山本耀司
「知りたいなら検索するな。頭しか使わないヤツがデザイナーになれるはずがない。」
高姿勢な見出しに釣られ目にしたWWDの記事。
山本耀司の言葉だった。
Y'sは1着持っているが、あまりヨウジヤマモトのルーツに触れたことはなかった。
確固たる地位を築いた自らの仕事を、「ファッションデザインという職業そのものへの反発から始まった」と言う。
筆録の下部へ進むほど彼の根底を覗けるような気がしてスクロールしていった。後に、この行動がどれほど安直かを思い知らされた。
「何か知りたいことがあるときにインターネットを使うなということだ。自分の身体で歩き、触れ、嗅ぐ。"体験"という言葉は、"体"で"験(ため)"すという意味だ。頭でしかものを考えられないヤツは、デザイナーにはなれない。」
情報社会に生きる自分の無自覚な落ち度を一瞬で思い知らされた。同時に、やはり彼の威風の所以を探りたくなった。
いくつかの記事やインタビューを読み漁り、感化された、山本耀司の口跡を紹介します。
「商業的な広告が個性を汚染した。広告が、ブランドを持つことがクールだと思わせている。地球温暖化並に深刻な問題だ。」
「社会の流れに対する疑問や反対意見を叫び、吐き出すことが僕の作りなんです。もし変化があるとしたら、それは、社会に漂う空気や時代の変化で、その変化に対して反応している感じですね。」
「ファストファッションはクラフツマンシップを殺したと思っている。儲けるために、発展途上国の人たちを低賃金で働かせ、劣悪な労働システムを生み出している。」
「英語の"ファッション"という単語は好きになれない。醜く聞こえる。服は女に魅力を与えられない。魅力とは、服とそれを着る人が出会った時に生まれるものだ。俺はそれを"チャンス"または"偶然"と呼んでいる。」
「(ファッションとは) 非常に簡単なことなんです。 死刑囚が絞首台に昇る前に櫛を取り出して、髪を梳かす。 そういうことです。」
「僕はデザイナーという職業でいながら、デザインって言葉が嫌いです。『画策する』とか『謀る』みたいな『悪だくみ』みたいな語感に近い。」
最後に、
「『世の中、何かが変だ』と疑っている奴がマイナーながらもいると信じているんですよ。その子たちを勇気づける。僕の役割はそれだけでもいいと思うんです。」
ずっとどこか違和感を感じながら生きてきた、自分自身に掛けられたような言葉。
自分が将来、美容師として、ヘアメイクアーティストとして、何かを造るクリエイターとして、持つべき野望を標してくれた。
「逆らっていいんだ」 と、「噛み付いていいんだ」 と、駆りたててくれた気がした。
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