(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
大作。生きている間に読めたことの有り難さすら感じるような物語でした。
前回に続き、ルイ・トルストイの巨作『戦争と平和』の後半部分。
紛れもない天才であるトルストイが、表現したいものを書き尽くしたような迫力があります。
「戦争」、「平和」、「歴史」、「人」、「愛」。様々な壮大な概念について描き、一つの物語としてまとめ切ったことには、感嘆の念を覚えます。
どのテーマに対する考察も、非常に示唆が富む中で、個人的に最も印象深かったのは、「歴史」と「人」についての洞察です。
"歴史(この世界)は、一人ひとりの人間の総和によって、形作られる”、とトルストイは主張します。
この主張は、カエサルやナポレオンのような一人の英雄の才能や意志によって歴史が変わり・作れられる、という当時の歴史観を否定したものでした。
一方で、これは、各人が当人の自由意志によって生きているのではなく、外界・時間・因果の三つに束縛されながら、その歴史の中の一片を担っているとも言います(それは、英雄から民衆まで全ての者が)。
外界、時間、因果による束縛か…
これは、世界全体だけでなく、国家、組織、家族のどの単位でも言えることだと思われます。
様々な事象を観察する中で、明らかにある個人の意思・才能が、その世界や流れを変える・動かすことがあるもの事実。
しかしながら、それすら完全にその当人の自由意志のみに由来するかと言われれば、外界・時間・因果に影響を受けていることも真実だと。
他の方も言っていましたが、この見方というのは、「人は大河の一滴」という境地と似たものだと思われます。
人生は、世界は、自らの意志・努力・行動で動かしていける面があります。けれども、大きな視座・視野・視点から見れば、それすら大河の一滴でしか無いと。
3,000ページを越えるこの大作『戦争と平和』から得られたことが、あまり多過ぎて、自分の持つ言葉では表しきれません(名作と呼ばれるもの、歴史に残るものには、それ相応の価値があることを、再確認できました)。
※なお、この物語を知ると、今話題となっているロシアとウクライナによる紛争も、見え方が随分変わります。
ちなみに、『戦争と平和』は、サマレット・モームによる「世界の十代小説」にも含まれていました。
来週読む予定の、この「世界の十代小説」にも含まれる、もう一人のロシアの異才ドストエフスキーは、どんな世界を読み手に見せてくれるのだろう。
P.S.
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