見出し画像

その男 菅野孝憲

こんばんは、竜神です。今回は北海道コンサドーレ札幌のゴールキーパー菅野孝憲選手のお話です。今は絶好調で目立っている状態でもあるのでこの機会にご紹介させて頂きます。【2941文字:読みごたえがあります】

想像してください

あなたは営業担当のサラリーマンであると思ってください。ぶっちぎりのトップではないもののそれに近い成績を出し、同業他社に転職をする事が決まります。
もし、転職先の会社で2年間まったく営業先には出られず、資料整理と研修のみで過ごす生活になったとしたら、あなたはどうするでしょうか?
その答えの一つが、今回のお話の中にあります。

菅野選手の来歴

ヴェルディJrユース-東京ヴェルディ1969ユース-横浜FC-柏レイソル-京都サンガF.C.-北海道コンサドーレ札幌-京都サンガF.C.-北海道コンサドーレ札幌-京都サンガF.C.
(Jリーグ公式サイト)※サンガと札幌を行き来してるように見えるのは期限付き移籍の時期が有ったため

菅野孝憲がやってきた

菅野が札幌に移籍してきたのは2017年オフです。札幌はその年に2度目のJ1残留を果たし、その上で四方田監督からペトロヴィッチ監督へ後退するという大きな決断を行っていました。そんな中、2ndGKの金山隼樹が出場機会を求め岡山へ移籍。GKの補強が求められていました。
その年に降格した甲府の河田等が移籍候補として噂されていて、誰が来るのか戦々恐々としていたのですが、実際に決まったのは菅野でした。

菅野孝憲との思い出

実は札幌サポには菅野との間に浅からぬ因縁がありました。菅野のJリーグのキャリアは横浜FCでスタートしておりカテゴリはJ2。当然対戦相手の中にも札幌が居る訳です。厚別ではゴールマウスとスタンドの距離がそれなりに近く、サポーターの声がゴールキーパーにもかなり聞こえます。札幌サポは基本的に煽りが下手です。それでも、キックの時とか、セーブの時とか一応煽る訳ですよ。普通は選手はガン無視です。相手して良い事も普通は無いので…。

ただ、菅野は違いました。わざわざ、札幌サポの方に身体向けて煽り返しますからね…(笑)それをやられたら、やっぱり札幌サポも煽り返します。
タチ悪いのは菅野は本人も「嫌いじゃない」と言うように、煽られるとテンションもパフォーマンスも上げてくるタイプなんですよね。試合が進むごとに明らかにプレーがキレキレになっていってしまう(笑)

後から振り返ると4年間、菅野の勝負をする訳ですが、まったく敵う気がしなかったですね。最後にはチームのためって言う事で、菅野を煽るのはやめてしまった程でした。
ゲームそのものは勝った試合も有ったのですが、菅野に対する印象はかなりインパクトの強いものもあり、横浜FCで1シーズンJ1を戦い、次の年から柏でプレーする事も全く不思議ではありませんでした。(柏にまで移籍されてしまうともう完全に天の上の人でしたが…)

菅野孝憲がやってきた(本編)

実際に菅野が来るぞとなって、その時の状況を調べてみました。
直近では、京都の控えGKの位置づけになっていて、札幌サポの間ではどうして出ていないのかを取りざたされることになります。

・実は性格が悪いのではないか?
・既にピークは越えているのではないか?
・監督と何かあったのではないか?

いろんな憶測も飛び交いますが、当然真相は闇の中。
まぁ、自分は京都は成績悪いのに菅野使わないでバカだなーとは思ってました。(実際は成績不振の責任を正GKの菅野が取らされた形なので順番が逆)

シーズンが開けて、実際に菅野は札幌にやってきました。

「自分が控えキーパーだと思ったことはない」

2018-2019シーズンの間で、菅野のリーグ戦出場は「1」。そこまでは殆ど正GKとしてゴールマウスに君臨してきた菅野にはかなり厳しいシーズンだったと思います。
ですが、菅野は試合では誰よりも声を出し、何かあればソンユンを鼓舞し、ゴールが決まれば真っ先に駆け寄り、満面の笑顔で祝福する。勝利した後にはソンユンに駆け寄り、これも笑顔で祝福する。
それを毎試合欠かさず、率先して行い続けました。

「札幌のゴールは誰か1人ではなくキーパー全員で守っている」

常日頃、菅野が言い続けている言葉の一つです。

常に出場をかけて1つの枠を争うライバル(ここではソンユン)がいて、その活躍を祝福するのは、本当は簡単ではないはずです。

それでも菅野は

「やはり試合は別でしょう。毎日の練習ではライバルだけど、試合のときはスタメンに選ばれた選手が気持ちよくプレーできるようにするのもライバルの役目なはず。試合に勝ったら一緒に喜んで、負けたら励ます。そして翌日からはまたライバルに戻る。キーパーってそういうポジションだと思うから」
若手の頃には残念ながら反対の接し方をされたことがある。
「それは絶対に違うと思っていたし、将来の自分は絶対にそうであってはいけないと思い続けてきた」
(number Web)

自分の全力を尽くし、それで至らない場合は素直に認めチームの事を考えて行動する。それを手抜きや偽りなくやりぬく。
菅野の称えられ、慕われるべき部分はそこにあると思います。

で、普通ならベテランとはかくあるべきだよねって終わる話なんですが…

ソンユンが抜けても、またみんなで守り抜く。

Jリーグ再開初戦の横浜FC戦。そこではソンユンのプレーに引けを取らない、若しくは上回るほどのプレーでゴールマウスを死守する菅野が居ました。
ソンユンは兵役の関係もあり、韓国のチームへ移籍。絶対的な守護神だっただけに、抜けた穴を不安視する声も(多少)有ったのは事実です。
当然、ソンユンよりサイズ感は有りません。
ですが、周囲にかける大きな声での指示は若い選手が多い札幌のDFをしっかりと締め、組織的な守備の助けになっています。また、ペナルティボックス周囲での機動力、足元の確かさは改めて長けた物があると見せつけられました。
一美の好プレーと、福森のミスが有って1点は奪われたものの、際どいシュートをストップし、横浜FCの攻撃を1点に抑え見事勝利に貢献。菅野の存在感を改めて示しました。

2年間ほぼリーグ戦の出場が無く、その上、Jの中断期間は4カ月以上。
その状況でいきなりトップフォームのプレーが出来るのは、正直恐るべき事だと思います。

チャンスが来るまで、しっかりとした準備をする

口で言うのはたやすいですが、これを実現するにはかなりストイックにやらなくてはいけません。菅野の場合はそれに加え、チームのために協調性をもって、目標のために自分が出来る事を行ってきました。突き詰めてやってきたがために、チャンスの際にベストの自分を出せたのだと思います。

札幌サポは菅野の事をリスペクトしていますし、これからもベストのパフォーマンスを見せ続けてくれる事を楽しみにしています。
もし、菅野の事をあまり知らなかった方は、これから菅野のプレーにも注目しつつ試合を見て頂ければと思います。

かなり長くなってしまいましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。

追記

竜神が菅野の立場に置かれたら…。
そこまでストイックにはできないかもですね。
今は菅野の姿を見てるので、少しでも近づけたらと思います。

この記事が参加している募集

よろしければコーヒー一杯分のサポートをお願い致します☕️頂いたサポートに関しては、サポートされた記事の内容に応じて使っていきます。雑文ですと多分執筆中のお菓子代になります。鬼滅の刃の記事だと布教のための資金、漫画や競馬の記事の場合は購入のための軍資金に致します。何卒宜しくです。