融包摂」という観点から多くの課題が残っています。金融包摂とは、「すべての人に金融サービスを提供する」という意味です。

既存の金融サービスの課題は以下の通りです。

  • 銀行口座を持っていない
    既存金融サービスにアクセスするためには、銀行口座が必須ですが、現状17億人が銀行口座を持っておらず、既存金融サービスにアクセスすることができていません。

  • 送金手数料が高い
    現在年間6000億ドルの国際送金が行われていますが、国際送金には平均6%のコスト(手数料)が課されています。

一方、DeFi等のインターネットネイティブな金融システムには十分すぎるほどの将来性があります。

  • 携帯電話+インターネットの普及
    銀行口座を保有していない17億人の内、10億人が携帯電話を持っており、4.8億人がインターネットにアクセス可能です

  • デジタル決済はまだまだ発展途上
    過去1年間、48%の成人がデジタル決済を経験していませんでした。これは今後デジタル決済領域の市場拡大のポテンシャルを意味してます。

DeFi市場は急成長している

DeFiは2019年ごろから活発化し始めましたが、2年間で1兆ドル規模の市場にまで拡大しています。

※一般にDeFiの市場規模は、Total Value Locked(TVL)というDeFiに入金されている金額で評価されます。

DeFiは様々なブロックチェーンで普及している

DeFiはイーサリアム上で初めて開発されました。その後のDeFi黎明期ではほとんどのDeFiがイーサリアム上で動作していました。しかしマルチチェーン化が進み、スマートコントラクトを搭載した振興チェーンが台頭するについれて、そうしたチェーン上にもDeFiが誕生するようになりました。

現在でも、依然としてDeFiにおけるイーサリアムのシェアは大きいですが、その他チェーンでも活発に新しいDeFiが日々誕生しています。

DeFiのユースケース

DeFiの中身について更に詳しく見てみましょう。現在のDeFiのメインユースケースは2つあります。それぞれご紹介します。

分散型取引所(DEX)

分散型取引所は、P2Pでユーザー同士がトークンを取引する中央管理者が不在の取引所です。従来の取引所が板取引を採用していますが、分散型取引所はAMM(Automated Maket Maker)と呼ばれるシステムによって取引が管理されています。

最もシェアが大きい分散型取引所は、イーサリアム上のUniswapです。

レンディングプロトコル

レンディングプロトコルは、P2Pでユーザー同士が仮想通貨を貸し借りすることができるサービスです。

最もシェアが大きいレンディングプロトコルは、仮想通貨を担保にステーブルコインDAIを発行するMakerDAOで、時点にAaveが続きます。どちらもイーサリアムネイティブなプロトコルです。

イーサリアムのアップデート情報(Proof of Stakeへの移行)

イーサリアムは現在のProof of Work(PoW)を採用しているブロックチェーンから、Proof of State(PoS)ブロックチェーンへの移行が計画されています。

イーサリアムのPoSブロックチェーン「Beacon Chain」には既に1260万ETHがデポジットされています。

また、Beacon Chainへのステーキングの3分の1が「Lido」というステーキングサービスを通じて行われています。

早ければ、2022年内にイーサリアムのアップデート「The Merge」が行われ、イーサリアムにPoSが導入される予定です。

DeFi市場と既存金融機関の規模の比較

DeFi市場のTVLとアメリカの上位31行の既存金融機関が管理している資産額を比較しています。まだまだ既存金融機関と比べ、規模は小さいですが、いくつかの金融機関と肩を並べるほどの存在となっています。

ステーブルコイン

次にステーブルコインについて見ていきましょう。ステーブルコインとは、仮想通貨の一種であり、価格のボラティリティを排除したものになります。
代表例として、USDCやUSDT、DAIなどが存在します。

また、「ステーブルコインのトリレンマ」と呼ばれる考え方があり、「分散化・価格安定性・資本効率」の3つを同時に実現することはできないとされています。

  • 分散化:ステーブルコインの管理主体が分散化しているか

  • 価格安定性:ステーブルコインの価格が安定しているか

  • 資本効率:どれだけ効率的にステーブルコインを発行することができているか

ステーブルコインにとって、「価格安定性」は必須要件であるため、ほとんどの場合「分散化」か「資本効率」を犠牲にしています。

ステーブルコインの分類

ステーブルコインは、裏付け資産の構成によって大きく3つに分類することが可能です。

法定通貨担保型ステーブルコイン

担保資産に法定通貨、国債などを選択しているステーブルコインです。低リスク資産を担保としているため、価格安定性・資本効率が高い一方で、ステーブルコインを発行・管理する主体は中央集権的にならざるを得ないため、発行体への信用リスクが伴うというデメリットがあります。

USDCやUSDTといったステーブルコインがこれに該当します。

仮想通貨担保型ステーブルコイン

担保資産に仮想通貨を選択しているステーブルコインです。仮想通貨を担保としているため、分散化・価格安定性は高いです。一方、仮想通貨のボラティリティを考慮する必要があるため、資本効率性は悪くなってしまいます。過剰に担保を預けておかなければ、仮想通貨の価格が低下したときに償還することができなくなり、その結果ステーブルコインの価格安定性が損なわれるからです。

DAIなどのステーブルコインがこれに該当します。

アルゴリズム型ステーブルコイン

担保資産を必要とせず、アルゴリズムによって市場の需給を調節することで価格安定性を保つステーブルコインです。担保資産を必要としないことから、分散化・資本効率性は高いです。しかし、アルゴリズムの崩壊などにより、需給を調節することが困難となった場合に価格安定性がすぐに失われてしまう点がデメリットとして挙げられます。

実際、先日アルゴリズム型ステーブルコインの代表格であったドルペッグ型ステーブルコインUSTのアルゴリズムが崩壊し、価格安定性が損なわれた事例があります。

ステーブルコインの需要拡大

現在、ドルペッグ型ステーブルコインが主流ですが、その需要も急速に拡大しています。2020年ごろまでは、USDT一強の時代でしたが、USDTの担保資産の不透明さが問題になったこともあり、現在は他のステーブルコインにシェアを取られつつあります。

各ステーブルコインの回転率

各ステーブルコインの単位供給量当たりの年間オンチェーンでの取引量を比較したものです。Daiは、そもそもブロックチェーンネイティブなステーブルコインであるため、DeFi等で積極的に活用されていることが取引量増加に繋がっているでしょうか。

USDCやUSDTもDeFi等で運用されている場合も多いかと思いますが、取引所などのオフチェーン上で資産退避先として活用されていることも多々あるかと思います。

ステーブルコインと法定通貨の供給量の比較

ステーブルコイン市場全体の供給量と各法定通貨の供給量を比較したものです。これを見てもらえればわかるように、まだまだステーブルコインの供給量は法定通貨の足元にも及びません。DeFiなどの発展に伴い、今後ステーブルコインの供給量も更に拡大していくでしょう。

NFT

次に、NFTについて見ていきましょう。NFTとは、Non-Fungible-Tokenの略で、ブロックチェーン上で唯一性が担保されたトークンのことです。

現在では、デジタルアート分野でよく目にすることが多いと思います。

NFTのカテゴリー

NFTは、いくつかのカテゴリーに分類できます。

プロフィールピクチャー(PFP)

購入したNFTをTwitterなどのSNSのプロフィール写真にすることが一時期流行となりました。特に、高価格帯のコレクティブNFT(コレクション要素があるNFT)をプロフィール写真にすることは富の象徴を表しており、多くの有名人がNFTをプロフィール写真にしていました。

ただ、NFTがPFPとして成立するためには、そのNFTが有名であること、誰しもが欲しい(供給<需要)と考えることなど、ある一定の基準を突破したNFTのみがPFPとしての価値を持ちます。

PFPとして有名なNFTには、BAYC(Bored Ape Yacht Club)やCryptoPunksなどがあります。

アート&音楽

アートや音楽をNFT化することも多いです。デジタル作品を販売することはアーティストにとって困難でしたが、NFTとして販売することで作品の唯一性が担保されるため、デジタルアートをリアルアートのように販売することが可能となりました。

(※よく複製が困難と言われることがありますが、複製はNFTであっても行うことが可能です)

また、従来はクリエイターが製作したもの(本、漫画、アート)が転売された時、クリエイターがその転売から収益を得ることはできませんでした。

しかし、NFTはブロックチェーン上に記録されており、これまでの売買履歴などの全ての情報をトレース可能であるため、転売された時にその価格の一部をクリエイターに還元する(ロイヤリティ)ことができ、これが新たな収益源として注目を浴びています。

ゲーム

Axie Infinityや今話題のSTEPNのようなブロックチェーンゲームでは、ゲーム内のアイテムがNFTとして扱われています。

ゲーム内のアイテムをNFT化することで、ユーザーはNFTを売却する事で収益を得ることも可能となります。

またNFT化したアイテムは、各ゲームへ依存しないため、ゲームAのNFTをゲームBで利用する等のゲーム間の相互関与を高めます。

ゲームが潰れた場合であっても、NFT自体はブロックチェーン上に残るため、誰かがそのNFTを使ったゲームを開発すれば、再度アイテムとしてNFTが機能することも可能です。

ユーティリティ

NFTに特定の権利を付与することもあります。こうしたNFTに権利を付与することは、最も手っ取り早く現実世界とNFTを結びつける方法であり、すでに多くの事例が存在します。

以下はユーティリティの例です。

  • モノ・サービスの利用権利(Flyfish Clubなど)

  • コミュニティへの参加権利(Moonbirdsなど)

  • ガバナンスに参加する権利(LinksDAOなど)

仮想空間(メタバース)

メタバース内の資産をNFTにすることも可能です。例えば、メタバース内の土地をNFT化して販売するなどは、以前から活発化していました。

メタバースは、まだまだ定義も曖昧な上に実装が難しいため、メタバースにおけるNFTの活用方法もまた議論の余地があるように思えます。今後のメタバースの発展に期待しましょう。

NFT市場の動向

NFT市場は、2021年ごろから急速に拡大しています。これには、NFTがマス層にとって非常に受け入れやすかったことが要因であると考えてます。

また、PFPに代表されるように有名人がこぞってNFTを購入したこと、またそのことをSNSで報告した事でマス層にNFTが理解しやすい形で伝わったと思います。

さらに、NFTはすでにクリエイターの新たな収益源となっており、著名なクリエイターがNFT業界に参入したこともNFTの認知度拡大に繋がっています。

Web3.0プラットフォームはクリエイターフレンドリーである

Web2.0企業は、クリエイターにどのくらいの手数料を課しているのでしょうか。Apple Storeは最大30%、Youtubeは45%、FacebookやInstagramはプラットフォームで生まれた収益をクリエイターに還元することはありません。

一方Web3.0プラットフォームはどうでしょう。NFTマーケットプレイス最大手のOpenSeaでは、売買手数料は2.5%です。Web3.0プラットフォームであっても、運営を続けるために最低限の手数料は請求しますが、必要以上のクリエイター搾取を行うことはありません。

手数料の観点から見ると、Web3.0プラットフォームはWeb2.0企業と比較してクリエイターフレンドリーであると言えるでしょう。

NFTはクリエイターにより直接的なマネタイズ手段を提供する

上の図は、プラットフォームごとのクリエイターの収益を示しています。

  • NFT:39億ドル(17.4万ドル/クリエイター)

  • Spotify:70億ドル(636ドル/アーティスト)

  • YouTube:150億ドル(405ドル/チャンネル)

  • Facebook:3億ドル(0.1ドル/ユーザー)

NFTはプラットフォームの手数料が安い分、クリエイターが彼らのファンからより直接的に収益を上げることを可能にしています。

NFTにおけるイノベーション

最後にNFTにおけるイノベーションをいくつか紹介します。

Airdrop

Airdropは、NFTの保有者に対して新たに別のNFTを配布することを意味します。NFTのユーティリティの1つとも捉えられ、ブロックチェーンゲームなどと相性が良いと考えられます。

ロイヤリティ

ロイヤリティとは、NFTの二次流通時にクリエイターに配分される収益のことです。既存の二次流通市場では、売買が発生してもクリエイターに収益を還元することが出来ないという問題がありました。

しかし、NFTを活用することでクリエイターは一次流通時以外からも収益を得ることが可能となりました。

著作権、商用権

NFTによって(Yuga Labsなど)は、作品だけでなく著作権・商用権もNFTと共に移転することを認めています。

著作権・商用権などの移転を認めることで、そのクリエイターの経済圏を拡大したり、クリエイターの作品に多様性が生み出されたりします。

NFTによるガバナンス

NFTにガバナンス権を付与し、プロジェクトの意思決定への参加を認める事例もあります。これらは、ガバナンストークンと非常に近しい存在です。

世界一のゴルフ場を建設しようとしているLinksDAOは、NFTにガバナンス権を付与し、DAOの意思決定への参加を認めている良い例です。

現実世界との連動性

現実世界との連動性を生み出しているプロジェクトもあります。例えば、ホルダー限定のリアルイベントを実施するなど、リアルイベントを通じてNFTホルダー間のコミュニティを醸成することを目指しているプロジェクトもあります。

日本では、VeryLongAnimalsというプロジェクトがこうしたリアルイベントをうまく活用して、ホルダー間のコミュニティを形成しています。

Web3.0ゲーム

次にWeb3.0ゲームについて見ていきましょう。a16zはWeb3.0ゲームと表現していますが、実質ブロックチェーンゲームと同義と考えて良いかと思います。

ブロックチェーンゲームが既存のゲームと大きく違う点は、ゲームをプレイすることが直接ユーザーにとっての収益源となり得るという点です。

現にフィリピンを中心とした東南アジアでは、ブロックチェーンゲームの1つであるAxie Infinityをプレイすることで生計を立てているユーザーもいると聞いています。

Web3.0ゲームのポテンシャル

Web3.0ゲームの歴史はまだ始まったばかりですが、ゲームという特性からマスアダプションしやすいという性質があり、Web3.0業界でも期待されています。

Web3.0ゲームは以下の要素から構成されていると言えます。

  • ゲーム内通貨(仮想通貨)

  • 仮想空間上の土地

  • ギルド

  • NFTアセットメイカー

  • スカラーシップ

  • コミュニティオーナーシップ

  • 分散型取引所

いくつかWeb3.0特有の要素をピックアップして解説します。

ギルド

現在のWeb3.0ゲームの多くは、初期投資としてゲームで使用するNFTを購入する必要があります。しかし、Web3.0ゲームのNFTはゲームカセットほど安いとは言えず、この初期投資の金額がユーザーがWeb3.0ゲームに参加することを躊躇う要因となっています。

そうした課題を解決する組織が「ギルド」です。ギルドは、様々なWeb3.0ゲームのNFTを買い取り、それを初期投資ができないユーザーに貸し出します。ユーザーは借りたNFTでプレイし、ゲームから得た収益の一部をギルドに支払います。

大手ギルドとして、Yield Guild Games(YGG)などがあります。YGGは、組織自体がDAO化しており、NFTを貸し出して得た収益をDAOに参加しているユーザー皆で分配しています。

スカラーシップ

スカラーシップとは、Web3.0ゲームで使用可能なNFTを保有しているユーザー(マネージャー)がNFTを保有していないユーザー(スカラー)にNFTを貸し出し、ゲームで得た収益をマネージャーとスカラーで分配する仕組みを指します。

先ほど紹介したギルドは、マネージャーに該当します。マネージャーとスカラーは、個人間で契約することも可能であり、Axie Infinityでは個人間によるスカラーシップが非常に活発化していました。

※Axie Infinityの公式discord内にスカラーシップ契約を行うチャンネルもありました。

ゲーム業界のこれまでの成長の方程式

ゲーム業界と音楽業界の産業構造の変化の歴史を見ていきましょう。

ゲーム業界

ゲーム業界は、新しいプロットフォームやビジネスモデルの積み重ねにより大きな成長を遂げてきました。ゲーム業界はアーケードから始まり、コンソール、インターネット登場後はPC、モバイルとプラットフォームが次々遷移してきました。

しかし、ゲーム業界ではプラットフォームの遷移時にプラットフォーム間のバッティングが生じませんでした。新しいプラットフォームは従来のプラットフォームに存在しない機能を補完的に備えることでプラットフォーム間の衝突を避けることができました。

インターネット時代に突入した現在でもアーケードゲームやコンソールゲームが未だに市場シェアを失っていない理由はそこにあります。

音楽業界

一方で、音楽業界はどうでしょう。音楽業界は、プラットフォームが遷移するごとに従来のプラットフォームが破壊されてきました。音楽業界は8Trackから始まり、現在はストリーミングサービスが主流です。プラットフォームが遷移するたびに、既存プラットフォームは衰退していることが表から見て取れるかと思います。

つまり、今後Web3.0ゲームが普及しても既存のプラットフォームとバッティングすることはなく、ゲーム業界の貢献に寄与できると考えられます。

Web3.0ゲームの潜在的な市場規模

Web3.0とゲームの組み合わせには、大きな市場可能性が存在します。

  • 2021年のNFT取引高のうち、20%はWeb3.0関連のNFTです

  • アクティブな仮想通貨ウォレットの49%はゲーム関連です

  • 1000人以上のユーザーを抱えているWeb3.0ゲームが50タイトル以上存在します

メタバースへの関心の高まり

Web3.0ゲームの中でも、2021年はメタバース関連に大きな注目が集まりました。メタバース内で利用可能なバーチャルランド(仮想空間上の土地)のNFTの取引高は、18億ドルに上ります。

メタバース関連のWeb3.0ゲーム(ゲームと定義して良いのかは疑問ですが)では、SandboxやDecentralandが大きな売り上げを記録しており、今後に大きな期待が寄せられています。

DAO

次にDAOについて説明していきます。DAOとは、Decentralized-Autonomous-Organizationの略であり、自律分散型組織と訳されます。

DAOは、透明性が担保されたコンピュータープログラム(スマートコントラクト)によって明記されたルールで構築された組織のことであり、中央管理者によってではなく、組織に関係するメンバー全員によって管理される組織です。

DAOはコミュニティドリブンな組織を実現する

従来の組織(株式会社)とDAOについて比較してみましょう。

株式会社

  • 会社への強いコミットメントが求められる

  • 社長、部長、次長など会社内での立場がヒエラルキー化している

  • 会社内の情報の透明性が低い

  • 入社には、一定のハードル(面接、試験)を越える必要があり、クローズド化している

  • グローバル化しているとは限らない

DAO

  • 個人のコミットメントは自由

  • 個人間での関係性がフラット(平等)であり、ヒエラルキーが存在しない

  • ブロックチェーン上にDAOの行動が全て記録されるため、透明性が高い

  • 誰もがいつでも自由に参加することができ、入社(入社という概念はありませんが)がオープン化している

  • グローバル化している

こうした特徴により、DAOはあるビジョンを実現するために集まったユーザーによるコミュニティドリブンな組織を推進することを可能にします。

DAOへの期待

DAOは、現在100億以上のトレジャリーを管理しています。トレジャリーとは、端的に言うと「DAOの運転資金」のことを言います。100億以上がトレジャリーに集まっていることは、DAOへの関心度が著しく増加していることを意味します。

現状のDAOはガバナンストークンを活用している

DAOが保有している価値(トレジャリー)の大部分は、DAOが発行するガバナンストークンによって保持されています。

ガバナンストークンとは、DAOの意思決定に参加できる投票権利であり、株式会社における株式と捉えてもらうとわかりやすいかと思います。

表内のUniswapは、DeFi内で最もDAO化に成功しているプロトコルであると言えるでしょう。ここでDAOによる意思決定をイメージしてもらうためにUniswapでの意思決定方法を紹介します。Uniswapでは、意思決定を提案する場合も投票する場合もUNIと呼ばれるガバナンストークンを使用します。

<Uniswapにて提案する場合>

  1. フォーラムに提案内容を投稿します

  2. Uniswap DiscordのAdminsと連絡を取り、コミュニティコールやTwitter Spaceで提案について議論します

  3. 再度ブラッシュアップした提案を作成し、2-5日の投票時間でスナップショット投票を公開します
    (このアクションには、少なくとも1,000 UNIトークンの委譲または自己委譲が必要です。スナップショット(投票結果)が有効であるためには、少なくとも25,000 UNIが投票に扱われる必要です。)

  4. コミュニティのフィードバックを受け、提案内容の更新を行います

  5. スナップショットを公開します(コンセンサスチェック)
    (このアクションには、少なくとも1,000 UNIトークンの委譲または自己委譲が必要です。スナップショットが有効であるためには、少なくとも50,000 UNIが投票に利用される必要です。)

  6. 提案をオンチェーン投票に移行させます
    (このアクションには、少なくとも250万UNIが委任されていることが必要です。)

実際の投票結果(Uniswapのsnapshotより引用)

<Uniswapにて投票する場合>

  1. Uniswapやその他の分散型取引所(DEX)、またはFTXなどの仮想通貨取引所にてUNIトークンを購入します

  2. 投票画面にて、採決内容への賛成/反対を示します

投票画面(Uniswap HP)

投票する側にはUNIを保有する(数量は関係なし?)以外の制約がない一方で、提案する側には一定以上のUNIを保有する必要があります。おそらく、よりUniswapにコミットしていないユーザーからの無意味な提案を排除するためだと考えられます。

DAOは新しいボトムアップ型の意思決定を可能にする

DAOは、株式会社には存在し得なかった新しいボトムアップ型の意思決定を可能にします。

2022年5月時点で、DAOでは5.6万回の意思決定が為されており、340万票の投票が行われています。また、アクティブな投票者と提案者は65.7万人(おそらく延べ人数)とされています。

Web3.0の今後

最後に、今後のWeb3.0についてインサイトを述べて、終わりとしたいと思います。

仮想通貨は既に現実世界に影響を与えている

仮想通貨は既に現実世界に大きな影響を与え始めています。ここでは、5つのプロジェクトを紹介します。

Goldfinch

仮想通貨を活用して、既存金融へのアクセスが難しい新興市場国の融資を行なっています。

Spruce

FacebookやGoogleのような中央集権者にデジタルID管理を委ねるのではなく、イーサリアムアカウントによってユーザーが主体的にアイデンティティを管理可能なサービスを提供しています。

helium

IoTデバイスに向けて構築されたP2Pワイヤレスネットワークとブロックチェーン技術と掛け合わせたサービスを提供しています。

SOUND

既存のストリーミングサービスと比較して、よりアーティストがファンから直接収益を得ることを可能にするサービスを提供しています。

flowcarbon

ブロックチェーン技術を活用して、より流動性・アクセス性・価格の透明性が向上した炭素市場の実現を目指しているプロジェクトです。

Web3.0はまだまだこれからである

上の表は、Web3.0とインターネットの黎明期を比較しています。インターネットは、1990年に爆発的な普及が生じて、2005年にユーザー数10億人を達成しています。

これを見て明らかですが、Web3.0の歴史はまだ始まったばかりです。つまり、Web3.0がバブルかどうか判断するにはまだ時期尚早ということです。

少なくとも今後10年ほど経過した後でないと、Web3.0の成否は語ることはできないでしょう。

Web3.0の次の展開は?

01

Web3.0のインフラは、引き続きイーサリアムレイヤー1やイーサリアムレイヤー2以外で活発に改善&成長されることが期待されます。

また、イーサリアムのPoSへのアップデート「The Merge」が今年中に実現すれば、イーサリアムへの環境面からの批判などは少なくなるでしょう。

02

現状クリエイターの収益源は、バナー広告などの広告収益が占める割合が多いですが、今後デジタル作品(NFT)の販売によって収益を立てるクリエイターが益々増加するでしょう。

03

現状のWeb3.0ゲームは稼ぐことに重きが置かれており、ゲーム本来の楽しさは既存ゲームには遠く及びません。しかし、今後トップクラスのゲームスタジオ出身の創業者によるWeb3.0ゲームの開発が進み、稼げるかつ面白いゲームが誕生することになるでしょう。

04

ゲームやNFTを通じてトークンを手に入れたユーザーは、そうしたトークンを外部で法定通貨と換金するのではなく、トークンとして保持すると考えられます。そうなった時、多くのユーザーはDeFiプロトコルにトークンを保存するため、結果的にDeFiユーザーの増加に繋がるでしょう。

05

現在話題となっているDeFi、NFT、Web3.0ゲーム以外にも新しいカテゴリーが次々と誕生してくるでしょう。(ソーシャルトークン、Web3.0メディアなど)また、DeFiやNFTの中でも新しいユースケースが誕生することが予想されます。

最後に

ここまでご覧いただき、ありがとうございました!スライドの内容だけでは、説明が足りないと感じた部分を加筆した結果、約2万字ほどになってしまいました…

スライド50枚を詳細に読んでわかったことは、やはりa16zの仮想通貨に対するインサイトが豊富であり、かつアウトプットも非常に簡潔になされており、とても見やすかったということです。

a16zのレポートに関しては今後も追っていき、特に重要だと感じた部分に関しては今回のように和訳していきたいと思います。

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